A (河出文庫 な 29-4)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 811
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309415307

感想・レビュー・書評

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  • 中村文則2冊目の短篇集。13の短篇集。どうしても自分の嗜好に合わないものが五つほどあったけれど、長編並みに感銘を受けた作品が幾つもあったので★★★★。表題作と「B」の言葉の選択に痺れた。

  • 中村文則さんの頭の中を覗かせてもらってるって感じ。前半難しくて不安だったけどラスト4作品は最高だった。
    短編なのに長編小説みたいで良かった。

  • 独特の世界観のある短編集。
    中村文則さんの性描写は秀逸。
    戦争の歴史をテーマにしたA、Bは、静かにじっくりとこのときの歴史をふり返ることができる。

  • 中村文則らしい短編集。

    信者たち、晩餐は続く、がとても面白かった。

    彼の作品は癖も強いし、作品を選んでしまうなぁ、と思いながら、するすると読んで、うん、そうなんだよ、と共感してしまう。

    やはり才のある現代を代表する作家なのだ。

  • 抽象的すぎて私には理解できなかった。
    初めの2篇だけなんとか読んだが、眠くてたまらなかった。
    途中だけどこれは読めないなと思って、図書館に返却してきてしまった。

  • 中村文則さん3冊目。
    3作選ぶなら「妖怪の村」「信者たち」「晩餐は続く」
    5作なら「セールス・マン」と「体操座り」
    「A」か「B」かだと、どちらかといえば「B」

    「妖怪の村」時代、経済、災害、犯罪、信仰…多様に読める現代的な今昔物語だと感じた。相手にとって大事なものだと信じてリスクを抱えて大切にしていたものが、時間を経て相手にとって大事なものじゃなくなっていた、感謝されることもなく呆気なく見放されてしまったという喪失感に注目して読んでみた。

    「信者たち」信仰の無純と矛盾。最後の会話の展開で続きが読んでみたいと思った。

    「晩餐は続く」聡明な婦人!この類いが好きなわけではないのだけど、癖の強さに贔屓してしまう。

    「セールス・マン」憂鬱を交換していく物語。展開が面白い。長編は遠慮したいけど小出しの「セールス・マン」にまたどこかで出会いたい。

    「糸杉」解説と解釈が違かったみたいだけど、
    ゴッホが熱中し、惹きつけられた糸杉に託された想い。主人公が女の後ろをつける行動とその女のたどり着く場所。主人公が糸杉の絵に惹かれている理由。ゴッホの真相はわからない。けど、それに触れた気がした。

    「嘔吐」物語を進行しているようなセミとパトカーのサイレンの描写が気に入っています。

    「体操座り」「そーれ〇〇〇〇だー」は読みながらどんびきする人もいるだろうけど、別紙にあった小見出しの方も同時に思い出してしまうポテンシャル高めなセリフだと思っている。

    「A」「B」少し攻めている描写もあり、読み取れるところだけ読んだ感想だと「A」の社会的な優劣を連想させられた。私から見たら狂った感覚だと思うけど当時の時代や環境だとその人の感覚も普通なのかもしれない。「B」の感情や同情だけではあらわせない人情。


    貧しさやポテロングへの執着、目の下のクマ…Nシリーズ、中村文則さんという人物が何通りにも読める作品集でした。

  • 戦争をテーマにした表題作と、慰安婦について書いた『B』は、尋常じゃない、尋常じゃないといられない日本兵の気持ちがリアルだった。この2つだけで良かったんじゃないか・・・。他は賑やかなのに暗かったり、抽象的とも言えない訳の分からないものだったり、ただのありきたりなエロだったりして、うんざり。

  • 久しぶりに中村文則作品読みたいなぁっと思って適当に手に取ってみた、短編作品だとも認識なく。

    2007年から2014年に発表された短編を集めたもので、非セクシャルな作品、安部公房を彷彿とさせるシニカルで不思議な作品、個人エッセイのような作品と幅が広い。今まで読んだ作品が鬱々として内省的、自滅的な印象が強かったので、こんなに幅の広い作風を使い分けることができるなんてびっくり。もちろん元々好きな作家だったけど、さらにハマってしまいそう。

    甲乙つけがたい作品が並んでるけど、個人的には『嘔吐』。主人公の精神的に周囲と隔離している心境、内に秘めている狂気がぞくぞくっと伝わってくる。もしかして、この主人公って。。。怖っ!と想像力駆り立てられる。
    『善は駄目な人間を引き寄せる』。。。悪サイドからの理不尽な言い訳に聞こえるけど、結果があるならば理由は何でもいいんだよなぁ、常人にはどんなにでたらめに思えても。

  • 実験的小説を含め、さまざまな作品が収められた短編集。とにかく生きること、なんとか生きていくことがテーマのように感じます。「妖怪の村」と「晩餐は続く」が特によかったです。
    表題作の「A」は続く「B」とセットになっていて、戦地で切り離され、それでも生きていかなくてはならない人々の孤独に圧倒されました。こんな経験をしたら、生きて帰っても決して誰にも話さないだろうと。
    ここ数年、戦争経験者の高齢化によって話が聞けなくなっていると言われていますが、身近な経験者は何も語らなかった、という話も聞きます。どれだけ言葉を尽くしても彼らの苦悩をあらわすことはできないのだろうと、この短編集を読んで思いました。

  • 繋がっているのか繋がっていないのか超短編。

    リアリティのある部分やエグい部分が、今まで中村文則さんの作品を読んでの印象です。
    途中からパラパラ読みに近い感覚で読んでいたのですが、なんとなく内容は入ってきました。
    パンチはないかもしれないです。
    中村文則さんの作品は性描写が結構リアルですね。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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