- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309410289
感想・レビュー・書評
-
大正5年から9年にわたって連載されたのが「花物語」。それから10年を経て続編として発表されたのが本作ということらしい。「花物語」と本作「小さき花々」はかなり違うように感じる。第一に著者の作劇技術が向上しているし、文章もゆとりを感じさせる。第二に「花物語」がS要素を中心に据えて自由なイメージに溢れていたのに対し、本作は教訓的でキリスト教色も強く窮屈な感じがする。この違いは世相の違いを表しているのかもしれない。「小さき花々」は満州事変の頃だもんね・・・。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018/05/23-05/25
2023/08/28-08/30 -
進むにつれ濃くなっていった花物語の続編ということで、より濃厚なのを期待したが、豈図らんや訓話めいた話ばかり。エス・百合要素がないというのを置いておいても、おはなしとしての面白みに欠ける。
-
吉屋信子の短編集。花物語よりおそらくずっとあと、昭和に出たもので、文体も心なしか読みやすかったです(花物語より、わすれなぐさ寄り)。解説にもあったように、教訓めいた、でもそれだけじゃないなんとなく、悲しい気持ちや寂しい気持ちになるお話が多かったです。特に、「天国と舞妓」がお気に入り。最後の「女の子」は、ズル休み好きな私には耳の痛いお話でした笑。
-
「天国と舞妓」が特に好き。
短編集として、実は花物語よりも好きかもしれない。 -
吉屋信子が1935年に発表した少女小説短編集です。雑誌「少女の友」に『花物語』の続編として連載されたものをまとめたものです。どのお話も貧富の差などによって引き裂かれる少女たちを描いています。本書の特徴としては、社会的に強者の立場にいる女の子が主役になっている所にあると思います。「天国と舞妓」「素直な心のひと」「たまの話」などハッピーエンドではない作品が多いですが、この経験から大人の階段を登って行くのかなと想像したりしています。そんな中で、「田舎の親類」「小さい父さん」などは読むとほっこりします。
-
少女小説で昭和初期の乙女たちのこの雰囲気を醸し出せる人は吉屋信子この人以外に居ないと思う。言葉遣いといいそれほど独特の雰囲気。10作の短編でしたが、多くが思い上がったお金持ちの女の子が貧しくても優しい女の子を見下す(或いは都会の子が田舎を)パターンで正直少々ゲンナリでもあったのですが、そういう時代でもあったのだろうなとも。逆に言えば貧しい者の富める者(美)への憧れとか。
-
花物語の続編。らしい。とはいえ、短編集なので単体でもおけ。
昭和の少女の友情麗しい……みたいな、花物語と基本スタンスは一緒なんだけど、百合っぽさはこっちの方が薄い。あと、なんか教訓臭い感じするね。大体都会と田舎というか、上流階級と貧乏人の対立が多い。そして大体貧乏人の方が性格よかったりかわいかったりするんだけど、不幸になって、それを上流階級のお嬢様が哀しがる感じの……うーん……こう切なさはあるんだけど、もっと美しい感じのください!ってなると、花物語の方がいいのかなあ。美しさに正直なのはあっちかなあ。 -
身分の差や社会的背景から救いの無い話が多い。そうでないものは教訓めいている。但し決して不快なのではなく、むしろ自分の倫理観やそれを形成したこれまでを振り返りたくなるような郷愁を感じさせる。河出書房新社版で文庫本がいくつか出版されているが、装丁がどれも残念。中原淳一の情緒が恋しい。
-
天国と舞妓、素直な心のひと、田舎の親類、たまの話が好き。