ハル、ハル、ハル (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
2.94
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本棚登録 : 361
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410302

感想・レビュー・書評

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  • 単行本のときに読みそこなってそのままになっていた本です。

    まず『ハル、ハル、ハル』の、冒頭のクールさで持っていかれます。2人のハルが1人のハルを巻き込んでやらかしたことは、リアルにありそうだけど現実感がなく、ゆるいようでどぎつい。語り手がおっしゃる通り、ノワールであり、家族小説であり、ロードノベル。しかも、純粋かどうかは別として、登場人物もストーリーも文体も乱暴で、読み手には全然フレンドリーじゃない。

    賛否分かれるというのは単行本が出たときのうわさで知っていたのですが、読んでみると、どれも意外と嫌いじゃなかった(笑)。「そんなにこまごまとなめらかに説明しなくてもわかるでしょ、っていうかわかれよ」というSな感じで、どんどん場面が切り替わっていく。「結局、起こっていることはこういうことなんだよね」とまとめながら追いついていくのが大変だけど、それはそれで愉しい。Mか、私!

    何かがモチーフになって最後にまとまる連作集というより、『ハル、ハル、ハル』のイメージが、あとの物語を引っぱり、そこにちりばめられている印象を受けました。どれも鮮やかで危険な断片の物語だと思いますが、ピリッとオチが効いているのは『スローモーション』。一番どぎつくてクレイジーなのは『8ドッグズ』。『ハル、ハル、ハル』は他のかたがおっしゃるように、これだけで長編に仕立ててもいい物語だと思います(中編くらいがベストかもしれないけど)。

    こういう不親切な物語も面白いな…と意外と楽しんでしまったので、この☆の数です。円城塔さんの解説のオチがダッセーのが、弱点といえば弱点かもしれません(笑)。

  • ひとつ目の話読み終わって断念。文章がわたしにはついていけなかった。弟がかわいそうで苦しい。

  • 古川日出男は小説家だ。

  • 文学

  • 2010-7-4

  • 初古川ひでお。
    短編3つあって、三つ目でようやくこの作家のことがつかめた気がする。8ドッグス。
    彼の主戦力は熱を帯びた文体で、ほとんどそれのみでグイグイ引っ張る。それゆえ物語を展開させると全て作家の都合が表に出てきてしまう。
    この文体でこのあとこの作家はどういう勝負をしていくだろうか。最近の作品を読んでみたい。
    はじめは思いつきだったのかもしれないけど、それを形にしたのはスゴい。確かに、まともな神経じゃない。

  • 突き抜けた疾走感を持つ古川日出夫が描くノワール(?)小説三篇。

    いずれの作品も、日常にシームレスに自然に犯罪が入り込んでいき、
    そのまま、必然的に犯罪が人生の根幹となる不思議な構成で、
    どこに向かっているのかが全く分からない、、、けど、
    アクセルは踏みっぱなしな感じが、実に古川ワールド。

    物語の語り方も、三篇が三様(1作目はライブ中継、2作名はライブ日記、
    3作目はライブ独白)で、色々な楽しみ方を提供してくれる作品。

       ///

    表題作「ハル、ハル、ハル」

    1万円札10枚で家に置き去りにされた晴臣(「ハル」オミ)と弟。
    母親の再々婚の家庭からプチ家出を繰り返す三葉瑠(ミ「ハル」)。
    元エリートの今や家族からも捨てられたタクシー運転手原田悟(「ハ」ラダサト「ル」)。

    晴臣は拳銃を手に入れ、三葉瑠は家庭に抗い、二人にカージャックされた
    原田悟は「ハル」ファミリーの父親となり、犬吠埼に向かう。。。

       ///

    他2篇。

    甥・姪を攫われた女性が犯人の甥・姪を攫い、人質交換を計画する「スローモーション」。
    年上女性と遠距離恋愛に励む学生が、恋人の行きずり恋愛事情を知り、
    その相手を名刀「村雨丸」(金属バット)で成仏させる「8ドッグス」(八犬伝)。

  • 「本のまくらフェア」にて購入。

    好きではないが面白い。「すべての物語の続編」、まぁその通り。あらゆる物語は過程であり、どこかから続いてきた物語なのだと思う。そういう根底に漂う思想や概念は好きだし面白いと思うのだが、文章がどうにも受け付けない。読めない程ではないが、読もうという気にはならない。不思議な作家。

    解説が円城なのは「はぁ!?」と思ったが、わからないでもない気がする。

  • 本のまくらフェアの戦利品。“この物語は君が読んできた全部の物語の続編だ。”ってどんだけ大きいこと言うねん!と気になって買ってみれば古川氏だったという。なんだか凄く、納得した。
    短編が3つ入ってて、どれも相変わらずの暴力的な勢いでぶっ飛ばす話。
    古川氏のお話は、基本ROCKだなあと思う。考えるより、言葉を浴びて感じろ、それだけが正しい、という感じ。
    解説が円城氏で、表題作の目的地が灯台(犬吠埼)というところに、中身を見ずに購入した運命をちょっと感じたりした。呼ばれてたのかなぁ、と。

  • やっぱり古川日出男は合いませんでした。

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著者プロフィール

1966年生まれ。著作に『13』『沈黙』『アビシニアン』『アラビアの夜の種族』『中国行きのスロウ・ボートRMX』『サウンドトラック』『ボディ・アンド・ソウル』『gift』『ベルカ、吠えないのか?』『LOVE』『ロックンロール七部作』『ルート350』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ハル、ハル、ハル』『ゴッドスター』『聖家族』『MUSIC』『4444』『ノン+フィクション』『TYOゴシック』。対談集に『フルカワヒデオスピークス!』。CD作品にフルカワヒデオプラス『MUSIC:無謀の季節』the coffee group『ワンコインからワンドリップ』がある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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