- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309413549
感想・レビュー・書評
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「命をかけてた恋が、終わっちゃったの!」 失恋して自殺未遂したと噂される女友達。見舞いに行った「私」に、彼女が語った恋の真相とは? 心の闇へと誘う著者初の連作短篇集。
森見登美彦が本作の文庫本のあとがき(「太陽と乙女」に収録)で褒めていたので読んでみた。綿矢りさは芥川賞作の「蹴りたい背中」を読んだとき「蹴りたい作品」と思ってから離れていたけれど、本作はそれなりに読み応えがあった。「心の闇」というほどではなかったけれど。
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『憤死』今まで読んだ綿矢りさ作品でいちばん好きだった。綿矢りさが考えた最強のホラー集という感じ。表題作の「憤死」がいちばん好きだけど「トイレの懺悔室」怖すぎて綿矢りさ何も知らん人に読ませたらこの人ホラー作家?て言われそう。
「なんかいつももやもや漂ってるけど正体がよくわからない感情」が気を抜いて言語化される隙を作ってしまったところを見逃さないのが綿矢りさなんだなと感じた。自分への集中力。 -
ピンクがアクセントの可愛らしい表紙とか違って、中身はぐろぐろと醜さの詰まった小説。
「おとな」
小さい頃に見た夢の話。
子供の頃って、日常が非日常になるスイッチみたいなものが本当に近くて、大人のいやらしさや醜さが急にバッと目の前に現れる感じがよく分かった。
「トイレの懺悔室」
結末の予想しやすい話だったけど、汚なさの中でピカピカ輝くトイレに嫌悪感と異常を察知する対比が上手くて、良かった。
「憤死」
タイトル。小学校の時のワガママな友達を冷静に見つめる主人公の目が楽しい。
あー、コイツこの先どうなるんかなー、とこき使われているフリをしながらネタを探している悪趣味さ。
でも、そこで「憤死」という言葉の巧みな使われ方に笑ってしまった。好きな話。
「人生ゲーム」
山田悠介が書きそう。 -
表題作がとても好きでした。自殺未遂を図った友人の見舞いにいくのに堂々と「興味本位で」と1行目から言ってしまう主人公の底意地の悪さも好きだし、その主人公から「女版の太ったスネ夫」と辛辣に評される友人・佳穂ちゃんのキャラクターもこれまた強烈。
ひとりミュージカルショー開催しちゃうあたり、スネ夫というよりはむしろジャイアン的でもある佳穂ちゃんの自己中な奇行の数々を観察する主人公の毒舌はいっそ痛快で、悪意の塊であるにも関わらずつい笑ってしまう。
しかし最終的に、そんな傍迷惑キャラの佳穂ちゃんを実は主人公も読者も愛さずにはいられない。さんざん悪口を言い散らかした後の、意外なくらいにハッピーな気持ちになれるラストが良かった。
他の収録作品では「おとな」が、とても怖かったです。4ページくらいの掌編だし、心霊現象も殺人事件も起こらないにも関わらず、語り手(=作者?)の怨念のようなものが感じられてとても怖い。
「トイレの懺悔室」も、冒頭、地蔵盆のエピソードあたりは私も京都出身なので「あるある」と共感してたんですが、どんどん怖くなっていってビックリ。男性の一人称の作品は綿矢りさはあまり書いていなかったと思うのですが、「人生ゲーム」といい、なぜか男の子が主人公のほうがホラーな展開になる気が。
※収録作品
「おとな」「トイレの懺悔室」「憤死」「人生ゲーム」 -
人間の怖さが書かれているが、終わった後の余韻が気持ち良い
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憤死が一番私の思う綿矢りさっぽさを感じた。トイレの懺悔室がお気に入り。
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可愛らしい装丁とはうってかわって、不思議で奇妙な、ちょっとゾワっとするお話、短編集。
綿矢さんもこういう話を書くんだなと新たな発見でした。 -
「憤死」にめちゃくちゃ共感。自殺する人って絶望とか悲嘆とかの理由もあると思うけど、怒って憤ってその行き場がなくて死んじゃった人もたくさんいると思う。その死に方に一番共感してしまった。
読んでてハラハラする感じが楽しい! -
何だか気持ち悪かったり、不思議だったり…。
合う合わないのある本