王国 (河出文庫 な)

  • 842人登録
  • 3.44評価
    • (26)
    • (86)
    • (103)
    • (21)
    • (5)
  • 87レビュー
著者 : 中村文則
  • 河出書房新社 (2015年4月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413600

王国 (河出文庫 な)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 話の筋、解釈はどうでもよく思える。これは緊迫を味わう、生きることの緊迫を感じるための作品なのだ。

  • 掏摸のアナザーストーリーらしいが、個人的には全く期待ハズレのモノだった。

    まず、前作の主人公だった人間が結局は何も絡んでこなかったのは非常に不満が残る。
    また前作で脇役だった親子を登場させても面白かったはず。
    そして尻切れトンボに終わった木崎のグロさをもっと表現するべきだったと思う。

    それだけでなく今回新たに登場した主人公も、結局は何をしたかったのか判らないまま終わった感もあるし…

    前作がスリリングな秀作だっただけに余計に残念…

  • うーん。面白かったー!

    『掏摸』を読んだのは、随分前なのでストーリーの細部までは覚えていないのだけど、かなり好きな展開。
    木崎の絶対悪の強さ。結局、どの登場人物よりも王たる風格は凄まじく、跡を残してくれる。

    対するユリカの瀬戸際の動きが良い。
    考え、絶望し、また考える。そこに何の価値もないと分かっていながら、最後まで抗い続ける強さは好きだ。
    私の人生、と呼ばれるものが実はそうでなかったと“分かって”しまうことの嘆き。クライマックスは、考えさせられる。

    そうして、月の描写。
    「頭上には、ネオンの光さえ照らす、月の輝きがある。太陽が沈んだ後も、その光を盗み、わたし達のような存在を照らすーー、月。」
    ただ、静かに善悪さえも超越する存在として、モチーフどころではない存在感を発揮してくれている。

    一気読みの一冊だったー。

  • テレビ司会者 池袋の居酒屋 何かをくぐり抜けた意志の強さが顔にあるのに、突然無防備に、子供のように笑う。 臆病の裏返しみたいな歩き方 その奇麗な思い出ごと、汚してしまいたいと思う なぜ男は、娼婦に素人性を求めるのだろう 男が欲情の目でわたしを見る。醜い男に求められても、不快なだけだ。 エリ 目黒 名古屋の大手の食品会社 彼は私を同情の眼差しで見て、でもそうしながらも、もっと苦痛を与えようとした。彼は私に同情すればするほど、私のことを惨めに思えば思うほど、さらに興奮していくように見えた。 月は昔からLunaと呼ばれ、英語で狂気的な行動を意味する、Lunacyの語源だった。日本の憑きは、月が語源とも言われていた。彼は相手が屈強な黒人でも、同じように怒鳴れるだろうか。 人を貶め悪く言うことで、自分の優位性を感じたいと無意識に願う、自信のない人達。自分の存在の希薄さを、そうやって補おうとする人達。 この子供を捉えている運命のようなものを、どうしても裏切ってやりたいと思った。 グノーシス主義 世界は冷たいな。不機嫌に物事を、ただジャッジするだけの世界 池袋のマルイが遠くに見える 長短ではない。肝心なのは、この世界の様々な要素をどう味わうかだ。 反社会的な内容 ある地点から価値観の転換が行われている

  • 前作「掏摸」からたまたま続けて読んだんやけど、キーマンとなる木崎がこの本にも出てる。 前作はスリ、本作は娼婦が主人公。どちらも圧倒的な存在の木崎に握られ、もがいた挙句、求めていなかった「生きる」ことを選んでいく。 おもろかった。

  • 『掏摸』の兄妹編ということで手に取った本。
    前作に引き続き『木崎』が登場する。

    うーん、どうも『掏摸』ほどのめり込まなかったかなぁ…

    前作のようなスリをするスピード感+ハラハラするシーンも無く…
    木崎の存在も前作よりスケールダウンした感があり、というかコイツ何したいねんとい感じも否めず…

    なんとなく全体的に漂う中二病感もあんまり受け入れられず…
    全体的に、ストーリー自体が薄っぺらく感じた。

    中村さんと期待してしまっただけに、ちょっと残念だったかな。
    そこそこ高いレビューにもイマイチ賛同できずでしたm(__)m

    <印象に残った言葉>
    ・ この世界には、使い古され、誰もが心地いい言葉が溢れていて、わたしのような人間を苦しめる。大勢が頷ける言葉は、その言葉に頷けない者達を、疎外感によって苦しめることがある。大勢の頷ける言葉に、全ての人間が頷けるわけじゃない。(P132・ユリカ)

  • 男を誑かし、奪い、決して奪われない、裏稼業の女。
    抗えないはずの大きな流れの中、彼女だけにできる戦い方で何度も何度もスリリングに窮地をすり抜け、裏切り、裏切りの先にある熱に浮かれる。
    神の役を振られた木崎と
    たった2%を掴んだ彼と
    濡れた黒
    妖しく照らす月。

  • この内容に感情移入してはいけないとわかっていながら木崎に屈服しない強靭さをユリカに求めていた自分がいます。中村氏のノワールな世界に近頃取り込まれっぱなしです。

  • わたしは、ベッドから出、バッグの二重底の部分に手を入れて拳銃をつかむ。息をきらしながら、木崎に銃口を向ける。

    「・・・・ほう」
    「わたしは本当に撃つ。言うとおりにして。」
    「早くして。わたしは気が短いの。」
    「・・・・お前は撃たない。」
    「わたしは撃つ。もう撃つ。」
    「・・・・やるならやってみろ。」

    木崎が笑う。

    「お前が引き金を引いた時、お前が今どういう世界にいるかがわかるだろう」

    胸が圧迫され、何かが喉に込み上げる。
    自分の全てがが、引き金に吸い寄せれれていた。
    わたしは肩に力を入れ、引き金を引いた。
    乾いた音がし、視界が揺らぐ。
    弾がはいっていない。

    気が付くと、背後からわたしの頭部に銃口が向けれれている。

  • 卑猥なネオン、世界を馬鹿にする光。夜は人の欲望を具現化する。内面にしまい込んだ欲望の解放を、夜は人に許す。

全87件中 1 - 10件を表示

中村文則の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
中村 文則
伊坂 幸太郎
中村 文則
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
ピエール ルメー...
西 加奈子
中村 文則
有効な右矢印 無効な右矢印

王国 (河出文庫 な)を本棚に登録しているひと

王国 (河出文庫 な)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

王国 (河出文庫 な)の作品紹介

お前は運命を信じるか?  ――組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作る女、ユリカ。ある日、彼女は出会ってしまった、最悪の男に。世界中で翻訳・絶賛されたベストセラー『掏摸(スリ)』の兄妹編!

ツイートする