巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)

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著者 : 石井好子
  • 河出書房新社 (2011年7月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410937

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて購入。
    90年以上も前に生まれて、パリでシャンソン歌手としてデビュー、活躍された著者によるエッセイでした。
    パリやスペイン、ドイツなど海外の話や、おいしい食事の話が綴られていて、一昔前の話だということを差し引いてもどれも新鮮で見たことのない世界ばかりで読んでいてうっとりしました。

    当時は日本人が海外で活躍するなんて、旅券も自由に手に入らないということを鑑みても非常に希なことだと思います。
    上流階級に生まれた人特有の品の良さや機知に富んだ様が垣間見れて、すこし背筋が伸びるよう。もちろん女性一人海外で活躍するにはかなりの努力と覚悟が必要だったと思いますが、おいしい料理を作って大切な人をもてなして、彼女の文章には悲壮感や苦労感は一切なくて、女性から見ても惚れ惚れする女っぷりを感じました。

    特筆すべきは、やはり食べ物のこと。
    食べるのが好きという著者が描くだけあって、読んでいて思わず食べたくなる、作りたくなるものばかり。難しい言葉なしに作り方がさらさらっと書かれてあるので、思わず作れそうな気もしてくるし、おなかがすいている時に読むと危険です。
    古き良き時代、なんて言葉が脳裏をかすめるくらい、この本からは素敵な時代の香りが漂ってきます。それも、おいしい料理の匂いとともに。こんな生き生きと活躍された日本人女性がかつて海外にいたことを誇りに、長く読み継がれてほしいエッセイでした。

  • パリだけではなく、スペインやアメリカなど仕事で訪れた先での食事にまつわる思い出やレシピを綴った50年ほど前のエッセイ。

    図や写真なしでもその料理のにおいと湯気が漂ってきそうな文章。
    「バタ」とか「メリケン粉」なんて表現に少し古さがあって、それも良い。
    本当に食べること、料理することが好きなんだなあ、とわかる本でした。

    おいしいものを食べたくなるし、おいしいものを作りたくなる。
    それを仲間で囲みたくなる、そんな本です。

  • 著者が下宿していた巴里のアパートの未亡人が作るオムレツから始まり、歌手の著者が舞台合間に食べたカフェのメニュー、フランス料理の数々、留学したアメリカでの食事、演奏旅行したスペイン、イタリア、ドイツの料理を詳しいレシピ付きで描いたエッセイ集。もの凄い数の料理とそのレシピが書かれていて、行間からその料理の匂いが浮かび上がり、食欲はそそられ、空想力は羽ばたく事請け合いです。レシピも著者自身が作っている物なので十分手に入る材料で仕上げ具合の描写もわかりやすい。ただ、この本は空腹時に読むのはお薦め出来ません(笑)。

  • いやはやずうっと気になりつつ読んでいなかったので、文庫化に際して購入。
    いいですねぇ。予想に違わず大変好きでしたわ。半世紀も前のエッセイなのに今でもオシャレと言われちゃうようなお料理がたくさん。
    バタをたっぷり使った西洋料理、わたし大好きなのです。ほんと和食より西洋料理が好き。そんな人にはたまらないものがあります。「東京の空の下オムレツのにおいは流れる」 (河出文庫) も読みたい!

  • 好きだなあ。

    出会い自体は、古本の販売もしている喫茶店で読んだこと。
    かなりいい人そうなご夫婦がやってらっしゃるお店で、好きなお店です。
    お店の紹介はさておき、
    有名な本だったのは知らなかったんだけど、
    半年くらいずっと頭から離れなくて、
    本屋さんで文庫本を見つけてテンションアップ。

    「バタ」っていうのがいいんだよねーー。

    これを読んでから、夜食=オニオングラタンスープだと思うようになった。
    そして実際、作った。おいしいし幸せだ。
    服がよれよれでもおいしいものを食べるって 本当かよーーなんか素敵じゃないかーーー

  •  今から50年程も前に書かれた料理エッセイ。今では珍しくもない料理の数々もその当時は憧れを掻き立てられるものだったのが感じられ、又レトルトや冷凍食品が普及していないからだろう大抵のものは自分で作っている。
     現代日本ではおよそ手に入らない食材も、食べられない料理も探すほうが困難だろう。でもこのエッセイを読むと、不自由だからこそ工夫の楽しさがあったと思えるのだ。

  • 1951年にフランス留学し、パリでデビューしたシャンソン歌手、食いしん坊で「お料理上戸」の石井好子さんの本です。食いしん坊の私は読んでいるとついつい食べたくなり、お料理したくなり、この本を読んだ当初は洋食ばかり作っていました。サラダ・ニスワーズ、ラタトゥイユ、グラティネ、ポトフ、シチュー、ブイヤベース、豆のスープ、ポークアンドビーンズ、パエリァ、ヴァレンシアーナ、ザウエル・クラウツ…もちろんオムレツも。この本が暮しの手帖社から出たのが1963年。著者の語るヨーロッパやアメリカでの生活やお料理はもの珍しかったことでしょう。

    おいしいものを食べよう、おいしいものを作ろうと思う心があれば、きっと人生は楽しい、どこにいてもどんなことがあっても生きていける。その思える一冊です。

  • 本は有名なので知っていたが著者のことはさっぱり知らない、世代が違う。半世紀前のパリでの暮らしを綴ったエッセイ。
    文章、料理の描写が独特ないい雰囲気で読んでいて心地いい。様々な料理を紹介しているがまるで肩肘を張ったところがなく、日常の情景に溶け込んだ描写で親しみが湧く。冒頭のオムレツのエピソードや終盤の家族の食歴のエピソードなどこれまで読んだ食エッセイのなかでも屈指の名文だと思う。

  • 元祖、料理エッセイと呼ばれる、シャンソン歌手石井好子による、戦後ヨーロッパ留学中の料理や食べ物についてのエッセイだ。食べるのが大好き、という人にはおすすめの一冊。まだ海外の食事が日本国民から縁遠かった時代に書かれたものであるが、今の時代に読んでも中途半端なエッセイストが書くグルメリポートより、はるかにすっと入ってくるものがある。

    タイトルのオムレツは実に美味しそうだし、ラザニアやパエリアのように今となっては馴染み深い料理も珍しい料理として紹介されるので面白い。フランスに10年くらいいたそうで、フランスの料理がメインであるが、意外なことにムール貝の蒸した料理については触れられていなかった。あれはすごく美味しいのに。面白かったのは、彼女が、日本は紅茶を美味しく淹れないと嘆いていて、いまでも日本はカフェでは紅茶後進国で、ここだけは変わってないなあ、とため息をついてしまった。

    もともと食いしん坊だった石井は、料理が出来ない、料理下手な女性だったというが、何度も大きな失敗を重ねて、おいしく食べるコツをマスターしたようである。紹介されるレシピも、本格的な材料が無くてもできるように、そして手順は、機械的ではなく、どういう色や形になるかが具体的な表現でなされているので、家庭的な味わいがして嬉しい。

  • 「東京の空の下~」のほうを先に読んでから、こっちも読みたくなった。

    今時は、この本が書かれたころほど「憧れのパリ」ではないはずだけれど、それでもやっぱりこれを読むと「憧れのパリ」ってかんじがするのは何故なのか。

    ステージを終えた後の夜食、工夫して作る「日本食風」のおもてなし料理。
    「異国で暮らす」ということへの憧れが呼び起されるのかもしれない。

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巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)の作品紹介

戦後まもなく渡ったパリで、下宿先のマダムが作ってくれたバタたっぷりのオムレツ。レビュの仕事仲間と夜食に食べた熱々のグラティネ-一九五〇年代の古きよきフランス暮らしと思い出深い料理の数々を軽やかに歌うように綴った名著が、待望の文庫化。第11回日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。

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