山に生きる人びと (河出文庫)

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著者 : 宮本常一
  • 河出書房新社 (2011年11月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309411156

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山に生きる人びと (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 宮本常一の民俗学は、柳田国男のそれとちょっと似ているが、より庶民的な風景を描き出す点が異なる。
    柳田民俗学は学術的というよりしばしば随筆的で、文体は極めて文学性が高く、凝縮されたものだった。それに対し、宮本常一の本はずっと平易で、親しみやすい。その文体が、名もない庶民の民俗誌を描出しようとする彼の民俗学的志向とぴったりマッチしている。
    この本はサンカ、マタギ、木地屋、平家等の落人など、あえて山に住んだ人びとの生活をテーマとする。彼らは狩猟と採集で食料を得るが、結局それだけでは足りないということで、平地の村落まで降りていって交易する。平野部の水田地帯に定住した人びとに対し、山の人びとは「歩く」ことによってそのノマドぶりをあらわす。
    ただしこの本は、興味深いエピソードを持ちながらも、あまり深い探究はなされていないように感じた。

  • 昔、村の境界線の向こうには異界が広がっていた、という認識の元を見る思いがした。
    彼らは定住民の村人にとって理解しがたい共通認識を持つ集団であり、利益と不利益をもたらす両義的な人々であっただろうという事がうかがえる。

  • (01)
    山の可能性を描いている。一見すれば、本書は過去へのノスタルジーに支えられているようにも見受けられるが、著者が未来の未来を見据えたときに現われた山の生活(*02)と読むこともできる。交通、生産、信仰、闘争など山にありうる生き様を、著者が山を歩きまわるうちに出会ったものを根拠に示そうとしている。

    (02)
    この生活は過去の日本列島の生において一般なのか特殊なのかと考えたとき、その動的な可能性に力点が置かれている。つまり、人は山を生産手段も求めることもあるし、里に暮らすこともあり、そのときそのとき、その場その場で、しのいでいる人びとの選択や意志も見えてくる。そして人びとの移動が単一でない複合的な生活手段を開発(*03)している。この山稼業コンプレックスともいうべき器用さと技術が山の仕事に集積したという事実は面白い。

    (03)
    開発がもたらしたのは当然に資源の枯渇であった。獣、木、鉄などの資源が加工され消費地に流通され、山から資源が目減りしていった過程も本書に詳しい。むしろ、高度な加工や頻繁な交通は資源不足の常態化の上に築かれたものと見るべきであろう。

  • 宮本常一氏の「山に生きる人びと」、1964.1刊行、2011.11文庫化、「海に生きる人びと」に次いで読了しました。農林水産業、農山漁村といいますが、平地での自給自足、農業よりかなり高度の技を要し収穫にバラツキがある漁業、そして林業の厳しさ、山に生きる人びとの暮らし・・・、なんとなく感じてはいましたが、この本を読んでよくわかりました。昔は物々交換本位制、今は流通の恩恵にあずかっていますが、「自分が自分の力で生きていく(大変さ)」という原点を忘れないようにしたいと思いました。

  • 民俗学者である宮本常一氏の著書、人里離れた山中で暮らす人々について考察する作品。

    人が山で暮らすようになった経緯は色々だが、もともと山で狩猟生活を行っていた民族は、焼畑による畑作へ移行する場合が多く、平家の落人のように平地から山間部へ移り住んだ人々は、棚田などで稲作を行う事が多いそうだ。

    山での職業も様々で、狩猟を行うマタギ、食器や民芸品を製作する木地屋、木材を切りだす杣人、鉄山で働く鍛冶屋や炭焼きなどなど、実に多種多様である。中でも木地屋が偽の文書で役人をだまし、全国各地で商いを行っていたという話や、江戸時代に酒の輸送で活躍した鴻池が、現代でもサントリーなど酒造メーカーとの取引が続いているのは大変興味深い。

    論文タッチで記述されているので、文書的な面白さでは『忘れられた日本人』にはかなわないが、資料としては非常に価値の高い作品だと思う。

  • 新書文庫

  • とてもよかった。宮本常一の本を読んだのは3冊目だが、一番心をつかまれた。山とか森とかについて書いているから、だろうか。
    50年前の本で、「山に生きた」ではなく「山に生きる」と銘打つことができる時代であったことにジェラシーも感じさえするが、いやはやそうだとしても見事な見取り図である。
    そしてまた俺自身が、各地の森や川に触れてきて実感できることも増えているからというのもあるのだろう。

    塩の道としての川、信仰対象としての山…。
    木曽の木材が姫路城再建や(墨俣であげるのを経て)南禅寺建立にも使われたということ。
    サンカや木地屋が美濃山中にもいたということ、近江方面も含めて山沿いに回遊していたということ。
    鍛冶屋や鉄山師や炭焼きのこと。多種多様な職が山(森)にはいて、でも次第に里におりてきたということ(特に、ダムによる水没や災害の影響により、しかも映ってきたあとはそれなりに新天地を気に入っていたりもする。。。)

    いずれ、山や森の暮らしも、単に林業とか木こりとかひとくくりにしてはいけない、と思った。また岐阜近辺も古くから様々に、山や森に根差してきたのだな、いろんな山の生き方があったのだな、と知った。

    特に、木地屋の話を最近きいたり、鍛冶屋体験をしたりしたのも効いている。鍛冶屋に関していえば、木炭をとても多く使うということ(発見)とか、あるいは小屋の素朴さとか、ふいごの便利さとかの実感も、今にして思えば収穫。又、森を転々としながらろくろ等を使ってお椀等の製作にあたり、各地で小屋を建てていた木地屋のことも、興味が出てきた。本と体験とは、車の両輪であるよなぁ。

  • 山に生きる人たちを平地の人とは異なるルーツを持つという解釈。なかなか面白い。

  •  目次
    塩の道
    山民往来の道
    狩人
    山の信仰
    サンカの終焉
    杣から大工へ
    木地屋の発生
    木地屋の生活
    杓子・鋤柄
    九州山中の落人村
    天竜山中の落人村
    中国山中の鉄山労働者
    鉄山師
    炭焼き
    杣と木挽
    山地流通のにない手
    山から里へ
    民衆仏教と山間文化
     付録 山と人間
    一 山中の畑作民
    二 畑作民と狩猟
    三 狩猟・魚撈・籠作り・造船
    四 木工民
    五 山岳民

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山に生きる人びと (河出文庫)の作品紹介

山には「塩の道」もあれば「カッタイ道」もあり、サンカ、木地屋、マタギ、杣人、焼畑農業者、鉱山師、炭焼き、修験者、落人の末裔…さまざまな漂泊民が生活していた。ていねいなフィールドワークと真摯な研究で、失われゆくもうひとつの(非)常民の姿を記録する。宮本民俗学の代表作の初めての文庫化。

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