邪宗門 上 (河出文庫)

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著者 : 高橋和巳
  • 河出書房新社 (2014年8月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (601ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413099

邪宗門 上 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 下巻にて。

  • 天才です。

  • とんでもない小説に出会ってしまった。
    百万人以上の信徒を抱える新興宗教団体・ひのもと救霊界。
    国家の弾圧によって教主が投獄され、教団内部でも分裂や対立が起こる。
    教団に拾われた少年・千葉潔を軸に教団内の人物の心情が見事に表現されていて、どんどん作品の世界に引き込まれていく。
    戦争に向かう不穏な時代、貧困に苦しむ農村部。
    救いのない社会情勢が救霊会の特異性をより際立たせている。
    崩壊した教団。大学生になった潔。細々と教団を守る教主の長女・阿礼。遍路の旅を続ける次女・阿貴。
    下巻ではどう展開させるのか、楽しみで仕方がない。

  • 読み応えのある小説であるが、残念ながら読み通せず。
    今度手にすることがあったならば、261頁の第15章(公判その一)から読むとしよう。
    まあ、その機会はないと思うが。

  • 本書は1980年くらいまでは名著として知られ、文学に興味を持つ者なら誰でも読んでいたらしい。
    恥ずかしながら自分は昨年まで本書の存在すら知らなかった。
    そして、この一か月ほどの間に読み切ったわけであるが、この本を今まで読んでいなかった自分に飽きれるほどの圧巻の大作であった。
    戦争へと突き進む不条理や、宗教と生活の関連など、多くのテーマが詰め込まれているが、娯楽小説としても十分楽しめる多面的な読み方のできる小説である。
    東大教官の進める100冊?か何かにはリストアップされていたらしいが、再度広く知られることを願う。

  • これだけの本を書く筆力に圧倒される。実際にあったのだろうか?

  • 図書館で借りてきて通勤の行き帰り、家に帰って落ち着いた時間にずっと読んでいたが2週間の返却期限までに200ページしか読めなかったのでそこまでのレビュー。
    文体は平易で意味はスッと頭に入るのだが、所々最近は使われない言い回しがあり、昭和初期の空気感を出すのに貢献していたと思う。

  • ひさびさ、骨のある小説を読んでいる。

  • 戦前~戦後を舞台に巨大宗教団体の栄枯盛衰を描いた日本文学の傑作。
    京都府神部盆地(実際の地名なのかわからない)に本拠地を置く、百万信徒を誇る強大宗教団体・ひのもと救霊会。戦前戦時下の国家による教団弾圧によって教主は投獄され、内部では信徒の転向、分派独立騒動が起きる。物語は、そんななか孤児の少年、千葉潔が教団を訪れ拾われるところから始まる。
    上巻は戦争へと突き進む日本の世相を背景に教団内部の息苦しい権力闘争と度重なる国家の弾圧によって教団が分裂していく過程や、千葉潔の成長と彼と関わる教団内の人間関係が、リアルな国家の暴力とともに細かく描かれている。

    下巻では、敗戦後生き残った信徒たちで教団は再興する。千葉が教団内リーダーとなり元教主の娘・阿礼と共謀し、教主の座を簒奪。だが、米国占領統治下の混乱を背景に供出米拒否をめぐる警察・占領軍との小さな騒動をきっかけにして教団は尖鋭化する。ここからはジェットコースターのような展開で、国家からの独立をもとめて‘世なおし’と称して武装蜂起し破滅へと至る。


    上下巻あわせて大変長い物語だ。
    長いがために登場人物たちに感情移入する度合いも高く、高いがゆえに陰惨な末路をむかえる千葉や阿礼、教団信徒たちに悲しみを覚える。全く救いのない絶望感しか残らない。読後の後味の悪さは最低である。


    だが、最後まで読ませるストーリー構成と展開は凄い。時代考証の緻密や、作り込まれた人物造形は抜群である。崇高で高邁な理念を掲げ宗教的ユートピアを作り出そうともがくほど思想と現実が乖離し、凄惨な光景が繰り広げられるというアイロニー。それをここまで精密に描き切った小説が他にあるんだろうか、と思うほどだ。


    なにより詩情をたっぷり含んだ筆致が素晴らしい。
    文章が美しいか否かなんて読み手の主観だが、この美しい散文は物語るための道具でなく、情景描写でもって人物の心象を表現するという堀辰雄のような手法があるわけでもない。また宗教教義や革命思想が多くなりがちな観念的な記述内容と物語の中和を図るために書かれたわけでもない。散文が散文として美しく輝いている。解説の佐藤優さんはこの小説は「観念小説」であると記している。観念小説とは自らの理念が現実になった場合、どのような出来事が起きるかについて描いた虚構の物語だという。確かに本書は観念小説だろう。だが、それだけだろうか。神部盆地の情景描写から始り荒廃した神部の描写で終わるこの長い暗い物語は、底暗い内容なのに至るところに叙情性豊かに情景を描写した文章がある。この美しい散文だけでも私は読まずにはいられなかった。

  • 大本教をモデルにしたある宗教団体を通し、戦中・戦後史を描いた大作。上巻には第二部の途中まで収録。
    端正な文章は好み。読んでいて気持ちがいい。

    貧困・病苦・弾圧……等々、作中で発生する出来事は決して明るいものではない、というかめっちゃ暗いw その分、登場人物が見出すちょっとした幸せが輝くのだろう。
    『信仰は人を救うのか?』というテーマは確かに重いが、読み応えはある。

    高橋和巳のイメージというと、『若くして亡くなった』『全共闘世代の支持を受けたが、その後は忘れられた』というのが一般的なところかな? 名前を知った時には既に入手困難だったので初めて読んだなぁ。

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