旅の終りは個室寝台車 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410081

作品紹介・あらすじ

『銀河』『富士』『はやぶさ』『北陸』…寝台列車が毎年のように姿を消していく。25年前、本書に「楽しい列車や車両が合理化の名のもとに消えていくのは淋しいかぎり」と記した宮脇俊三の旅路がいよいよ失われていく。「最長鈍行列車の旅」等々、鉄道嫌いの編集者を伴った津々浦々の鉄道旅を締めくくるのは今はなき寝台特急『はやぶさ』だった…。

感想・レビュー・書評

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  • 発売と同時に読んだが再読、やはり面白かった。
    824列車 私も乗車したが長いとは思わなかった。
    飯田線:著者が中島みゆきの曲を無理やり聴かされる場面が面白い、赤石山脈はじめ山、川、河岸段丘の描写は見事。
    白鳥:見事な描写、山中温泉のパンフレットが笑える。

    中央構造線の旅 こんな面白い発想で旅が出来るのか。人吉から吉松間は鉄道の好きでない人にとっても楽しめる区間ではないだろうか。ループ線、大畑(オコバ)、霧島連峰の全容が望まれる。この矢岳峠の景観、篠ノ井線の姨捨からの長野盆地俯瞰が車窓の白眉。路線復活の際には乗りに行きたい。最後の東京への帰路は特急はやぶさ。西鹿児島駅発が正午過ぎの12時20分。時代を感じさせる。

  • 1982年~84年にかけて作者が、編集者と2人で鉄道旅をした記録。
    旅といっても電車に乗るのが目的なので、毎回テーマを決めてかなり過酷な旅をする。
    目的の列車に乗るために、その列車の始発駅までは新幹線や特急を使って行き、列車に乗り目的を達成した後はまた新幹線や特急で東京に帰ってくる。
    日本の鉄道旅も捨てたものではない、と思わせてくれる。ただし40年前であるが。
    北海道から九州までいろんな電車に乗るが、青森から大阪までの特急白鳥の旅が良かった。
    青森に前泊して4時50分の始発に乗り、13時間かけて大阪まで乗り通す。乗客の特徴や人数、駅での待ち合わせ時間、景色などの描写があり、一緒に乗っている気になる。2人旅なので、会話もあるが退屈して昼寝したり、食堂車へ行って飲んだりそれでもまだ大阪に着かない。日も暮れて乗客がほとんどいなくなった18:25、大阪に到着した。そして目的を達成したので、その日の最終新幹線に乗って東京に帰っていくところがまたすごい。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • ちくま文庫『宮脇俊三鉄道紀行セレクション著作集』で「にっぽん最長鈍行列車の旅」を読んで以来、ずっと読みたいと思っていた著作。2010/03発売なのでAmazonでも求められたが、安く(110円で)手に入れようと、しばらくのBOOKOFFめぐりの末、やっと(420円で)手に入れた。
     長らく一人旅を続けてきた著者が、芭蕉が曾良を、百閒先生がヒマラヤ山系君を従えるがごとく、”藍色の小鬼”こと新潮社編集担当の藍孝夫氏を従えての道中記。

  • 相棒の存在が良い。阿房列車の山系くんの味には及ばない気がするが、それは内田百間の凄まじいキャラ立ちのせいかな

  • 宮脇さんの博識に驚く。この博識あっての解説!

  • ・門司から福知山まで鈍行で1本乗り通し。
    日本海側をちんたら特急待ちとかしながら走ったら18時間半もかかるらしい。
    ・国鉄以外で東京から大阪まで。
    やっぱ鬼門は静岡だった。
    私鉄はないのでバスを乗り継ぎ。
    ・飯田線
    とにかく細かく駅があるんだって。
    ・東京-札幌
    まだ青函トンネルなかったんだね。
    朝東京出て夜札幌につくようになったよ!って。
    ・北海道に行ったので流氷見に行こう!
    札幌から12時間かけて稚内へ。
    流氷は1度見たい気がする。
    ・紀伊半島を鈍行の寝台車で。
    たぶん今はもうないんだろうな。
    三重から大阪の夜行とか意味わからんし。
    和歌山から大阪に早朝出てきたいときにいいんだろうけど。
    ・青森から大阪まで白鳥で。
    当時のお客さんの様子が、なかなか衝撃的。
    ・飯山・只見線。
    雪がすごいとこらしい。
    でも鉄道の積雪の記録って昭和20年なんだってね。
    只見線は景色がいいみたいで興味ある。
    ・中央構造線の旅四泊五日。
    フォッサマグナは知ってるけど、中央構造線なんて習ったっけ?
    まあその中央構造線をたどって電車だけじゃなくフェリーも乗り継いで熊本まで。
    この本の相方の編集者がなかなかいい味でした。

  • 百閒「阿房列車」を読後に宮脇氏の本書を読むと、藍君がヒマラヤ山系君に見えてきて可笑しくて仕方なかった。藍君が持参したステンレス製魔法瓶の中身を「日本酒?」と聞いたり、列車の停車時間に駅弁を買いに向かいのホームまで走る姿はまさに山系君だ。哀愁を帯びた本書のタイトルから、暫くの間積読だった。著者の鉄道旅が終わってしまうような感じを受けていたからだ。路線の廃止、多くの長距離列車、寝台車の廃止など、ある意味で著者が好きな鉄道旅の終焉を平成の世に実感することになった。せめて今残っている寝台特急に乗りたいと思った。

  • 『中央公論』の編集長で作家だった亡き宮脇俊三さんの
    鉄道旅の様子を描いた紀行集です。
    もう今はない特急が多くて新鮮に映りました。
    初めて宮脇さんの本を読みましたが、基本一人旅
    なんですね。でもこの本は「藍色の小鬼」こと藍孝夫氏が
    常に一緒でした。最初はつまんなそうにしていた彼も
    だんだんと鉄道旅の魅力に惹かれていって変化していく。
    これは藍氏の成長記でもあるのかもしれません。
    ぐいぐい引き込まれました。面白かったです!

  • こうして文章で書かれることで、昭和の鉄道旅行の様子が残っているのはうれしい。油の染み込んだ床、硬いボックスシートを思い出す。電車に揺られながら眠くなれば寝ちゃうような著者の力みのない淡々とした文章には、それでも不思議と旅情を感じるのだ。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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