- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309409863
感想・レビュー・書評
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昔から東京に憧れていた。高校生の頃から、東京23区の地図を本屋で買っては、授業中にかじりつくように眺め、いつかは行ってみたいと思った場所に赤ペンで印を付けたものだった。
東京の魅力は、銀座 赤坂 上野 渋谷 六本木といった街レベルの狭いエリアがそれぞれ固有の雰囲気を持っているという所にある。少し歩くだけで街を歩く人の服装や年齢層は変化し、建ち並ぶビルや家は姿を変える。雑居ビルと猥雑な看板がひしめく街があれば、丘の上には静かな住宅街がある。京浜東北線のガード下は飲み屋や雑貨屋がこれでもかというくらい詰まる一方で、皇居の外堀を走る中央線の沿線ではのんびり犬が散歩している。
同じ東京という町の中にこれだけ豊かな多様性が生まれたのは、東京が江戸時代から400年以上続く日本の中心地だったことに他ならない。江戸の町はエリア毎に行政機関や大名屋敷、商業施設を配置した計画都市だが、明治以降になってもその傾向を色濃く残している。江戸は明治・大正に引き継がれ、震災・戦災はありつつも昭和に引き継がれていく。
しかしながら、昭和末期のバブル景気による土地価格の上昇は、東京が刻んできた街の文脈をことごとく破壊してしまった。場所を問わず平凡なビルとマンションが乱立し、屋敷や個人商店は姿を消した。現代東京は戦後の面影さえも失いつつある。
前置きが長くなってしまったが、本書はそういった失われつつある昭和の面影を求めつつ東京の各地をノスタルジックに紹介するエッセイ風の本である。筆者は東京の歴史に堪能なので、読んでいて様々な発見がある。東京を何度も散歩した人でないといまいちピンと来ないと思うので、僕と同じ散歩趣味の人や東京住みの人にぜひ読んで欲しい1冊だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和の東京と今が描かれてます
東京好きの私にはたまらない
知らないことやなるほど~なんてうなづく事も
あって、大好きな本 -
銀座、丸の内、日本橋、京橋、有楽町、浅草六区、両国、上野、四谷、飯田橋、早稲田、恵比寿、自由が丘......。筆者が歩き、この本に紹介されている、東京の街、まだまだ沢山ある。読者は、それぞれの街に、なんらかの印象を持っているはずで、そう考えると、東京というのは個性的な街を持った、街歩きに適した都市ということが出来るのだろう。例えば、僕の住んでいるバンコク。「街歩き」という習慣自体が少ない。ショッピングセンターが集まっている地域はあるし、そこに人が集まることは集まる。でも、例えば、東京のターミナル駅周辺の休日の賑わいのように、人が通りを埋めて歩いているような光景はない。バンコクの代表的なショッピングエリアの一つサイアムでもそうだ。大きなショッピングセンターが沢山あり、ショッピングセンター内は多くの人で溢れているけれども、通りを歩く人は少ない。歩道が整備されておらず歩きにくい、何よりも暑いので、ショッピングセンター内のエアコンの効いた涼しい空間で過ごす方がずっと快適、そんな感じなのだろう。表通りを1本入ると、商店街があったりする。何十年か前の日本の地方都市の商店街のような感じ。個人商店が軒を並べる。値段も安い。例えばそういった商店街の中の散髪屋に入ると、60バーツ程度(170円くらい)で髪を切ってくれる。そういった商店街的な通りは、バンコクのいたるところにある。でも、それらは、いくつかの例外を除いて、例えば「表参道」「青山通り」「神田の古書店街」のように名前をつけて紹介されるようなものではない。同じ暑い場所でも、シンガポールはバンコクとはまた少し違う気がする。オーチャード通りなど、歩道がきちんと整備されている地域も多いし、地下のショッピングセンター的なものも多い。バンコクやシンガポールほど暑いわけではないけれども、台北などは、どちらかと言えば、東京に近い気がする。気候風土や住んでいる人たちの好みや、公共交通機関の整備状況などが影響するのだろうけれども、そうやって考えてみると、それぞれの都市にはそれぞれの個性があるということなのだろう。
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2010年3冊目。
行きたい場所が増えました。