完本・突飛な芸人伝 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.71
  • (2)
  • (1)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 29
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407876

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文句なく面白い
    特に東京の芸人の話は
    突拍子もない逸話揃いで
    楽しい
    4.7点

  • いわゆる「常識」「正論」というのが苦手。シャレはきつい方がいい。だからか、破天荒な芸人に尊崇の念を抱く。ご存じ、吉川潮先生の手になる著書。川柳川柳や林家木久蔵、マルセ太郎、春風亭梅橋ら「突飛な芸人」がドドンと20人。その破天荒ぶりといったらない。
    野球賭博で捕まった月亭可朝が、取調官からこう言われる。「野球賭博は暴力団の資金源になるからいけないのだ」。これに対して可朝の吐いた文句が振るっている。「そら、負けて賭金を取られた場合でっしゃろ。わしは勝っとるから暴力団から吸い上げとる。表彰してほしいくらいのもんや」。これですよ、これ。芸人の了見! シビれる! 
    春風亭昇太の解説もいい。ある日、落語家になりたいと高校生が昇太のもとを訪ねた。「給料はどれくらいですか」「給料なんてないよ」「じゃあどうやって暮らすんですか」「知らない」「休みはありますか」「あるよ。仕事のない日はぜーんぶ休み」「じゃあ、ダメじゃないですか」「そうダメなんだよ」と言ったら帰っていった。「とっとと帰れ馬鹿」と昇太。そう。私の感覚でも、こういう高校生みたいなのが馬鹿、というか野暮。世間は逆。
    あー。素晴らしき芸人たち。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

演芸評論家、小説家。1948年生まれ。
立教大学卒業後、放送作家、ルポライターを経て演芸評論の道に。
1980年からは小説を書きはじめ、「芸人小説」というジャンルを切り開く。
2003年~2014年、落語立川流の顧問をつとめる。
著書に『江戸前の男』(新田次郎文学賞)、『浮かれ三亀松』(以上、新潮文庫)、『流行歌 西條八十物語』(大衆文学研究賞、ちくま文庫)、『談志歳時記』(新潮社)、『芸人という生きもの』(新潮選書)などがある。

「2016年 『深川の風 昭和の情話それぞれに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉川潮の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×