退屈論 (河出文庫 こ 11-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 168
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309408712

作品紹介・あらすじ

脳が進化したとき、人類は「退屈」に目覚めた。そして、孤独や不安などの悩みもまた生まれた。子育てやセックスも退屈しのぎにすぎない-壮大な構想のもとに、人類最強の敵「退屈」について考える。本当に恐ろしい退屈は、大人になってから訪れる。人生の意味を見失いかけた者に光を投げかける名著。

感想・レビュー・書評

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  • f.2011/5/30

  • ・負荷-出力モデル
    例)試験-簡単
    -難しい
    ↑この落差が「安堵」「落胆」をうむ
    ・負荷が低いままだと出力も少なく、気持ちの上下がなくなり退屈をうむ。
    ・人は厳しい身体的、精神的鍛錬に晒されると、脳内物質が分泌され、それが退屈な癒しにも精神症の治療にも効果がある。
    ・鬱や神経症などの人の苦悩の根源を退屈に一元化し、宗教や性遊びなどはすべて「苦悩の根源=退屈」に対抗する手段である。

  • 早稲田の古本屋で購入。

  •  
    ── 小谷野 敦《退屈論 200710‥ 河出文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4309408710
     
    …… 人間の不幸は、自分の部屋にじっとしていられないことだ(p228)。
     Pascal, Blaise 16230619 France 16620819 39 /パスカル
    http://matsubarabara2.hatenablog.com/entry/2007/10/16/175744
     
    https://booklog.jp/search?keyword=%E9%80%80%E5%B1%88%E8%AB%96&service_id=1&index=Books
     
    (20180328)
     

  • 「終わりなき日常」を生き抜くためには、「意味」よりも「強度」が求められなければならないと主張する宮台真司や、『逃走論』で近代の神経症から解放された「スキゾ・キッズ」の生き方を説く浅田彰、さらに、「祝祭」におけるエネルギーの解放を論じた山口昌男や栗本慎一郎らの主張に対して、この本の著者は、「飽きないか」という、何ともみもふたもない疑問を投げかけます。

    本書では、文学や歴史、人類学などの成果を参照して、人間が「生の意味を求める」のは生が「退屈」だからだ、という洞察を引き出します。個人的には、これまで哲学や宗教が扱ってきた問題を徹底的に世俗的なレヴェルに引き下ろした本だと理解しました。

    ところで本書では、宮台と宮崎哲弥の対談のエピソードに触れられています。ある雑誌の中で「強度」を主張する宮台に対して宮崎が「飽きませんか」と尋ねたというエピソードを紹介している。これは、雑誌『サイゾー』に連載された「M2」(現在は朝日文庫に所収)のようですが、興味深いのは、この対談にゲストとして招かれた映画監督の青山真治の発言です。カンヌ映画祭受賞作となった『EUREKA』について、彼は「今まで神経症的に「退屈を恐れる」ことが、ものをつくる際のひとつのコードになってきた」が、「そういうつくり方の過程で捨てられてきたもののなかに、映画本来のものがあった」と言います。そして、今の時代に「そういうものをそのまま再現することはもはや……不可能だけど、僕がやっているような微分的に解体してもう一度一個ずつ積み上げるというやり方は結構それに近いことができる」と語っています。また宮崎は、作中の出来事がお定まりの「意味」に収斂するのではなく、「刹那に生滅しながら持続する時間の切なさ」が「体に残る」ところを評価しています。ここで2人が言おうとしているのは、自分たちの営みが「退屈しのぎ」であることを知ってしまっている者の態度であるように思われます。

    本書の結論は、人間のあらゆる営みは「退屈しのぎ」にすぎないということですが、青山らにとっては今さら驚くような真理などではなく、むしろ彼の作品の前提だったのではないでしょうか。

  • 面白かった。どこが、とは言いにくいが、この人のどこまでも理に突き詰めていきながら、やにわに突き放すような語り口に好感が持てる。

  • 退屈でした。

  • 「退屈」というものに焦点を当てた著作。
    まず驚いたのは著者の知識の量。圧倒的な知識量で、色んな側面から一つの「退屈」というものに光を当てている。
    ただ、その膨大な知識量により、所々で読むことが「退屈」になってしまうかもしれない。

  • 「暇と退屈の倫理学」を検索欄に入れたら出てきた。

  • 快楽や自由満載のユートピアは、
    飽きないか。
    まさに、私が長年疑問に思っていたこと!
    楽園みたいな島に旅行にいくと、
    こんなとこで呑気に住みたいなー
    などと思うが、飽きないかが心配だ。
    本では、昔の人は子育てで暇を回避していた、とある。ナルホド。
    結婚によって恋愛の自由を奪われると退屈だ。だから子どもが欲しくなる、のか。ふむ。
    生きる目的が見つからないと悩むことは、退屈しているということなのだ。
    退屈コワイ!!

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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