母の発達 (河出文庫 し 4-2 BUNGEI Collection)

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  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309405773

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  • 3.44/276
    内容(「BOOK」データベースより)
    『殺しても母は死ななかった。「あ」のお母さんから「ん」のお母さんまで、分裂しながら増殖した―空前絶後の言語的実験を駆使して母性の呪縛を、世界を解体する史上無敵の爆笑おかあさんホラー。純文学に未踏の領野を拓いた傑作。』

    冒頭
    『母が縮んで見えるという視界の異変にずっと苦しんでいた間の事を、なんとか文章で説明してみたいと思ったのだが、そもそも縮み始めてからの記憶は目茶苦茶だし、苦しまなくなったきっかけはごく単純な事で、しかもそれを機会に母と会わなくなってしまったのだから一方的な話になってしまうかもしれないのだった。』


    『母の発達』
    著者:笙野頼子(しょうの よりこ)
    出版社 ‏: ‎河出書房新社
    文庫 ‏: ‎188ページ

  • 解説にあった通り凄い言葉の力でした、痛快!おもしろい!

  • 想像してみてほしい。どんなに最愛の人、生涯の伴侶、来世も予約済み、であっても、ある日突然彼ないし彼女が小指の爪ほどの大きさになった挙句3万匹ほどに増殖したらどうだろうか。あるいは、一周約10メートルの顔面だけの存在となって、落語の小咄ばかりしゃべるようになったら。一瞬、かもしれないけれど、「きもちわるい」が過りはしなかっただろうか。
    きっと、どこからどこまでを自分が彼ないし彼女と見なしていたのかという枠が徐々に浮き彫りになり、すなわち崩壊して、目の前の「物体」が一人歩きをはじめ、まったく別の感情が産まれるに違いない。こよなく愛する人でそうなのだ。では憎くて仕方ない人だったらどうなるか。逆に愛や法悦を感じるようになるのだろうか。
    これはだいたいそんな小説だ。おそらく十年に一度の…というか十年に一度くらいしか出てほしくない。すさまじいスピードで繰り出される、マシンガン妄想。幻覚の64連射。そして、ジャンルはたぶんギャグだ。

  • 最後まで。なにがなにやらww

    笙野ワールド全快です。

  • 前評判と異なり、読んでいて爽快感はありませんでした。
    母との関係に特別思い煩うことが無いせいかもしれません。私が。
    言葉に表せない複雑な感情を母に抱いている「娘」であったら、どのような読後感であっただろう。

    私は終始半笑いで、狂気を鈍い冗談で薄めたようなこの物語を読んでいました。
    母性神話を解体する文学的実験、と言えば聞こえはいいけれども、個人的には実験的な面白さや未知なる表現に対する興奮は皆無で、むしろその実験を試みる著者の「必死さ」に不気味さを感じ、それでいてなぜか心惹かれました。
    飄々としていてシュールな語り口の下に、「母の存在」なるものを(それは個人的な母にとどまらず)を何としてでも引き剥がしてやりたい、という著者のがむしゃらな気迫、あるいは情念が潜んでいる気がしてなりません。

    下卑た好奇心かもしれませんが、この作品を読んで著者の表現の源泉に何があるのか興味が湧きました。
    他作品も読んでみようと思います。

著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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