顔面考 (河出文庫 か 17-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 135
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409696

作品紹介・あらすじ

顔には常にいかがわしさがつきまとう。だからこそ、人は古来、奇態な想像力を発揮しつづけてきた。観相学、替え玉妄想、ドッペルゲンガー、生来性犯罪者、醜形恐怖、人面犬・人面疽、整形手術、マンガやミステリに描かれた顔…博覧強記の精神科医が、比類なき視座から綴ってみせた、前人未到の「顔」論。

感想・レビュー・書評

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  • 観相学、替え玉妄想、ドッペルゲンガー、生来性犯罪者、醜形恐怖、人面犬、人面瘡、整形手術、漫画やミステリーに描かれた顔……精神病理やサブカルチャーに見られる人の顔への執拗なまでの関心を精神科医が考察した『顔論』。とても面白く読みました。たかが面の皮一枚、されど面の皮面の皮一枚。顔の美醜にいかに人は振り回され、また無意識に幻想を抱いているのかが窺えます。誰もが持つ「顔」は確かに存在するのに、どうにも捉えどころがない、捕らえようとすればするほど、像が崩れてゆく。本作に登場する「顔面拷問」なるポルノビデオの件は思わず笑ってしまった。まるで情熱のないフェティシズムは酷く滑稽なのだなあと改めて知りました。怖いもの見たさで「顔面拷問」をちょっと見てみたい気もします。

  • 思索

  • 春日武彦氏の著書を拝読するのは3冊目。

    精神科医である氏の「狂気と無関係の人間などいない」という見解に感銘を受けまくっていたので、『顔面考』も安心と信頼のもとに購入しました。

    解りやすい「表情」を持つが故に、他者理解の際には有力な手懸かりとされる「顔」。
    しかし、その解りやすさが逆に胡散臭い。ニコニコしながら内心では激怒しているかもしれないし、涙の裏側では爆笑している可能性だってある。
    それでも人が「人相」から他者の内面を推し量ろうとするのは何故なのか?
    手でも足でも腹でもなく、「顔」に固執する心理とは?

    膨大、多岐に渡る引用文献や資料の数々が圧巻です。
    一般人は手に取ることすら適わないような、精神医学系の資料写真等を見ることができるのも興味深い(『精神科診断アトラス』の精神症状を演じる役者の写真、もっと見てみたいなあ)。
    また、漫画における「顔」の表現を集めたページに思わずニヤリ。知っている作品が取り上げられていると、ちょっと嬉しくなります……。

    診察室でのエピソードや、氏自らの醜形恐怖症経験までちりばめて、とにかく様々な角度から「顔」に迫っており、グイグイ読み進めてしまいました。面白かったです!

  • 博学…。目新しい論点というより、文章の巧みさにただただ舌を巻くってかんじ。

  • 見かけで人を判断してはいけない、見かけじゃわからない、と思う一方で、見かけでの直感が当たっていたと感じることや、内面が見かけに出る、と思うことも。
    こういうふうに見られるのか、と思うと冷や汗もでますが。。。

    闇というより忌に近いコワさ。

  • 多数の写真、図が怖すぎて途中で吐きそうになったため、残念ながら挫折。いつか読める日がくるだろうか…

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著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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