タマや (河出文庫 か 9-3 BUNGEI Collection)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 241
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309405810

感想・レビュー・書評

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  • 金井美恵子の句読点がないような文章が好き。後の解説で保坂和志が偶然の小説である、と書いていたがなるほどその通りで、たで酢のところなんか、ほえーとなった。タデ食う虫も好きずき。のたでだよね。たで酢がすごく気になった。食べてみたい。

  • すごくよかった‥目白シリーズ読破したけどこれが一番な気がしたのは男視点文章だからかも。この作品群(目白シリーズ)のね、登場人物達は結構アレなんだけど、少なくとも田舎臭さや貧乏臭さや頭の悪さ・鈍さとは縁がないんですよ、っていう匂いにね、田舎の平凡人としてはムッとしつつ惹かれてしまうんですよクヤシイーー

  • 「たまたま本棚で見つけた、いつどうして買ったのか記憶にない」この本を読んでみたら、たまたま直前に観たダニエル・シュミット『ヘカテ』のことが出てきてびっくり。どうやらこの小説自体『へカテ』を下敷きにした部分があるようだった。書かれた時期がだいたい日本公開時期だったのね。
    他にも映画の話題がたくさん出てくるのだが、如何にもミニシアター&シネフィルっぽいセレクトに時代を感じる。

  • 私が読んだのは1991年の講談社文庫版です。
    それはともかく、アマンダ・アンダーソンという写真家は実在するのか?もしも著者の創作ならば、誰か偽書を作ってみませんか!

  • 短いのに読みごたえはたっぷり。何故だろう。
    夏之さんのこの、脱力感というかインポテンツ的な感じは、母親がファムファタルな女である結果なのだろうか。

  • フリーカメラマンで気ままに生きている「ぼく」、
    ハーフで元ポルノ男優の「アレクサンドル」。
    アレクサンドルの姉「ツネコ」は父親不詳の妊娠中
    に借金と猫「タマ」を残して失踪。
    ツネコに惚れてる五流精神科医「冬彦」はぼくの
    異父兄

    …という奇妙な設定の物語は、何とも言えない
    脱力感たっぷり。
    なんだかな、この空気は。

    一文が長くて(時には文庫一ページ分の長さ)、
    さらに、一風変わった登場人物たちの珍妙な会話
    を表すのにカギカッコを一切使わない。
    この独特の文体には好き嫌いがありそうだけれど、
    少なくともこのオハナシの脱力感とは、ぴったり
    マッチしている感じ。

    連休中の旅のお供としては、悪くはなかったかな。

  • 目白四部作再読中。前に読んだときも思ったけどこれと小春日和は一番とっつきやすくて読み易い。登場人物もこの二つはかぶっているし、対になってる印象。

    金井美恵子にしては異色だなと思うのは、いつもの女系家族の果てしないガールズトーク風ではなく、こちら珍しくボーイズトークというか、男性主人公と彼のまわりの男たちのエピソードが主流になっている点。

    小春日和の花子と桃子が越してくる紅梅荘の住人・売れないカメラマンの夏之さんと、彼の部屋に臨月の猫タマを連れて転がり込んできたチャラいハーフのアレクサンドル(本名はカネミツ・笑)、アレクの種違いの姉ツネコを探してこれまた転がり込んできた精神科医の冬彦(実は夏之の種違いの兄)が、複数の男を手玉にとっていたツネコや、やはり何度も離婚を繰り返す夏之&冬彦の母ら身持ちの悪い女性たちに振り回されつつなんやかんやでそれが普通の日常、を過ごす物語。

    能天気で自由なアレクがアホ可愛くて憎めない。

  • 読んだのはオリジナルのハードカヴァーで。それだと、表紙もアンナ・カリーナの写真を様々なトーンで焼きつけたもの。文庫版よりも断然いい。本編は目白4部作の2作目。主人公で物語の語り手でもある夏之をはじめ、登場人物たちのいずれもが、なんだかデラシネ風だ。共通して父親が定かではないし、ことによれば母親も怪しいもの。それでいて真剣に悩む訳でもなく、能天気な生活を送りつつ、どこかアンニュイでもある、といった不思議な味わいの小説だ。そして、時として日常の中に尖鋭な芸術論が紛れ込んでいたりもする。油断のならない作家だ。

  • こちらも『目白四部作』の1冊。
    やはりストーリー的な動きは少ないが、まったりと楽しめる。金井美恵子の文章は読んでいるだけで心地良い。
    そして猫が可愛いw

  • 目白4部作です。あぁ、どうしよう、もう抜けられない・・。(*^_^*)

    面白い!!\(^o^)/ なんかもう小説として反則でしょっっ!というくらい偶然に偶然の出会いが重なるんだけど、そこまでいくともう好きにしてちょうだい、と感嘆してしまうくらいの小気味よさ。


    あとがきで、金井さんご自身は、モデルになった人々が実在することを明かし、「そんな“素材”をどう扱ってどう書いたらいいか、ということが作者のこの小説を書く一番の興味でした。ですから、これを書くことによって、作者である私は『小説家として成長することになった』と自負しております」なんて書いておられるんだけど、なんか、そこまで含めての金井ワールドじゃないのぉ???と、つんつん、突っつきたくなってしまう。(もちろん、金井さん御大にそんなコワいことはできませんが。)

    自称カメラマンの夏之さんが、ちょっと因縁ありのツネコの弟・アレクサンドルから無理矢理押しつけられたお腹の大きい猫・タマを中心として巡る話なんだけど、私の大好きな桃子・花子・小説家のおばさんはもちろんとして、夏之さんの忘れっぽいお母さん、京都の精神科医である弟・冬彦、その他、あっちからもこっちからもトンチンカンな人々がやってきて、そこに「ネエ、ネエ、あたしって死ぬんじゃないかしら」と訴える(ように聞こえる)タマの鳴き声が重低音としてずっと響いているという…、賑やかなのか、哀調を帯びているのかわからない、うん、いいなぁ、金井美恵子って!!と読むたびに思ってしまう。

    こんな風に何度でも読み返したい本がしっかり手元に確保できている、ということは本読みとして案外、僥倖ものなのでは?と、あはは・・誰に対してかはわからないけど感謝いたします! (*^_^*)

    • niwatokoさん
      この前のじゅんさんの「快適生活研究」のレビューを読んで、わたしも読みたくなって今読んでいるところです。「小春日和」「彼女~」は以前に読んでた...
      この前のじゅんさんの「快適生活研究」のレビューを読んで、わたしも読みたくなって今読んでいるところです。「小春日和」「彼女~」は以前に読んでたんですが、金井さんの作品って特にエッセイとかちょっと読むのに疲れるなーって思ってしまうことがあって、離れていたのですが、やっぱりおもしろいです。「タマや」を入れて四部作なのですね、「タマや」は読んでなかったので読みます。「噂の娘」が絶版?みたいで残念。
      2012/05/29
    • じゅんさん
      >niwatoko様
      コメント、ありがとうございます!(*^_^*)
      目白4部作は発表順に言えば「文章教室」「タマや」「小春日和」「道化...
      >niwatoko様
      コメント、ありがとうございます!(*^_^*)
      目白4部作は発表順に言えば「文章教室」「タマや」「小春日和」「道化師の恋」なんですよ。「彼女…」や「快適…」はその後日談ってところですよね。金井さんの文章が生理的に気持ちよくて、また、あの辛辣な目線ったら! うん、私ってすっごく意地悪な人間なんだね、と読むたびに思います。(*^_^*)「噂の娘」が絶版とは…(涙)、あんなに面白いのに。でも金井さんの作品は絶版が多いですよね。日本人は意地悪じゃないってこと、でしょうか。^_^;
      2012/05/29
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著者プロフィール

金井美恵子
小説家。一九四七年、群馬県高崎市生まれ。六七年、「愛の生活」でデビュー、同作品で現代詩手帖賞受賞。著書に『岸辺のない海』、『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)、『文章教室』、『タマや』(女流文学賞)、『カストロの尻』(芸術選奨文部大臣賞)、『映画、柔らかい肌』、『愉しみはTVの彼方に』、『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ』(共著)など多数。

「2023年 『迷い猫あずかってます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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