王国 (河出文庫 な)

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著者 : 中村文則
  • 河出書房新社 (2015年4月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413600

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王国 (河出文庫 な)の感想・レビュー・書評

  • 話の筋、解釈はどうでもよく思える。これは緊迫を味わう、生きることの緊迫を感じるための作品なのだ。

  • 掏摸のアナザーストーリーらしいが、個人的には全く期待ハズレのモノだった。

    まず、前作の主人公だった人間が結局は何も絡んでこなかったのは非常に不満が残る。
    また前作で脇役だった親子を登場させても面白かったはず。
    そして尻切れトンボに終わった木崎のグロさをもっと表現するべきだったと思う。

    それだけでなく今回新たに登場した主人公も、結局は何をしたかったのか判らないまま終わった感もあるし…

    前作がスリリングな秀作だっただけに余計に残念…

  • うーん。面白かったー!

    『掏摸』を読んだのは、随分前なのでストーリーの細部までは覚えていないのだけど、かなり好きな展開。
    木崎の絶対悪の強さ。結局、どの登場人物よりも王たる風格は凄まじく、跡を残してくれる。

    対するユリカの瀬戸際の動きが良い。
    考え、絶望し、また考える。そこに何の価値もないと分かっていながら、最後まで抗い続ける強さは好きだ。
    私の人生、と呼ばれるものが実はそうでなかったと“分かって”しまうことの嘆き。クライマックスは、考えさせられる。

    そうして、月の描写。
    「頭上には、ネオンの光さえ照らす、月の輝きがある。太陽が沈んだ後も、その光を盗み、わたし達のような存在を照らすーー、月。」
    ただ、静かに善悪さえも超越する存在として、モチーフどころではない存在感を発揮してくれている。

    一気読みの一冊だったー。

  • テレビ司会者 池袋の居酒屋 何かをくぐり抜けた意志の強さが顔にあるのに、突然無防備に、子供のように笑う。 臆病の裏返しみたいな歩き方 その奇麗な思い出ごと、汚してしまいたいと思う なぜ男は、娼婦に素人性を求めるのだろう 男が欲情の目でわたしを見る。醜い男に求められても、不快なだけだ。 エリ 目黒 名古屋の大手の食品会社 彼は私を同情の眼差しで見て、でもそうしながらも、もっと苦痛を与えようとした。彼は私に同情すればするほど、私のことを惨めに思えば思うほど、さらに興奮していくように見えた。 月は昔からLunaと呼ばれ、英語で狂気的な行動を意味する、Lunacyの語源だった。日本の憑きは、月が語源とも言われていた。彼は相手が屈強な黒人でも、同じように怒鳴れるだろうか。 人を貶め悪く言うことで、自分の優位性を感じたいと無意識に願う、自信のない人達。自分の存在の希薄さを、そうやって補おうとする人達。 この子供を捉えている運命のようなものを、どうしても裏切ってやりたいと思った。 グノーシス主義 世界は冷たいな。不機嫌に物事を、ただジャッジするだけの世界 池袋のマルイが遠くに見える 長短ではない。肝心なのは、この世界の様々な要素をどう味わうかだ。 反社会的な内容 ある地点から価値観の転換が行われている

  • 前作「掏摸」からたまたま続けて読んだんやけど、キーマンとなる木崎がこの本にも出てる。 前作はスリ、本作は娼婦が主人公。どちらも圧倒的な存在の木崎に握られ、もがいた挙句、求めていなかった「生きる」ことを選んでいく。 おもろかった。

  • 『掏摸』の兄妹編ということで手に取った本。
    前作に引き続き『木崎』が登場する。

    うーん、どうも『掏摸』ほどのめり込まなかったかなぁ…

    前作のようなスリをするスピード感+ハラハラするシーンも無く…
    木崎の存在も前作よりスケールダウンした感があり、というかコイツ何したいねんとい感じも否めず…

    なんとなく全体的に漂う中二病感もあんまり受け入れられず…
    全体的に、ストーリー自体が薄っぺらく感じた。

    中村さんと期待してしまっただけに、ちょっと残念だったかな。
    そこそこ高いレビューにもイマイチ賛同できずでしたm(__)m

    <印象に残った言葉>
    ・ この世界には、使い古され、誰もが心地いい言葉が溢れていて、わたしのような人間を苦しめる。大勢が頷ける言葉は、その言葉に頷けない者達を、疎外感によって苦しめることがある。大勢の頷ける言葉に、全ての人間が頷けるわけじゃない。(P132・ユリカ)

  • 男を誑かし、奪い、決して奪われない、裏稼業の女。
    抗えないはずの大きな流れの中、彼女だけにできる戦い方で何度も何度もスリリングに窮地をすり抜け、裏切り、裏切りの先にある熱に浮かれる。
    神の役を振られた木崎と
    たった2%を掴んだ彼と
    濡れた黒
    妖しく照らす月。

  • この内容に感情移入してはいけないとわかっていながら木崎に屈服しない強靭さをユリカに求めていた自分がいます。中村氏のノワールな世界に近頃取り込まれっぱなしです。

  • わたしは、ベッドから出、バッグの二重底の部分に手を入れて拳銃をつかむ。息をきらしながら、木崎に銃口を向ける。

    「・・・・ほう」
    「わたしは本当に撃つ。言うとおりにして。」
    「早くして。わたしは気が短いの。」
    「・・・・お前は撃たない。」
    「わたしは撃つ。もう撃つ。」
    「・・・・やるならやってみろ。」

    木崎が笑う。

    「お前が引き金を引いた時、お前が今どういう世界にいるかがわかるだろう」

    胸が圧迫され、何かが喉に込み上げる。
    自分の全てがが、引き金に吸い寄せれれていた。
    わたしは肩に力を入れ、引き金を引いた。
    乾いた音がし、視界が揺らぐ。
    弾がはいっていない。

    気が付くと、背後からわたしの頭部に銃口が向けれれている。

  • 卑猥なネオン、世界を馬鹿にする光。夜は人の欲望を具現化する。内面にしまい込んだ欲望の解放を、夜は人に許す。

  • 中村文則の著作を読むのは初めて。

    本作は裏の世界の住人の話。
    温度感は基本的に冷たく性的に熱い。
    生への執着というテーマが一貫して描かれていると感じた。

  • 『掏摸』に続き、文則作品二作目。掏摸と同じ世界観。姉妹作。木崎を軸に、今回は女性(娼婦)が主人公。今作も勿論面白かったけど、前作の方がハードボイルド感もあって好きだなぁ。追い続けたい作家の一人。

  • 「掏摸」の姉妹編。今回は、前回から引き続き登場する悪の象徴・木崎の言う楽しみが分かる気がした。中村文則さんの作品は、それほど読後感が目立ってよいわけでもなく、しかしなんだか読んでしまう。作品の魅力というより、魔力のようなものかもしれない。

  • シリーズの「掏摸」と比べて、絶対悪である木崎が小者に感じられるのが残念。
    日本を(あるいは世界を)思うまま操ろうとする男が些細な事柄に顔を出しすぎていて、リアリティを完全に失っている。

    世の中の大きな流れは、「全体」が見えないまま「部分」の集合と歯車の中で動いていると思う。「掏摸」では、だけどもしかしたら神のような存在がいたら面白いと思わされたが、本作ではそんなのはあり得ないと感じてしまった。

    ただ、主人公の価値観の変化と生き方や考え方がよく描かれていたので人間ドラマとしては楽しめた。

  • 「掏摸」に引き続き早速読んだ。

    ”同情心で涙を流しながら残忍なことをすることに興奮を覚える”という木崎の感覚。
    人間とは思えないような悲惨な事件を起こす人の心情にはこういう化け物みたいなのが宿っているのかもしれない。私は、どんなことでも想像力を働かせることが大切で、少なくとも殺人を犯す人はその目の前の人の気持ちを全く想像出来ていない(それどころじゃなくなってる)と思ってきたけれど、それさえも超越した化け物はいるのだろうなと思った。

    2章の最後の場面、なんだか安心した。

  • キザなアンモラル小説、という雰囲気。読みやすかったけれど、テーマの割に人間の生々しさのようなリアリティーがイマイチ伝わってこなくて、ストンとは落ちてこなかった。姉妹小説の『掏摸』の内容も読んだはずなのにほとんど覚えてなくて、同じ人物が出てきてもピンとこなかった。

  • 組織によって選ばれた、利用価値のある社会的要人の弱みを人工的に作ること、それがユリカの「仕事」だった。ある日、彼女は駅の人ごみの中で見知らぬ男から突然忠告を受ける…。「掏摸」の兄妹編。

    世界的ベストセラーになったという傑作「掏摸」の兄妹編。今度は主人公が女性なので「妹編」なのだろう。相変わらず中村文則らしい純文学タッチの文章によるサスペンスで、あの男、木崎の「王国」が描かれる。続編もあるのだろうか?
    (B)

  • うーん、けっきよく
    最後まで良さがわからなかった。

    好みの問題とおもう

    木崎についてもわからなかったし、

    主人公の欲していたものもわからなかった。

    裏切りという行為が彼女を興奮させたり駆り立てるのかな、、、

    掏摸よりさらに
    共感できずでした。

  • だだっと読めました。
    ドキドキが伝わってきて、読むのが止められなくなります。
    この方の作品、他のもいろいろ読んでみたくなった。

  • 掏摸を読んで若干消化不良だったので兄妹作であるこの本も読んでみましたがやっぱり私にはちょっと難しい。もう少し人生経験を積んでから読むとまた違う感想が生まれるかもしれないですね。

  • 「掏摸」の合わせ鏡ということで……。
    ああ、希望を持っていない、執着ももっていない人間というのはなんてたちが悪いのだろうと改めて思う。
    けど、それでも人は簡単に死なないし、死ぬことも選べないんだとしみじみと感じ行ってしまった。

  • 兄妹作『掏摸』から間髪入れずに読みました。著者の言うように、それぞれ話としては独立しているので、前後は大した問題にはならないと思います。

    本作の主人公ユリカは社会的要人の弱みを「でっち上げる」ことを生業としており、ある日、絶対悪木崎と関わることに。
    前作同様、木崎は彼女の運命を支配しようとします。彼の恐ろしさは、他人の喜び・痛み・悲しみなどの感情に共感「出来てしまう」ところにあるのではないかと。共感、理解した上で酷い仕打ちを行うので。

    終盤でようやく、タイトルの意味を理解しました。
    大いなる「存在」の比喩として「月」が用いられております。
    やはり、「女性」と「月」は親和性が高いのでしょうね。

  • 「掏摸」の続篇とのことで読みましたが、正しくは兄妹篇だったようです。

    前作でも同じことを書いた覚えがありますが、ちょっと期待しすぎたのかもしれません。
    何だか前作より文章がチープになっているように感じました。
    木崎が話した宗派のくだりは専門的な話でよくわからなかったし、あとがきでも述べられている月の描写は詩的でそれぞれベクトルがばらばらの方向を向いているように思いました。

    ユリカが有能で"ちょっと変わっている"のはよくわかるのですが、フリュネやエリザベートのことを知っているのかなあ?(わざわざ自分で調べたの?)と思ったし、そこの描写もなんだか安っぽいなあと思ってしまいました(すいません)
    ユリカは自分は体を売っている女とは違うと思っていて、そういう女性を見下している部分があるのに、それでいて自分が男性を意のままにできることを誇りのように思っていてこの矛盾は何なんだろう?と思いました。

    時系列としてはおそらく「掏摸」の後。
    途中で出てくるユリカに忠告する男が「掏摸」の彼でしょうが、その後彼は一度も登場しないので、あれからどうなったのか、このあとどうなったのかわからないのがちょっと不満です。
    もう少し彼のことも入れてほしかったな。
    あれっきりなのであれば、まったく別の話として登場させなくてもよかったのでは?と
    でもさらに続きがあって彼が木崎を破滅に追い込もうと暗躍していた、というのであれば面白いですね。

    読んだ後、予想外に憂鬱な気分になってしまって、木崎を破滅させるにはどうしたらいいんだろう?ということを考えてしまいました。
    箱を用意して、その中に家や学校という環境を用意し、関わる人を配置して、箱庭の中の人を眺めている。
    頃合いを見計らって、それまでの人生はすべて計画されたものだったと告げ、絶望した(?)相手を殺す。
    神さまごっこを破たんさせるには、用意された人生とは違う予想外の人生を歩むのが効果的なように思いますが、都度、軌道修正を行うだろうし、それができる力を持っているのでやはり難しいですね。
    同じくらいの力をもった箱庭の外の人間に引っ掻き回してもらうとか?(笑)

  • 娼婦が巻き込まれながら命からがら逃げ延びる話。(まとめすぎ)

    なーんかだめだったなー。個人的に合わない。
    でも、こういう人って多いと思うんだけど。
    なるがままに人生流されて、生きているときは命の自覚すらない。

    木崎さん、あれはやばいですね。
    宗教の話から、おお…そうなるのね…あ、これまじもんのヤバイ人だ…と思いました。
    長谷川にしても、私の理解できる範囲を超えててなかなかきつかったです。

    『掏摸』の姉妹書かぁ。
    今作が合わなくても、気になってしまう。


    @図書館本

  • とてもおもしろく、テンポよく読めた。

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王国 (河出文庫 な)の作品紹介

お前は運命を信じるか?  ――組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作る女、ユリカ。ある日、彼女は出会ってしまった、最悪の男に。世界中で翻訳・絶賛されたベストセラー『掏摸(スリ)』の兄妹編!

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