文藝モンスター (河出文庫 に 11-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 147
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414874

感想・レビュー・書評

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  • <裏表紙内容紹介>

    増田文学賞の打ち上げとして、年に一度岡山の旅館に集まる人気作家たち。ところがそこで、作家の卵の惨殺遺体が見つかった。事件は地元で信仰を集める「消し神様」の力なのか?それとも出版界の裏側に潜む魑魅魍魎の仕業なのか?関係者が次々と失踪するなかで、超ビビリなホラー作家・雨漏佐久たちが事件の深層に挑む。


    新人作家の笹野眞子は、増田文学賞を受賞し、晴れて「増田飲み」のメンバーとなる。
    岡山の旅館で先輩作家たちと合流すると、そこには「鬼の編集長」への作家の憎悪が渦巻いていた。
    憧れの作家たちの強硬な姿勢に失望する笹野。
    笹野は編集長と作家たちの確執を解消させることはできるのか?
    そして殺人事件の犯人は?

  • 作家と読者と編集者。
    お互いに納得のいくものを創れないのであれば、どれだけアイディアが浮かんできても作品にしたいと思えないだろうな。
    分からないことを追求し続けた結果、怖いを克服する副産物として全てのトリックに気付けたのだろうな。

  • ジャンルを問わず広く作品を募る増田文学賞の受賞者たちが集まった親睦会で起こった殺人事件。その直前に祈った「消し神様」への願いが叶ったかのような事態には意味があるのか。ライトでユーモラスな読み心地のミステリです。
    探偵役となるホラー作家・雨漏のキャラクターがまあ凄い。自らの書いたホラー小説を読んで恐怖のあまり失神するとか、なんでこんな人がホラー書いてるんだ! ってなツッコミを入れたくなるのは当然のことですが。そこにとある理由がきちんと用意されているのは……あ、なんだか無性に納得してしまった(笑)。そうだよね、たしかに恐怖はそこから生まれるものですが。そういう問題ではない気がするぞ、たぶん。
    ド派手な殺人事件に奇天烈な探偵役でさあいったいどうなるのかと思いきや。トリックや仕掛けは至極まっとうなミステリでした。そして本に対する愛が描かれているのも良いなあ。

  • 増田文学賞の受賞で作家となった笹野は、年に一回行われる飲み会に参加していた。増田飲みと呼ばれるその会は増田文学賞でデビューを飾った作家達が集まるという特殊な会であった。個性的な作家達に囲まれ、楽しい会になるはずであったが……。

    ***

    初読みの作家さん。二宮敦人さんの書籍は何冊かタイトルに惹かれ所持しているが、読んだのは初めて。他の作品のタイトルやあらすじがグロテスクなものを思わせる陰鬱なイメージを持っている作家さんだったが、こちらの小説はかなりコミカルな内容のミステリ小説だった。

    要所要所でグロテスクな表現があり、凄惨な様子もあったのだがそれさえも押し流してしまうような爽快感のあるテンポ。主人公に危機が迫る描写もあったりしてドキドキしたのだが、そのドキドキとの差が更に楽しさを演出していて非常に良かった。登場人物も、自分の書いた小説が怖すぎて、ゲラの際に失神してしまうホラー作家などが出てきてかなり個性的。主人公以外のほとんどが個性的過ぎてキャラが渋滞しそうなものだが、彼らが生き生きとして作中で動き回り、互いに邪魔することなく、むしろ面白さを増している。

    登場人物が好き勝手動いるのに、全く混乱しないというのはすごい。 また、ミステリ小説でありながら、作家と出版社の関係性というものにも切り込んでいて興味深かった。 個性的な作家たちの抱える苦悩。自分たちは社会から逸脱した存在で、作家としてしか生きていけない。しかし、出版社は発行部数や売り上げを心配するばかりで自分たちの自由に書かせてくれないし、ケチばっかりつけてくる。というリアルの作家たちが抱えているかもしれない悩みが作中にぶちまけられていた。 ミステリ小説を読んでいたはずなのだが、コミカルな内容と本を介して行われる人間模様に心を揺さぶられた一冊。

    殺人事件も起こったし、謎解きもあったし、ヒロインのピンチもあったし大筋では王道のミステリ小説だったが、殺人事件も、謎解きも果たしてそこがメインであったかといわれると、個人的には違うかなあと思った。 いや、でもこの一冊を読んで小説家も出版社も血のにじむような努力の元に一冊の本を作り上げている事実を改めて理解した。それなのにど素人が訳知り顔で「この本はこうだ!」というのはやや憚られるかもしれない。

    しかし、内容の感じ方は千差万別だし……。という複雑な心境で感想を書いている次第。ともかく、こね回さずに感想を言うのであればこの本は非常に面白かったという一言に尽きるのである。

  • このお話の核ではない…犯人探しは想像できなかったが、もうひとつの謎?は分かりやすく書いたのか…ただなかなか明かされないから、ドギマギした。
    グロテスクなところが、ちょっと…でしたが、漫画っぽいイメージで読めて楽しかった。

  • 今までまったくノーマークだった本書(結構こちら方面の新刊はチェックしているつもりだけど、タイトルを見たことも聞いたこともなかった)だが、先日読んだ『最後の秘境 東京藝大』からの流れで読んでみた。タイトルと内容との関連性があまり良く分からなかった。タイトルを変えて、宣伝をより積極的を行ったら、もう少し世に知られる作品になってたんじゃないかなと思う。雨漏のキャラもいい感じだし、謎の解決も上手く収まっている。本人は真面目に行動しているのにくすっと笑える感じは、ちょっと東川篤哉作品に似ている気がした。

  • まずまずかな。ミステリとして読むなら物足りなさがある。登場人物を作中でうまく使えてないと感がある。

  • 雨漏と笹野の関係は面白いと思ったけど、編集長がな…。こういう話を作るときの作家と編集さんてどんな感じなんだろう。

  • 『増田文学賞』受賞作家たちが集まる「増田飲み」
    今回は、編集長と、作家志望で増田賞を狙う若い女性も参加する予定だ。
    しかし、編集長と、作家の中の一人は現れないし、作家の卵の女性も参加できなくなった。

    インタビュー形式の「作家の本音」最後には「編集(長)の本音」が楽屋裏暴露っぽくて面白い。
    かなり盛ってるでしょうけど。

    吸血鬼みたいなルックスで、怖くなるとすぐに失神する猟奇ホラー作家・雨漏佐久。
    初めて書いた小説(純文学)が増田賞を受賞した、笹野眞子。
    笹野は他に仕事を持っており、失神した雨漏の「気道確保」担当でもある。

    笹野が自分の「本業」について語っていたところで、頭の中に何か点滅するものは感じましたが…

    コミカルに進むお話、伏線いろいろ、個性的な作家たち…軽いけれど面白かった。


    他の作家たち
    「梶川隆昌院」本格ミステリに怪奇要素、和服。
    「藤 良成」青春小説、売れっ子でモテモテ。
    「キス山びちこ」恋愛小説・エッセイ。編集部は誰も本人を見ていない。
    「朝倉リョウタ」ラノベ。実在の作家にPNが似てるけどいいの?(笑)

    「小橋裕子」作家志望。
    「藤堂晶」文藝春夏編集長

    あの、「帯」の文章、いいんですか?
    作家、怒ってません?
    ネタバレだし、内容詐称だし…

  • ブグログさんのイベント企画で当選した本。ブグログさんありがとうございます♪

    面白く読ませていただきました^^
    雨漏さんのキャラが好きですね!!あんなに頼りないのに、意外にもしっかりしてる部分もあってそのギャップがいいですね!
    ストーリーはハマって読むとのほどではないけれども、普通に面白く読んだという感じです。続編があるといいな♪

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著者プロフィール

1985年、東京生誕。一橋大学経済学部卒。著書は他に「!」「!!」「!!!」「!!!!」「暗黒学校」「最悪彼氏」(ここまですべてアルファポリス)、「占い処・陽仙堂の統計科学」(角川書店)、「一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常」(幻冬舎)などがある。

「2016年 『殺人鬼狩り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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