- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309409665
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
○二人の間で揺れ動く主人公の気持ち
アメリカに住む、主人公なずなが引越しのときに見つけた箱。それは、むかしむかしの遠い思い出だった――――
川崎に、日系アメリカ人を父に持つワタルと一緒に暮らしていたなずな。
友人から紹介された出版社へ提出する原稿として、インドへの旅行記を書こうと決意したそのインドでワタルと出会った。
二十代のはじめに結婚を失敗したなずなが、出会い、お互いに惹かれた。しかしなかなかなずなはワタルの求めにも関わらず結婚には後ろ向きだった。
そしてその出版社の編集担当が亮輔。
亮輔とやり取りをしていくうち、ふいに"もしもわたしがこの人を好きになってしまったら。"(p52) と思うようになっていく。
亮輔もおそらく似たような気持ちだっただろう。
ワタルとの生活は心地よく、ワタルとの生活が失われたら・・・と想像するなずな。
そこへ、亮輔から手紙が来て
ワタルではなく、亮輔のことをつい考えてしまうなずな。
・・・ワタルと亮輔との間で、なずなの気持ちは揺れ動く。
ワタルの日本人離れしたなずなを受け入れる感覚と、きわめて日本人らしくダンディな雰囲気を醸し出す亮輔。心より下のどこかから何か湧き上がる感情。
結論的に選ぶのはどちらかではある。
気持ちが苦しい。 -
私には恐れ多くてできない事。
-
一言で言えば三角関係の話なのだろうけど、
本来のソレとは違い、ドロドロしてるわけじゃない。
かと言って、浮ついた感じでもなく非常に深い。
重いというよりは深い、と感じた。
【愛が深ければ深いほど、人はどんどん愛を軽く扱えるようになる。】
この一節が、とても印象に残った。 -
ライターのなずなは、純真で天真爛漫な6歳下のワタルと笑いに満ちた生活を送っていた。それは奇跡のような幸せだった。
ところがなずなの前に編集者の早瀬が現れ、凪いていた心が動揺し始める。
2人の男性に惹かれるそれぞれの心情を愛と恋を区別することで語るなずなだが、そこはよく分からなかった。
満たされていても、他の誰かに狂おしく惹かれることはある。理屈抜きで、それだけでいいような気がするが。
あとはそろそろ、回想形式を脱して欲しいなと思う。 -
一見ありきたりな三角関係の設定なはずなのに、恋に落ちていく心情がとても丁寧に描かれているせいか、これこそ正しい三角関係の物語なんじゃないかと思った。淡々とすべてを受け入れていく主人公は好感がもてたし、さらりとした文章が物語にぴたりとはまっている気がした。だから、読んでいてとても胸が締め付けられるような切なさ、複雑な想いが伝わってきた気がします。
-
最後の数ページ、電車で読んでたら鼻水が止まらなくなって大変でした。
こういう話も好き。 -
すきです。
ワタルがとにかく愛しいです。 -
◆あらすじ◆
「わたしは、あなたに、恋しているのかもしれない。愛を語りながら、恋をしている。だって、切ないとか恋しいとか淋しいとか、そういう感情を、わたしはあなたに対して、抱いている。青天の霹靂……」
愛の重みと恋の切なさ。ふたりの男性の間で揺れ動く女性の気持ちを見事に描いた渾身の恋愛小説。