みずうみ (河出文庫)

  • 河出書房新社
3.11
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本棚登録 : 547
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410494

作品紹介・あらすじ

コポリ、コポリ…はじまりはいつも、音だった。月に一度、水が溢れ出す「みずうみ」の畔に住む少年、身体が膨張し大量の水を体内から放出するタクシー運転手、そして、あの日、慎二と園子の身に起きた出来事-喪失と再生、物語と現実…「はじまりとおわり」のない、循環する「命」の産声を描いた話題の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • どう受け取るべきか悩む作品。今までの物語とはかなり違う印象です。
    3章仕立てで構成されていますが、それぞれがそれぞれに影響し合っているというか、同じことを全く違うアプローチで表したというか。また作者のエッセイを読めば3章は実体験を元にしていることは読み取れ、より一層どう受け取るべきか悩みます。
    正直、途中で一度読み続けるのを挫けそうになりました。しかし少し中断してまた読み直してみると、判らないままに染み込んでくるんです。そう、まるで水のように。コポコポと。

  • この衝撃的に素晴らしい物語をウー
    ごくごく飲みほして体を満たしたいのにアエー
    私の創造力ではこの世界観をちゃんと咀嚼できず
    読んでいて苛々したレーイレーイ
    いしいしんじすごいな

  • 「みず」のように、なくなったように見えるけれど存在する場所が変わっただけで、また生まれてやがてまた消えていく。

    浮かんだり、沈んだり、消えたり、現れたり、まるで日々の泡沫。

    生きるってそういうことなのかも知れないな、と読んでいて思った。

    読みながら夢の中にいるようだったけれど、それは本当に寝ていたのかも知れない。

  • いしいしんじ氏の作品は『ポーの話』と『四とそれ以上の国』しか読んでないのだけど、冒頭からしばらく読んで、その2冊が繋がるような気がしました。第1章。しずかに淡々として、すこし不穏で、これは何かが起こる前なのだとわかるけど、起こったことさえも淡々と描かれる。
    それこそひたひた水が満ちて、穏やかにまた引いていくような。

    3章のラストシーン。 これまで読み手の感情はそっと抑えられていたけど、ここでやっと解放される気がします。
    このシーンが最初だったのかな。今までの物語は全部、このラストに繋がるために生まれたのかなと思いました。

    水が満ちて溢れる。人はいろいろなものを失くしていくけれど、どこか遠くの水底にきっと眠っている。また生まれてくる。
    何か大事なものをなくしたときにこの本を読んだら、たぶん私は泣きそうです。それから、もっといろんなことを感じられそう。

    ところで一番好きなのは、タクシーの運転手です。面白くて一番ぐんぐん読めたのも、2章かも。

  • いしいしんじ作品についてのおぼえがき

    ”みずうみ”をよんだあとは、水音が印象に残った。
    水くみたちのみずうみから、タクシー運転手、分娩台まで全章にわたる水の気配。羊水ってどんな匂いなんだろ?としりたくなる。
    ものごとはおこるだけ。みずのなかを漂っていくような。

    ”死産”というほんとのできごとをゆったりふくんで流れている物語がよかった。
    実体験が入った小説はすきじゃないというひともいるけど、ただ受け入れるにはできすぎてて切なすぎる世界観だからこそ、人間臭さがあって安心できた。


    いしいしんじ作品をよむと「湿度」や「気温」や「匂い」を感じる。
    とくにみずの匂い。そしていつも羊水ってどんな匂いなのかなって知りたくなる。
    ぬくい水の底から、水面にはいってくる日のひかりを眺めてるような。

    大きな「ながれ」があって「ものごと」はおこるもの、という世界観が安心するような、でもこわいような。良いことも悪いこともなくて、ただ「ながれ」の中にいるだけ。

    だからなにかうまくいかないとき、そんな雰囲気が親しくて、でも漂うにはこわくて、ちょっと反抗してみたくなる人間臭さが恋しくて、いしいしんじの本をよむ気がする。

    麦ふみクーツェ、プラネタリウムのふたご、ポーの話、それから、みずうみ、ある一日、四とそれ以上の国と順々にもういちどたどりよみしたくなった。

  • アルプスと猫を読んでからだと余計に三章が苦しかった
    作者はのたうつような悲しみの中でこれを書いたんだろうなと思ったから
    好きかと言われれば素直に頷けないけれど では嫌いかと言われたら そんなことはない と言いたい それにしても最近のいしいしんじは粘性というか生々しさを感じるようになった ポーのあたりから特に

  • 第一章までは、いしいしんじらしくよかったんだけど、二章・三章は読みづらかった。。あまり合わなかったです。

  • 読むのに時間がかかった。
    最初は童話のような、そして夢の中に迷い込んだような話だった。解説を読んでなるほどと思った。

  • 3章からなる第1章は童話のような世界で湖の周りで暮らすひとたちで、第2章からは現代になってタクシー運転手がときおり水を噴き出すお話、第3章は日本人とアメリカ人が出てきて最後は誕生したばかりの嬰児が水を噴き出す。ぜんぱんてきによくわからず、なんども読むのをドロップしようと思ったがなんとか読破した。解説によると、他の作品は面白いようだ。機会がもしあれば。

  • この本が本棚に並ぶことを想像するだけでフワフワした、言いようのない気分になるのです。

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著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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