ねむり姫―澁澤龍彦コレクション 河出文庫 (河出文庫 し 1-28 澁澤龍彦コレクション)
- 河出書房新社 (1998年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309405346
感想・レビュー・書評
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裏表紙に“あやかしの物語”と書かれていたけれど、不可思議というひと言では片付けられない世界だった。この作品を読んでいる最中、二度ほど憑き物的な夢を見た上、金縛りにもあった。脳が独特の魔術にかかってしまったのかもしれない。
淫靡でもあり、エッシャーの騙し絵のような怖さもある。洒落に富む上質でリズミカルな文章がなんとも小気味よかった。
澁澤龍彦、怖いもの見たさ的興味で、その扉の奥をもう少しだけ覗いてみたい気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
和風幻想小説。
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難しいと思っていたけど、読んでみたら言葉の響きと文章のリズムがとても心地よくて、するすると読んでしまった
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表題の作品がいちばん頭に残ってる。手を食べられてしまうとかどうやったら思いつけるのだろう。強烈。
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澁澤龍彦小説シリーズ。短編がいくつか入っているのですが、表題作「ねむり姫」がやはり一番お薦め。
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澁澤龍彦はやばい。スラスラ読める。一番引きこまれるものがある気がする。華麗なる虚構世界。
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『うつろ舟』などにならんで、晩年の『高丘親王航海記』への過渡作品とも言える、秀逸な短篇集です。『思考の紋章学』や『ドラコニア奇譚集』などに顕著なエッセイらしさが少なくなり、物語性に重きが置かれています。『高丘親王〜』よりはまだ文章/文体は固いかもしれませんが、ちゃんと分かるしちゃんと面白いです。
澁澤さんの模索過程が垣間見えるようで楽しいですね。『画美人』の金魚のくだりは初期の短編を彷彿とさせますし、文章の難渋さ自体は丸くなったものの、古語や漢語で飾られた豊麗な文章は典雅で気品があり、硬質な印象も受けます。どの作品のどの部分を見回してみても、洗練され高く築き挙げられているかのよう。この象牙の塔は、澁澤龍彦という匠にしか建てられぬものでしょう。
個人的お気に入りは、やっぱり『狐媚記』ですね。 -
星たちの燃ゆる障子の向こう側、狐火が誘う怪しい魔の入り口は恍惚と見た夢に似て妖艶。懐に差し入れたほんの少しの遊び心が、跳ねた小石と川面を撫でて、沈んでゆくのもまた一興。山越え谷越え向かった城の、庭で描くは女の愛。それが毒だと知らぬが仏、絡まる蛇は見知った欲望、すべてゆめゆめ忘れるな。
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現実と夢が交差する「夢ちがえ」が印象的、幸せの絶頂から不幸のどん底につき落とされるのつらすぎる
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2008年10月8日~9日。
面白い。
そして凄く切ない。
無償の思いの美しさと残酷さに心が震えます。