黒冷水 (河出文庫)

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著者 : 羽田圭介
  • 河出書房新社 (2005年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407654

黒冷水 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  高校生の兄、名前は正気。この年頃ってこんなに分析的だっただろうか? とわが身を振り返ってみて、とてもとてもと、舌を巻いてしまう。
     さらに羽田氏の高校時の作品と知り、その思いが一層強くなった。人物の動きが細やかに描いていて、行動の奥にあるその心理を問い、分析していく過程が面白い。
     で、兄の正気は、自分の行動が弟をここまでエスカレートさせたのではないかと、やや出来過ぎな兄を演じていくが、それは正気の書いた小説内だけ。この作品も小説内の小説という”入子”になっている。
     人物の動きが細やかに描いていて、その分だけゾクっとする冷たさが残る作品。

  • 2003年文藝賞受賞作。著者は当時現役の高校生だったらしい。
    戯画化されて突き詰められてはいるが、解説にもあるように、これは『兄弟喧嘩』を描いている。ただ少々(?)その方向性がぶっ飛んでいて、そこが面白い。

  • 17歳が書いた小説だとはまさか思わなかった。
    すんごいな高校生。

    読みながら、なんつー局地的抗争!と思ったけれど、
    その割にはひとつひとつ、ディテールが随分細かくてしっかりしてるな、
    とも思った、それがまさか、主人公と作者の完全なるリエゾンにあったとは。

    高校生や中学生の日常を切り取る作家は多いが、あまりに作者と乖離していると
    どうしてもそこに無理が生じて、なにやらイタイ小説になってしまうことが多い。
    必要以上に夢が詰め込まれていたり過度に老成していたりね。

    ところがこの作品は、妙に登場人物たちが等身大で、
    がゆえにかなりスケールの小さい、完全にクローズドな内容だなと思ったのだが。
    ‥冒頭に続く。


    物語は一言でいえばシンプルで、きわめて陰湿な兄弟喧嘩。
    エリートの兄とそうでない弟。弟は兄の部屋を漁ることを生き甲斐にしており、
    その事実を知りつつも、隠蔽工作の甘さをせせら笑い、頭脳的に仕返しをする兄。
    基本は兄の視線で物語は進行する。弟の悪事をあばいて、
    いったん立て直すべく家を出た兄だったが、
    弟が薬の常習者になりかけていることを知って、最後は救おうとする。


    ‥ここまでならいい話なのだがところがこの話、この時点であとわずか数十ページを残して思わずえっと二度見してしまう驚愕のどんでん返しが待っている。
    そうしてそこでももう一度、最後の最後の一行に、あなたは戦慄するだろう。

    いい話で終わることもできたこれを、もう一度ひっくり返して不快感で閉じる、
    これは若さなのかもしれない。
    しかしその一行で、確実にこの本は人の気持ちにごろん、と不快感という名の
    楔を打つことに成功している。

    浅井リョウと同い年?同世代?のこの感性が、もっと評価されることを祈ってしまった。

  • 中学生の時、図書室にて。

    気持ちが悪くてぞっとした。

  • ★3よりの2です。読みやすく兄と弟の攻防、そこから浮き彫りになる「異常さ」。タイトルの黒冷水という単語か出てきた時には厨二病感があふれていて少し笑ってしまったのですが、あのラストを考えると成る程といった感じ。一瞬「へ?!」と思いました(例えると少年誌の「おれたちの戦いはこれからだぜ!」的なものでした)が、あのラストのやり方に羽田さんのセンスを感じました。初めて読んだのですが、個性強い作家さんだなぁと個人的には思いました。

  • ★2.5
    いやいやあり得んだろ!?っていう展開からの、へ?っていうラスト。
    創作くさい本編と、現実くさい終章、みたいな。
    本編部分がすごく10代の子が書きそう!って展開だと感じたし、実際作者が17歳のときの作品だっていうし、意図的にこれを出来るのはすげぇなって思った。

  • 家族のドロドロ感。
    私も羽田さんと同じ大学出身だからか、大学の描写のところはものすごく具体的にイメージ出来て入り込めた。

  • 書き出しは何が起こるんだろうとどんどん引き込まれていった。
    だが中盤から兄の極端さが理解できず、なんだかよくわからなかった。

  • 羽田圭介をTVでちょくちょく見かけるので作品を読んでみた。こちらデビュー作とのこと、如何せん小説のテーマにまったく興味が持てなかった。残念

  • とある兄弟げんかのお話。
    評価するのがとても難しい…おもしろかったけれど、私がこの話をちゃんと読んで理解できているかと問われると自信がないなー。

    漠然と、おもしろかった、と思う。

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兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委員を驚愕させた、恐るべき一七歳による第四〇回文藝賞受賞作。

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