『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫)

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著者 : 奥泉光
  • 河出書房新社 (2016年4月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (629ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414478

『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 驚愕のラストに度肝抜かれた。賛否両論が出そうな話。

  • 「猫」も含めて漱石の小説が随所に盛り込まれている。
    原作のエピソードを利用した推理合戦は「解釈の仕方では確かにそうとも言える」論理が猫たちによって披露され、それがまた原作の人間たちの会話のようで面白かった。
    「猫」読んだ直後だと、より一層楽しめるかなと思ったが、原作の登場人物たちが少し黒くなってるので、やはり直後は嫌かな。
    「外国人から見た日本人」論は「Why Japanese people?」的で面白かった。

  • うわぁ、大変な本だったあ。
    少なくともインフルエンザの病床で読む本じゃない。

    珍野苦沙弥先生が殺害された。
    現場には季節外れの百合の花。
    そしてその日、ビールに酔って水瓶に落ちて死んだはずの吾輩はなぜか上海に接岸する「虞美人丸」に捕らわれている。

    上海租界のフランス猫伯爵、イギリス猫のホームズ君とワトソン君、現地猫の虎君など、猫達が捜査に乗り出す。

    記憶障害を患う吾輩の無意識を辿ると、夢十夜の話が、それぞれ混然一体となって甦ってくる。

    モリアチー教授やラスプーチンが一枚噛んでいて、寒月君の一大発明と関わって...と、そういった筋立てに、夢十夜をはじめ、漱石の作品が絡んでくる、というか、剣呑な陰謀を読み解くカギになっている。
    よくぞまあ、ここまで結びつけた!と感心してしまう。

    一応、本作はミステリーということになるのだろうけど、なぜか最後はSF仕立て。
    いやそもそも、文体模写にこだわったパロディとも言え、仕舞にはジャンル論がバカバカしくなる。
    そういう、怪作だ。

  •  以前新潮文庫版を読んでいたのですが、河出文庫版が出たというので購入。
     さすがに全部再読するのは無理。全部読むと1カ月かかります。
     よって、飛ばし読み。
     色々と忘れていたこと、読み取れなかったことも多いと判明。
     これはやはり全部再読する必要があるかも。
         
    「犯人は、寒月と云う男だ」
    「越智東風です」
    「迷亭及び甘木医師である」
     かの作品の登場人物は容疑者だらけだった!?太平の逸民どころか、裏の顔は凄かった!
     迷亭のフルネームが判明したのがツボ。
          
     上海における最後の幕で、苦沙弥先生に殺意を持つ人物は判明します。
     しかし、彼が行おうとしていた目論見は色々な突発事件が発生したために失敗に終わった様子。
     とすれば、歴史が変わって苦沙弥先生殺害は未遂に終わったのか?
     主人公の名無し猫は再び苦沙弥先生宅に送り込まれます。
     そこに現れた来訪客。
    >>
    「先生、私です」と表から潜めた声が聞こえる。
    「何だ、君か」と主人は気安く云いながら鍵を抜いて戸を引き開ける。背後から覗いた吾輩はそこへ立った人物の顔を見る。
    <<
     これ、一体誰なんでしょうか。
     読解力のない私には見当もつきません。
     上海で苦沙弥先生殺害を企んでいた奴でしょうか。
     この時点で既に苦沙弥先生に殺意があったということ?
         
     色々検索しても、この来訪者について推測している記事を見つけることはできません。
     結局、苦沙弥先生は助かったのかやはり殺害されたのか、殺害されたのなら犯人は誰?
     他にも色々と解明されていない謎が沢山あると思いますが、皆さんどう解釈されたのでしょうか。
     書くとしたらネタバレになるから自粛しているのか、それとも私のように見当がつかないからあえて触れていないのか。
     リドル・ストーリー仕立てになっているので、人によって解釈が違い、従って犯人も違ってくるのかもしれません。
     真犯人探し検討会、やらないんですか?
          
     新潮文庫版と河出文庫版を比べると、表記が違います。
     河出文庫版の方がより現代表記に近く、新潮文庫版は、漱石時代の表記に近い。
     1ページ当たりの文字数は
     新潮文庫版 41字 × 17行
     河出文庫版 39字 × 18行
         
     どちらも、600ページとちょっとのページ数となります。
     活字の方は、河出文庫版は太く、新潮文庫版は繊細で、河出文庫版の方が黒っぽく見えます。
         
     解説は、新潮文庫版は文芸・ミステリ評論家の長谷部史親氏。
        
     河出文庫版の解説は
        
    対談『吾輩は猫である』殺人事件をめぐって 柄谷行人 × 奥泉光
    『『吾輩は猫である』殺人事件』文庫版自作解題
    新装版へのあとがき
    解説 円城塔
         
     円城塔さんはファンも多い大作家。
     私が感じた疑問を解決して下さるかと思ったのですが、そういった解説はなし。
     作品内容にも踏み込まず、言葉の解釈と言葉遊びに終始して軽く書きすぎでは?
     ネタバレを書くわけにはいかないというのは分かりますが、もう少し内容に踏み込んで頂きたかった。
     私は円城塔氏の作品を読んだことないのですが、ウィキペディアの記述を読むと、まさにこの作品の解説を書くにふさわしい・或いは最適の人選かと思われます。
     ところが期待外れに終わったように思えるのですが、どうでしょうか。
    (生意気書いて御本人及びファンの皆様、すみません。)
        
     一方、新潮文庫版の長谷部史親氏の解説は、古今東西の小説の続編についての蘊蓄から始まって面白く展開。
     やはり評論家の方が解説を書き慣れているようです。
        
     ところで、日本の推理小説で「三大奇書」という分類があります。
     ウィキペディアにはそれに続く四つ目や五つ目の作品が挙げられています。
    『吾輩は猫である』殺人事件 も、第五の奇書、或いは第八の奇書でもいいのですが、リストに加えられてしかるべき作品では?
     奥泉光ファンの皆様、ミステリファンの皆様、どうですか?
        
    OLDIES 三丁目のブログ
    ■[名作文学]『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫版)
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20161113/p1
    ■[名作文学]灰猫ホームズの推理競争 「吾輩は猫である」殺人事件
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20150617/p1
    少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
    『「吾輩は猫である」殺人事件』(奥泉光)ネタバレ検討会
       http://sfclub.sblo.jp/article/142598831.html

  • やっと読み終わった。エネルギーがいります。

  •  軽快だが饒舌で、急に場面が変わるところや、ミステリーなのだけれど途中からSFテイストに変わるところなど、いかにも猫の気まぐれさが出ている感じがする。
     いろいろな決まり文句や熟語、明治という時代を感じさせる時事や漢字の使い方、そしてこの分厚さ、読むのに時間がかかることも読む人を選ぶと思う。
     トリックや犯人捜しではなく、作者たる猫の饒舌を楽しみましょう。

  • よく最後まで我慢できた。あの愛すべき人たちが歪められたことに不快しか感じない。結末に落胆。語り口もお粗末。浅い。

  • 新潮文庫から刊行されていたものの復刊。新潮文庫版を持っているので何度目かの再読。
    漱石の『吾輩は猫である』を下敷きにしたSFミステリで、文体模写もさることながら、漱石の文体でしっかりループもののSFになっているとこが凄い。『夢十夜』を組み込んだパートもミステリ部分と密接に関わっている。
    文体は夏目漱石そのまんまだが、内容はしっかり奥泉光なのも凄い。『坊ちゃん忍者幕末見聞録』も復刊して貰えないものだろうか……。

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