仝(どう): selected lectures 2009-2014 (河出文庫 さ 26-3)
- 河出書房新社 (2015年2月6日発売)
本棚登録 : 104人
感想 : 10件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309413518
感想・レビュー・書評
-
表紙と帯(カントになるか、さもなくば革命だ。)がシャレオツだったから買った。作家であり哲学者でもある著者の講演集。本文に「煽りは大嫌い」と言うだけあって? 思ったより過激な主張はなく、ニーチェ等の書物に真摯に向き合う印象。
死と終末論に関する初めの二章は割合わかりやすかったが、以降は現代の社会問題を多分に含み、少々難解に感じた。おそらく私が現実に興味を持たずに生きていて、現状に疎いからだろう。いやでも、そんな自己完結した夢想の中で腐ってるような人間でも読み物として楽しめて、且つ「現実って思いの外深刻で、暢気に腐ってられないや」と薄目を開けさせる力はあった。目覚めたと言うほどではないし、安易に目覚めた、なんて言う輩ほど胡散臭いものもないので、薄目程度。
「一回読んでわかる本なんて大した代物じゃない」そうなので、恥じることなく「一読ではわからなかった」と言いながら、再読しましょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐々木中を「気持ち悪い」と言う友人もいる。それもわかる。だって彼の書く小説はナルシスティックで気持ち悪く、読むに耐えないから。古井由吉の改悪模倣だとも言える。
けれどもやはり、彼が芸術的実践から離れるやいなや、読ませるのである。いっそのこと、行動派哲学者を自称したらどうか。