日影丈吉傑作館 (河出文庫)

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著者 : 日影丈吉
  • 河出書房新社 (2015年10月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414119

日影丈吉傑作館 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 奇しくも『澁澤龍彦ふたたび』と並列して読んだ(帯文に、澁澤氏が讃えたものとして、「渋い古風な作風、最も端正なスタイル、一貫した淡い郷愁」と挙げてあった)。澁澤氏は、スタイル偏重主義で、「なまくら」な文体は大嫌いだという御大なのだけれど、なるほど、日影丈吉氏の作品は(私にも)きっちりと整って感じられる。一貫して描写が巧みで、過剰なものは削ぎ落とし、けれど情景を想像させる輪郭線は保ち続けている。まだまだ「なまくら」な私は恐れ入るしかない。好みでいえば『泥汽車』『食人鬼』あたりに強烈に惹かれる。雛形を知って、雛形を使うことを怖がらない強靭さがあると思う。事実起きたこととはべつの世界線があって、IFとしてまざまざと脅かしてくるほど、想像の絵がひらけている。情景と心理が心に描き出されてとにかくうれしい。鏡花の、とくに『三尺角』と、気脈を通じるものがあるように感じた。2017.8.2

  • 明治41年生まれの作家の短編集。ミステリー、ホラー、SF(?)、怪奇幻想と、作品ごとにいろんな要素がありつつ、描写が丁寧で時代の空気(現代人からするとノスタルジックな)が感じられ、なおかつ娯楽性も高くとても面白かった!

    「かむなぎうた」「東天紅」「ねじれた輪」は、身近に殺人事件が起こり主人公が勝手な推理(空想)をするのだけれど果たして真相は・・・?という心理的なミステリー、「食人鬼」「消えた家」は、戦後の異国の地での恐怖体験(「消えた家」は現実的なオチだったけど)、月に宇宙船で墓参りに行く近未来SF設定の異色作「彼岸まいり」、河童の手紙の民話がまわりまわって主人公を救う「吉備津の釜」など、どれも良いけれど、個人的には幻想的でちょっとゾッとする「人形つかい」「泥汽車」がお気に入り。

    そして最後の「明治吸血鬼」は、ハイカラ探偵右京というシリーズものの1作だそうで、山田風太郎なんかに通じる世界観と面白さ。他の作品ももっと読んでみたいな。

    ※収録作品
    「かむなぎうた」「東天紅」「彼岸まいり」「ねじれた輪」「食人鬼」「吉備津の釜」「消えた家」「天王寺」「夢ばか」「人形つかい」「ひこばえ」「泥汽車」「明治吸血鬼」

  • 幻想怪奇寄りの短編集。ノスタルジックな雰囲気やじわりとした恐怖感を味わいながら、じっくりと読みたい一冊です。
    お気に入りは「ひこばえ」。とある家の怪異を描いたホラー、というか恐怖譚、と表現したい一作。派手な恐怖シーンはないのだけれど、じわじわと迫りくる不吉さがたまりません。「半分になって」というさらっとした表現が、これほどにまで怖いとは思いませんでした。
    「食人鬼」も印象的でした。ありがちな物語かと思いきや、この結末はあまりに意外。そして何よりも恐ろしいのがこういった風聞なのだなあ、という悲しさがとても尾を引きました。

  • 2017.03.11

  • 初めて日影丈吉を読みました。丁寧で落ち着いた美しい文体に、どことなく懐かしさを感じさせる不思議な味のある物語。一文一文を噛みしめて楽しめる作家さんです。この一冊だけでも、幻想小説だったり、ミステリ風味だったり、SFだったり、怪奇ものだったりと、幅の広い捉えどころのない作風。それぞれに味があってよいのですが、初めの三編「かむなぎうた」「東天紅」「彼岸まいり」が特に好み。

  • 一つ一つの話がそれぞれ面白い。
    わたし好みの幻想小説。
    一番好きなのは『吉備津の釜』。
    途中から差し込まれる、祈祷師との会話が、ラストに効いてきてあっと驚かされる。
    もちろん、『ひこばえ』、『かむなぎうた』、『消えた家』、『ねじれた輪』、『食人鬼』、『人形つかい』全て素晴らしいけれど、『泥汽車』に漂う雰囲気がとても好き。
    とにかく、この作家に惚れた。

  • 日影丈吉の短編集。
    解説にも書かれているように、『間口の広い』作風で、『探偵小説家』というイメージはいい意味で裏切られる。幻想風味溢れるものあり、SFにカテゴライズされるものあり、怪奇小説風のものもあり……。
    また、2編のショートショート『天王寺』『夢ばか』も切れ味が鋭い。
    人形がモチーフの怪奇小説『人形つかい』と、月世界の墓参で繰り広げられる人間関係を描いた『彼岸まいり』が面白かった。ミステリに分類される短編では『消えた家』がいい。

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