最後のトリック (河出文庫 ふ 10-1)

著者 :
  • 河出書房新社
2.68
  • (34)
  • (157)
  • (471)
  • (327)
  • (126)
本棚登録 : 3883
感想 : 434
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413181

作品紹介・あらすじ

ラストに驚愕!犯人はこの本の≪読者全員≫!謎の男が「命と引き換えにしても惜しくない」と訴えるミステリー界究極のトリックとは?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読者が犯人? 読んでるあなたが犯人になっちゃう! 驚天動地なトリックを体験しよう #最後のトリック

    ■あらすじ
    小説の創作に不振を喘いでいたミステリー作家に一通の手紙が届く。なんと「読者が犯人」を可能とするトリックを高額で売りたいという内容だった。
    当初は疑心暗鬼の彼だったが、そのうち彼の手紙を待ちわびることとなり…

    ■レビュー
    面白いですね、よく小説として成立させました!
    トリック一発だけなのでは…と若干不安でしたが、ところがどっこいお話としても丁寧で読みごたえがあります。
    プロットや登場人物などの枠組み、構成がすごく上手い、あっぱれです。

    特に大好きなのは主人公の人間性ですね。
    気持ちわかるなぁ~ 自分も同じ立場だったら、いろんな人に相談したり、言い訳を考えつつ期待しちゃいそう。見てはいけないけど、気になる!みたいな。ちらっちらっ

    そしてなんといっても「読者が犯人」というトリック。
    フェアで納得性も高く、小手先でのトリックではありません。発想力に完敗です。

    一体どんなトリックなんだ?と気になる方は、ぜひ読んでみてください。
    ホントにあなたが犯人になりますよ。

    ■推しポイント
    やっぱり作者の本格ミステリーへのこだわりが好き。
    正直ミステリーファン以外には、単なる滑稽な作品と一蹴されてしまうかもしれません。

    しかしながらミステリーファンには分かる。
    長きにわたるミステリーの作品史をいくつも紐解き、難題に挑戦するという意気込み。このトリックで物語を成立させようとしたミステリー愛。そして若干の強引さも愛嬌。

    ファンに楽しんでいただこうという意気込みが感じられる素敵な作品でした。

  • なんかレビューが賛否両論臭いけど、個人的には結構すき。 
    メフィスト作品らしくて良いと思う。
    確かに帯が少し過剰宣伝っぽくは感じたけど。
    ちゃんと読者が犯人だったし。

  • ラストにガッカリ、これはストーリーに無理があるかな。読者を犯人にするには、内容が薄く弱いと個人的には思いました。

  • 「お父さん、これ面白いよ。読んでみる?」

    中学生の次男坊から勧められて手に取った。

    「犯人は読者である」

    ミステリーの歴史の中で出し尽くされたアイディアのなかでも、これこそ究極のトリック。

    だが、そんなことが可能なのだろうか?

    一歩間違えば茶番になりかねない。

    それは杞憂だった。
    圧倒的な筆力とリアルさで、作家深水黎一郎の世界に引き込まれていくからだ。

    散らかったように思える物語の要素が、中盤以降一つ一つ丁寧に回収されていく見事な展開。

    「そう、私は取り引きがしたいのです。私のアイディアを貴殿に売りたいのです」

    作家に手紙を送り続ける、香坂誠一の人生に気がつけば共感している自分がいる。

    その運命を、宿命を何とかしてあげられられなかったのかと、我が友のように思いを馳せてしまう。


    「やっぱりさ、確かに読者が犯人だよ、この小説」

    そう言われて息子に手渡されたこの本。

    たしかにその通りだ。

    犯人は間違いなくこの本を読み切った読者に他ならない。

  • 大雨も落ち着いて天気のええ秋田です

    ってな事で、深水黎一郎の『最後のトリック』

    とある作家に香坂誠一と言う知人でも何でもない見ず知らずの人から手紙が届いた。

    内容は読者全員が犯人になるミステリー小説のアイデアを2億円で買わないかという内容の手紙…。 ⁡
    ⁡⁡
    ⁡初めはそんな内容に不信感を持ちイタズラと思っていたが、やがて二通目、三通目と手紙が、届いてくる。

    その手紙には香坂が書いた覚書なる自叙伝的小説。⁡
    ⁡⁡
    ⁡その内容からは読者全員が犯人になるアイデアは一切垣間見れない…。 ⁡
    ⁡⁡
    ⁡と色々有りながら最後には…! ⁡
    ⁡⁡
    ⁡なるほどw と思わせるトリックと言うかアイデアが秀逸でしたなw

    2015年53冊目

  • 「最後の不可能トリック『読者が犯人』を可能とするアイディアを買わないか?」ある日、作者は見知らぬ男から、手紙で取引を持ちかけられる。初めは半信半疑の作者も、興味を抑えきれなくなり、やがて、物語は意外な結末を迎える。

     エドガー・アラン・ポーが世界初の推理小説を書いて、早180年。世界中で数多くの推理小説が書かれ、意外な犯人を演出するのも難しくなってきました。それだけに、『読者が犯人』という触れ込みには期待していたのですが、何だか不完全燃焼で終わってしまいました。
     トリック自体は悪くないと思うのですが、飛び道具的な方法なので、序盤の本格ミステリに関する記述が脚を引っ張っていると感じました。初めから、「今までのミステリーのタブーに触れる」「ミステリーへの問題提起」等の書き方をしてくれていれば、最後にモヤモヤは残らなかったと思います。
     ただ、話の展開に不要だと感じた描写が、物語の核心をついており、トリックの荒い部分を上手くフォローしているなと感じました。
     また、途中に挟まれている私小説は、繊細で、どこかノスタルジーを感じさせるもので、好感を覚えました。 
     それに、中盤で明かされた秘密には、物語に出てきた警察と一緒になって、驚かされました。むしろ、こちらの仕掛けをメインに何か書けたら面白いのではと思いました。
     
     私はミステリーのトリックについて(面倒な)こだわりがあるので、とにかく面白い話が読みたい!新しい発想に触れたい!という人にはオススメな本です。 

  • 後輩くんにオススメされて+「読者が犯人」というフレーズに惹かれて購入、読了。

    うーん…まぁ何せオチがドイヒーですねぇーーーm(_ _)m
    へたに長いだけに「時間返せやー」ってなります(笑)

    やはり、ミステリーには「納得感」が大切だなぁと改めて…
    「ある程度許容しうる常識の範囲内でストーリーが構成されていること」が前提となり、そのフェアな姿勢が「納得感」に繋がるのかなと。

    ある種超常現象的なものに頼ったこのオチだと、「宇宙人に殺された」って言ってるのと同じようなもんなのかなと。

    あと、実質的に読者が読んでいるのは「本」であり、物語中で凶器?となった「新聞」ではない…とか、そんなところもチラホラ気になりましたが…

    まあ、特に読む必要は無い本ですね(笑)

    帯の島田荘司さんの小説を読んだ方が、はるかに有意義かと( ̄∇ ̄)

    <印象に残った言葉>
    ・簡単に言ってしまえば、読者というのは作品外の存在ということだよ。(P55)

    <内容(「BOOK」データベースより)>
    「読者が犯人」というミステリー界最後の不可能トリックのアイディアを、二億円で買ってほしい―スランプ中の作家のもとに、香坂誠一なる人物から届いた謎の手紙。不信感を拭えない作家に男は、これは「命と引き換えにしても惜しくない」ほどのものなのだと切々と訴えるのだが…ラストに驚愕必至!

  • 【ネタバレあり】


    この本を閉じたとき、読者のあなたは必ず「犯人は自分だ」と思うはず?!という、裏表紙のうたい文句につられて。こんなの読まずにはいられないやろー!と手に取った一冊。
    読み終わったあと、なるほどなぁと思ったけど、やられた感はなかったです。
    ミステリにおいて実際そんなことが起こり得るのか?とか考えるのは邪道だと思ってるのですが、今回はそれが先に立ってしまって、自分が犯人だ…とまではいかなかったかな。被害者は「自分の作品が読まれている」と思うだけで勝手にはずか死してしまうのですから、読者が実際に読んだかどうかは関係なかったわけであって…と被告は主張したい(笑)でも、こういういつの間にか読んでいる自分が物語に参加させられている話は好き。「犯人は読者」というテーマに挑んだ意欲作ではあることは間違いないと思う。

  • 読者(私)が犯人なのか〜...

    手紙を受け取り、茫然としつつも興味をそそられていく状況と、私小説だと思わされていた生活、超能力のくだり。伏線だったのね!まんまと騙された。
    私はどういう風に犯人になっていくのだろうと考えてみながらもわからないまま最後を迎えた。
    手紙の主は幼少期から少し屈折した感情を持ち、決して明るい楽しいなどとはほど遠い状況で過ごし、多額の借金を負わされていたにもかかわらず、誰かを守りたいという愛に満ちた感情で最後を迎えている。それを受け止めて過ごす時、ついに最後となる時、安堵していて欲しいな。

  • 読んでる最中には気づけたけど、なるほどという思いとんな無茶苦茶なと思う気持ち、博士の実験と考察が並行してずっと追随してた件でどこか説得されてる感。
    話と主軸と外れるかもだけど、5枚のカードでそういうことに使えるのか、と感心。もう少しで双子を見る目が変わりそうになるとこだった。
    66冊目読了。

全434件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

深水黎一郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×