神州纐纈城 (河出文庫)

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著者 : 国枝史郎
  • 河出書房新社 (2007年11月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309408750

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神州纐纈城 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

  • 明治20年生まれの国枝史郎が大正14年に発表した伝奇ロマン小説、ただし未完。「纐纈城(こうけつじょう)」とは『宇治拾遺物語』の「慈覚大師、纐纈城に入り給ふ事(http://www.koten.net/uji/yaku/169.html)」というエピソードに登場するもので、慈覚大師が唐にわたり偶々迷い込んだその城では、さらわれてきた人間から絞った血で布を紅く染めていたという怖い話。血で染めた紅い布=紅血(こうけつ)=纐纈、みたいな感じなのかしら。

    時は戦国時代、甲府の武田信玄の家臣である土屋庄三郎昌春が一応本編の主人公。庄三郎の両親と叔父(父の弟)は、彼がまだ幼いときに行方不明になっており、あるとき手に入れた謎の紅い布=纐纈布に父の名を見出した彼は、父母と叔父の生存を信じてそれを探す旅に出る。

    しかし信玄の命令で庄三郎を追う鳥刺しの高坂甚太郎は14才にして殺人大好きサイコパスだし、甲州だけに富士山周辺を舞台に、裾野には役小角の後継者となる光明優婆塞が率いる謎の宗教団体「富士教団」の里があり、元は上杉謙信の家臣だった直江蔵人とその娘・松虫&婿の直江主水は生きた人間の五臓から作る万能治療薬「五臓丸」を作っているし、三合目には血吸鬼と書いてバンパイヤーとルビを振られる陶器師・北条内記という美形の殺人狂、その陶器師の顔を整形している造顔術師にして面作師の月子という美女、そして本栖湖には霧のたちこめた水城があり、これこそ日本の纐纈城、仮面の城主が手下を使って里の人間をさらってきては逆さ吊りにして生き血を絞り、紅い布を量産している。

    次々とワケアリで猟奇的な人物が登場し入り乱れ錯綜、そして富士山界隈はもはや魔境。庄三郎が探す父、そして叔父が誰であるか、読者には知らされるけれど庄三郎は知らないまま、富士教団で半殺しの目にあわされてあげく血まみれのまま船に乗せられ流れてゆく。

    武田信玄や上杉謙信、塚原卜伝など、歴史上の有名人物は実名で登場、主人公・土屋庄三郎はじめ、高坂、北条、直江などの姓は、実在の家臣の名前であり、登場人物たちは架空だけれどその係累ということになっている。仮面の城主が甲府に戻ってきて瀬病を撒き散らすくだりなど、実際に当時甲府で流行り病で大勢人が死んだ史実をベースにしているらしく、歴史と虚構のとりまぜかたが絶妙。

    そして幻想的でゴシック耽美な、情景描写の美しさが素晴らしい。夜光虫のひかる洞窟、霧に煙る湖、水路を渡る舟などの光景はとても幻想的で美しく、個人的に白眉は、紅い衣をまとった仮面の城主が桜の木の下で花びらに埋もれるように眠っていると雀がやってきて城主の手に留まり、しかし籟の毒にやられてころりと死んでしまう場面。儚さとグロテスクさ、城主の孤独と毒、さまざまな象徴がこの場面にぎゅっと凝縮されている気がする。

    しかし残念なのはやはり未完であること。誰か続き書いてくれないかな。解説の代わりに昭和18年に復刊されたときに絶賛した三島由紀夫のエッセイの抜粋が収録されています。

  • 「しんしゅうこうけつじょう」と読む。

    伝奇小説の傑作中の傑作といわれる本書。
    確かに、予想のつかない展開。
    強烈な幻想力。
    見事な文章。
    期待にたがわない作品。

    こうしたご馳走は、高級なフランス料理を食べるときみたいに、味わいながらゆっくり読んでいくべき。

    だが、なんとな気がせいていて、カップ麺を食べるみたいに、ざっと読んでしまった。

    解説の三島由紀夫が誉めていた洞窟のシーンも、最終部分の女性の水浴の部分も、さらっと斜め読み。

    残念だが、そんな気分ではなかったので、仕方がない。

  • つまらないし、未完。最悪。

  • クセのある文章に慣れるまで少し時間がかかりましたが、登場人物の関係性が明らかになってきてからは急き立てられるように読んでしまいました。
    未完とも知らず・・・

    読むというよりも映画を観る感覚に近いかもしれません。それも極彩色の。
    舞台のほとんどは夜や闇の中、洞窟、森林など決して明るくはなく、陰惨で禍々しいシーンがかなり多いはずなのですが、イメージとしては妙に鮮やかでぎらぎらした感じなのです。上手く言えなくてすみません;

    今これを書くために内容を思い返していてまた読み始めそうになっています。
    続きが気になって悶々とするだけなのに・・・
    初めて読んだ時はあっけにとられたラストですが、実は今ではちょっと好きだったりします。

  • 歌舞伎の三人吉三みたいな因縁物語の上に大スペクタクル。斬新な解釈で結末をつけて映画化したら絶対おもしろい!

  • 未完です。
    それを知らずに読み始めたので、ラストはとても衝撃的でした。
    一体これからどうなるの……

    あと武田の話なので、その辺をもっと詳しく知ってたら面白かったかなあと。
    あの高坂弾正の息子は実在するの??

    文体がぬらぬらとしててとても好みなので、他の作品も読みたいです。

  • 未読。

    アポロの杯/三島由紀夫から。
    三島由紀夫が疑いようのない傑作として挙げていた小説のひとつ。知りたい、とにかく知りたい。何を?と聞かれて、何をかはわからぬがとにかく知りたい。と、思わせる作品だそうです。

  • ワクワクドキドキが止まらない
    未完なので星一つ減

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