おとなの小論文教室。 (河出文庫 や 21-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409467

作品紹介・あらすじ

考える力がつけば、自分を表現することは、もっと自由になる!「おとなの小論文教室。」は、自分の頭で考え、自分の想いを、自分の言葉で表現したいという人に、「考える」機会と勇気、小さな技術を提供する、まったく新しい読み物です。「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載時から話題を呼んだコラム集。

感想・レビュー・書評

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  • 「いま、自分の想っていることを、言葉にして表現する
    このシンプルなことがなぜできないのか?小論文を通じ、ずっとずっと高校生の文章表現をサポートしてきた私は、そこに、ひとつの真実を発見しました。それは、

    想いと言葉が通じるには、『考える力』が要る。

    ということです。だれもが自分の存在の奥に、深い、経験の湖を持っています。『考える』とは、その湖に何度もダイビングしながら、『いま自分がモヤモヤしている、これは、いったい自分の経験のどの部分が反応しているのか?そこにどんな想いがわきおこっているのか?自分は本当はどうしたいのか?』と自分に問い、心の底にあるものをくみ上げ、整理し、言葉にしていく行為です」

    長い引用になってしまったが、「はじめに」からなので、許してください。

    今、自分の中でインプットとアウトプットの意味を何度も考えている所です。

    その人に備わった知識や感性がなければ、上辺だけの表現にしかならない。
    だとすれば、知識や感性を備えた人から滲み出るものこそ「ホンモノ」で、表現や発信を鍛えることそのものに大した意味はない。
    という指摘を受けたことがあります。

    単に口が上手いことが、その人を表すわけではない。それは、その通りと思います。

    ただ、自分が何を考えているのか、それはどんなことなのかを、俯瞰的に見つめようと思った時、自然とアウトプットが必要になるのではないか。
    それが、筆者の言う「考える力」なのではないか。

    そうして、見つめたものから、またインプット(蓄え)が始まっていくのではないかなと思います。
    往還をしながら、身に付いていく。
    だから、どちらかが大事なのではなく、どちらも人の成長にとっては必要不可欠なのだろうな。

    私たちはアウトプットと言うと、単にプレゼンテーションが上手いとか、ディスカッションが上手いとか考えがちですが、きっとそういうことではないんだろうと思わされました。

  • 自分の考えを伝えるということ。
    私はそれが苦手だ。
    この本を読んで、アウトプットの大切さや、コミュニケーションの大切さなどさまざまなことを学んだ。
    とりあえず、下手でもいいから、書いて書いて書こう。
    そう思った。

  • 自分の考えを伝えること
    相手の考えを受け取ること

    の、大切さを教えてもらった。
    誰も、私と同じではない。
    だから言葉をつかってコミュニケーションする。

    一人称がいないシリーズの
    関係把握力についてに考えさせられた。

    俯瞰してモノゴト見れるようにしていこう。

  • 表現の自由って本当の意味で自由ではないんだなと思った本。
    私は日々人にどう伝えたらいいのだろう?もっと明確に伝わる言葉や表現があるのではないだろうか?と悩むことが多い。
    語彙力があったとしても気持ちが空回りしてしまう。
    相手の気持ちを考えすぎると言葉を選んでしまい本当の気持ちは伝わりにくい。しかし言葉を選ばなければ相手に勘違いや不快感を与えしまう。
    そんなジレンマがある中で自分を表現することはとても難しいと思った。
    この本の中にある
    ・自分に問いを投げかける
    ・要約して自分の気持ちの根幹を見つける
    これらは実践していこうと思う。

  • 文章を書くということを通して、その奥にある、心の部分について、逃げずに向き合って、考えて考えて考え抜いている、自己啓発本の類のよう。でも、〜すべき、〜しよう、などと提示する風ではなく、一緒に悩んで寄り添ってくれて、考える力とヒントをくれる。
    自分に思い当たる節があると、自分の器の小ささとか、弱さを、面と向かって、グサっと、指摘されているようで、苦しくて、涙が出る。でも、著者のズーニーさんも、その声に応えている他の読者の方々も、似たような気持ちを経験していて、皆それぞれ、向き合っているのだ。そうか、わたしも踏み出さなきゃ、と思う。
    別に、答えが見つかるわけではない。というか、答えというものがあるかもわからないし、あったとして、人それぞれ違うだろう。カズレーザーが、“成功者と同じ道を歩んで成功することはできない”というような事を言っていたと記憶する。それを大前提として、ズーニーさんは、自分で考える大切さを、ここで解いているように思う。

    自分のやりたい事を探している人、人間関係に悩んでいる人に読んで欲しい。

  • 花田菜々子さんいわく
    ズーニーさんが読者とのメールのやりとりの中で、仕事とは、やりたいこととは、コミュニケーションとは、という応えのない問題に愚直に向かい合い続ける過程を書籍化したもので、まっとうに問い続け、前へ歩き続けることの素晴らしさを教えてくれる本。

  • 自分をどう表現するか、それは小論文だけでなく、日記やネットでの投稿や、他人とのコミュニケーションにも関わる話。著者の考えと、ネットで連載していた時に届いた読者からのメールを併記しており、読みやすい。
    他者と関わる仕事なので、落ち込んだりどうしようっていう時にヒントをもらえそう。

  • 好きだけど、表現力をつけて自由になることへのストイックさがたまに苦しくなる山田ズーニーさん。

    とはいえ、わたしも自分の表現力に不自由さを感じ、他人との関係性に戸惑うひとりだ。
    いま、伝えたいのに躊躇する。いま、この人に自分を表現したいのに、自分にはその能力がない、もしくは資格(なんの?)がないと諦める。そしてそもそも、いま、自分が確かに感じている違和感を「表現」に変換できない。その違和感の存在に気付かないこともある。

    この本に「とにかくアウトプット」と出てくる。
    このブクログもそう。
    私にとっては「読後のいま、自分のが何を感じたか」を文字にしてみるアウトプットのひとつ。
    とにかく思うところを書き散らしてみている。

    だんだんと、自分の中の、知識や経験でできた感性の泉のようなものに深く深く潜って、そこから自分のままで他人と関わるような言葉を作り出せるようになるかな。なりたいな。
    そういう自由を手に入れたい。

  •  結局、自分の考えや思いがないと周りと気持ちよく関わることはできないことを実感。他者をただ迎合するのではなく、相手の世界を正確に理解し、自分の思いを乗せることで、「つながった!」と実感できるコミュニケーションができる。コミュニケーションは安易な技術でできるようになるものではないなあ。

  • 「Y先輩の話」が印象に残る。
     本当ににやりたいことなんて、やってみないことにはわからない。
     学生の頃はやりたい仕事を関心や適性を考えて選んだが、働いてわかったことは、やりたいであろう記号を選んでいたに過ぎないこと。そして、職業という記号は選べても、仕事は選べないこと。仕事にはやりたくない仕事や適性のない仕事もある。本当にやりたいことは、ほしい商品を選ぶものではなく、内面から浮かび上がるものなんだろう。『やりたいことっていうのは、自分の内側の、自分が求める世界観を形にしたいっていう思いでしかない』に共感する。
     どうすれば浮かび上がるのだろうと考えてみると、仕事でもなんでもひたむきに取り組むことなんだと思う。そうすると能力があがり、できることが増え、世界観が広がるとともに深くなる。「こうしてみたい」「こうすれば達成できるはず」それが本当にやりたいことなのだろう。

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著者プロフィール

全国各地で、表現教室のワークショップ、大学講義、講演などを通じ、表現力・考える力・コミュニケーション力の育成に幅広く活躍中。『伝わる・揺さぶる!文章を書く』『おとなの小論文教室。』他著書多数。

「2018年 『理解という名の愛がほしい。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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