みだら英泉 (河出文庫)

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著者 : 皆川博子
  • 河出書房新社 (2017年3月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309415208

みだら英泉 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 人気浮世絵師・渓斎英泉を主人公にした時代小説。
    こちらも復刊で、旧文庫は新潮社から刊行されていた。
    巻末の解説によると、英泉を主人公にした作品は他にも幾つかあるそうだ。しかし、英泉の妹たちにフォーカスした作品は本書だけらしい。他作品を読んでいないのでよく解らないが、どうしても身内の女性はこぼれ落ちてしまうものだろうか。

  • 乱れ咲いたおたまの妖艶さに惹きつけられたけれども、この小説の肝は、あくまでもお津賀が握っている。彼女のおたまへの嫉妬心や、兄の英泉に向けるいじらしい眼差しを通して物語に引き込まれていった。一見凡庸な生き方を選んだかのように見える彼女だが、兄の枕絵を見て体を熱くするシーンなどは、作者の筆使いの熱を感じて、他の誰よりもエロティックな雰囲気が醸し出されていると感じた。さらに長次郎が英泉に注ぐ倒錯的な愛情が、この作品の熱を高めている。皆川博子のフェティシズムを感じた一作となった。
    みだら英泉 (河出文庫)

  • 絵師として花開きたいともがく英泉の葛藤は乾いている。
    乾き過ぎて、ちょっとした摩擦で燃え上がりそうなほど。

    けれど、彼を取り巻く人の情や思惑はとにかく重く湿っている。
    そしてその情が英泉の筆に乗り移り、紙を湿らせ、絵を描かせる。

    春画にはあまり描かれないという吉原の遊女を好んで描いた渓斎英泉。
    彼が筆を執り、成功、そして没するまでを書いた「みだら英泉」。

    有名一門との確執、春画が弾圧される時勢、実在する絵師たちと英泉の交流……
    あたかも江戸の町並みを見てきたかのような、匂いすら立ち上る筆致は、確かに情緒あふれる時代小説のものだ。
    しかし、あくまでも話は英泉と妹たちを中心とした生臭くも艶っぽい関係性。

    英泉を巡る人々の情動が、この魅力ある男に「女」を描かせる原動力となっている。
    その濃密な人間模様に、読者は「気を悪く」して、そしてそっとほくそ笑む。
    皆川節に酔う。


    生真面目さに、ぎりりとした癇性すら湛えるお津賀。
    掴みどころなく、くたくたと男にまつわるおたま。
    二人の姉の在りようの強さから弾かれ、儚さの漂うおりよ。

    じわじわと、妹たちの精を吸い取って、英泉の絵が描かれていく。

    とはいえ、兄の心身に絡み付き、異形の朝顔を咲かせているのはお津賀のように思えた。
    自分ではまっとうと思い込んでいる女の、歪んだ翳り。
    失笑を催すほど、哀れだ。一読者に過ぎない私によく似ている。

    英泉は女の何を愛したのだろうなあ。
    私は愛されないかもしれない。ふと思った。そこもお津賀に似ている。

  • めっちゃ面白し!!!!!
    こういうのすげー好き

  • 春画の英泉と三人の妹を描いた話でしたが、彼らの関係よりも最後に明かされる春水(長次郎)の屈折した心情の方に興味を掻き立てられたというか、ぞっとしたというか、凄みを感じました。絵師の業を描くならもっと長いページ数で描き込んだほうがグッと来るかも。

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