- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309409764
作品紹介・あらすじ
「人生ってきっと、ワタクシたちが考えているより、二億倍自由なのよ」。中学に入ってから不登校ぎみになった幼なじみの犬井。学校という世界に慣れない私と犬井は、早く25歳の大人になることを願う。11年後、OLになった私だが、はたして私の目に、世界はどのように映るのか?14歳の私と25歳の私の今を鮮やかに描く文藝賞受賞第一作。
感想・レビュー・書評
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山崎ナオコーラさんの文章は不思議。
いつも必ずドキッとさせられる。
薄暗い部屋のブラインドが上がって太陽の光が射し込んだかのような、3色刷だった世界がフルカラーになったかのような、そんな感覚。
見慣れた風景が輝きをまして、いとおしくなる。
私が立っていたのはこういう世界だったのか、と思う。
いいことばかりじゃない。
みんなのことが好きで、誰からも好かれて、そんな人間じゃない。
でも、だからこそ、心が通い合った時の喜びは大きい。
だからこそ、好きだと思える存在は愛しい。
神様との文通シーンが特に印象に残っている。
率直な言葉のやりとりがとても好き。
神様が「君枝ちゃんは、なんか、熱いよね。」って手紙に書くのを想像して、神様なかなかいいノリだなぁと嬉しくなる。
誰かが神様のふりをして書いてても、本当に神様が書いてても、どっちでもいい。
でも、この人が書いてたら1番嬉しいかもなと思う人はいる。
だから私の脳内ではその人が手紙を書いたことになっている。
本当にいい加減だけど、私の生きている世界は結局私の目と耳と手と鼻と口と足と‥、とにかく私の体が感じた世界だ。
そこを抜け出すことは出来ない。私のままでは。
だからいいんだ。
私の世界に存在する『浮世でランチ』では、こういうことになってます。そう胸を張って言おう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あっという間によめる。子供のころのほうも、会社員のほうも、考えていることが割と分かる。
子供のころの方のみんなの関係がすごくいい。
アジア行きたいな -
ダラダラが心地良い作品。退屈なダラダラではなく、有意義なダラダラ。不思議な読み心地でした。
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思ってもみない内容で正直頭が追いつかなかった。もっとじっくり噛み締めながら読めばもっと高く点数をつけられたかもしれない。主人公の、どこか偏った自分ルールに縛られている(本人はそう思わないのだろうが)ところが共感できた。わたしも自分の個性を出したいがためにおかしな方向に尖ろうとしたことがある、があまり思い出したくはない。けどそんな自分も受け入れながら堂々と前に進まなければならないのかもしれない。
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2016 1/11
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14歳と25歳の『私』。近頃facebookなどで、「いいね!」という言葉を沢山目にします。女の子どうしの間では「かわいいね!」と言い合う習慣が身についているように感じます。自分もみんなとおなじだとか、規則を破りたくなるたちでした。本当に皆が皆おなじものをみて、おんなじように感じているのか不思議に思うことが多々ありました。『私』のきもちはいつも素直に口に出せていないけど、宗教ごっこの神との文通、会社の同僚だったミカミさんとのパソコンでのメールのやりとりではピュアな少女に見えました。悩み、もがきながら進む女性はきれいだなと思いました。しかし自分は、犬井みたいな人になりたいのです。
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なかなか良かった。カラッとした寂しさがある。
子供のころの(今思えば)奇妙なこだわりや焦りを思い出した。アジア各国の描写も良い。 -
14歳と25歳の主人公。宗教や他人との関わり、自分の思う価値観。旅行先での情景は自分の中でとても想像できて、頭の中でタイヘ旅行できました。山崎ナオコーラさんは心を動かされる言葉や文があって、今回も読んでよかったととても思いました。
個人的な話で、小学生の頃くだらない理由で『絶交!!』って言って絶交した子がいて中学時代は一切口も聞かなくんです。その子に成人式の時に数年ぶりに会って『あの時は若くて見栄張ってた、ごめん』と何年か越しに仲直りしたことを思い出しました。 -
なかなかとっつきにくいタイプの主人公。
14歳の日々
生きづらさ
友達関係
宗教ゴッコ
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25歳の日々
生きづらさ
人間関係
自分探しの旅
物語には入り込めたけど、なかなか。なかなかとっつきにくかった。生きにくいだろうな、としか。
唯一、東南アジアの旅の情景が色鮮やかに心に残った -
ふわふわ不思議な読み心地。壁を撫でて歩いたり、コップの膨らみに魅力を感じたり。ナオコーラさん自身、世界に敏感で感受性豊かな人なんだろうなー、と。