ラジオデイズ (河出文庫 す 6-1 BUNGEI Collection)
- 河出書房新社 (2000年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309406176
感想・レビュー・書評
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かろうじて僕は、この感覚がわかる。そのものズバリではないが、こういうシチュエーションに掠ることはあったのだ。そう思わせる文面であり、たまたま知り合った奴と奴と奴くらいだろうか、よくぞそれをひっつけて組み合わせてくれたなといった感じだ。そういやああの時もそうだったな。そういやああいつもとなるこの感じはなんとも言えない。
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この年代の男子なら共感できたかもしれない。とはいえカセットテープの時代に青春を過ごした身としては、懐かしい感じもある。書かれたのは世紀末で、その時点で昔を振り返っている。さらに小説の中でも子供時代を思い起こしており、終始後ろ向きな感覚だった。
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おそろしく無理をしていない小説である。
ストレートに書いた、という表現すら誤りになる。
ストレートには書かれてなどいない。
ストレートに書くのが躊躇われている部分では、
ゆっくりとしたカーブをこの小説は描く。
徹頭徹尾逃げているように思える。
(三十六計逃げるに如かず、ともいうが)
話も筋らしいものはない。
つくられたというより切り取られた話である。
絵画的というより、写真的である。
しかし多くの人間は小説に絵画的なものを求めて一ページ目をめくるわけで、
そこに写真的なものがあったとき、それがどう評価されることが多いかは、
覚悟しなくてはならないと思う。
加えて、こういう小説で生き残ることは極めて困難だろうと思う。
小説家にはなれるが、小説家であり続けるにはこういう小説だけでは難しいのではないか。
「こういうもの小説と呼んでいいんだぜ」という
小説というものの器の大きさを知るにはいい機会となった作品だが、
この小説自体はどうしても大きくは映らなかった。 -
子供の頃に嫌いだった友人が十年ぶりに突然現れた。
「1週間でいいから泊めてくれよ」
変化を嫌い普通さを求める主人公と、複雑な家庭環境のせいか、28雰囲気が変わったかつての友人。
こういう、ゆるっとした内容のものは「結局のところ何が言いたかったの?」とか
「ふーん…」で終わることが多いのですが、これは何故だか悪くない読了感でした。 -
私はこの空気感が好きだ。
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p130
サキヤ「落ち着くんだよ。文字を追っているだけで。文章にもよるんだけど、人間の考えてることが頭ん中に入ってくのが心地イイんだ」 -
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未來雄は自身の正体を周囲のにんげんに悟られてはならない。それは彼の破滅を意味する。
そしてはじめての恋。未來雄は愛する女性を捨て身でまもろうとする。しかし彼にはその体に、逃れようのない詛いのような刻印がきざまれているのだった……。
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『ラジオ デイズ』鈴木清剛
テープを加工する工場で働くカズキ。アパートで一人暮らしするカズキの元に、小学生の頃転校していったサキヤが突然居候させてくれと転がりこんでくる。
医者のむすこで高慢だったサキヤのことを好きでなかったカズキ。
カズキは、コンビニのバイト時代に知り合ったチカと付き合っている・・・が、三人で飲んだとき、カズキはチカとサキヤがキスをしているように見えたのだった・・・
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チカのキャラがあっけらかんとしていておもしろい。
巻末の高橋源一郎の解説にもあるとおり、若者たちの平凡な日々を描いて、たいした事件も起こらないのだが、まるで事件が起こっているかのように物語の起伏があり、読める。文庫の裏には傑作青春小説とあるが、そのとおりだと思う。 -
初めて読む作家さんですけれども、非常に良かったです! 確かにデビュー作ということもあって文章的に拙い部分もあるにはあるのですけれども、それを上回る魅力が本作にはあるかと存じます…!
ヽ(・ω・)/ズコー
どこがどう…と言うよりもなんでしょうねぇ…若者三人の間に漂う微妙な空気? 触れちゃいけないような空気を表現するのがとにかく上手い!
と僕などは思いましたねぇ…特にこれといったことは起きない小説なんですけれども、一見普通っぽく見える日常でも実は数々の事件が…主に登場人物の内面に…起こっているんですねぇ…ということが丸分かりな小説でした! 了…。
ヽ(・ω・)/ズコー -
ふんわり、ぬるく、でも、イラつく事もない流れ・・・何が起こるのかなぁと期待して読み続けても、特に何も起こらない・・・まあ、それでいいか!と思った小説。^^
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主人公「カズキ」が10年ぶりにあった苦手な友人「サキヤ」を家に一週間泊めることなる。そこにカズキの恋人「チカ」も加わって。
カズキが抱くサキヤへのイメージとサキヤそのものの存在は、同じではないような。それは、日常的に私も誰かに抱くイメージというのがそれだけではないんだろうと思わされた。
日常的な雰囲気がすっと入ってくる読みやすい小説だった。