- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309417257
感想・レビュー・書評
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伊藤計劃氏から最近のSFにハマり、たどり着いた一冊。少し気を抜くとついていけなくなりそうな、自分の持つ想像力でぎりぎりで楽しめた。海の指、星窓は文章なのに景色の美しさを感じられたし、設定も最初は?だったけど読むほどにSFらしくて面白かった。後半の表題作含む"詩"をテーマとしたアリスウォンの話では、横文字に付いていきつつぎりぎり理解して読み進めた(受け止めきれなかったのが悔しいくらい!)。潤堂の能力は伊藤計劃氏の「虐殺器官」を思い出した。本でこれだけ感じられるものがあって誹謗中傷で人がしぬこの世を思えば、言葉で人を殺める人がいても全然フィクションじゃないなと思う。
著者のほかの本もこれから読んでいきたい。もっと理解したい。 -
圧倒されました。面白かったです。
どれも良くて…大好きディストピアの「海の指」は〈灰洋〉に浮かぶ泡洲の、歴史的建造物がごちゃっと積み上がる風景を想像するだけでわくわくしました。画像検索しよう。
DV旦那vs妻と今の夫とふたりの同僚たちとの戦いは壮絶。そして美しくも悲しい終わりでした。
「自生の夢」が凄かった。〈忌字禍〉に対抗するために甦らせられた、言葉による殺人者「間宮潤堂」。〈忌字禍〉に殺されたようなものの詩人「アリス・ウォン」は忌字禍側についているけど、彼女が一番間宮を理解してた。もったいなかったね、と。
圧倒されてうわぁと読んでいたけど、解説で間宮潤堂は伊藤計劃とされてて、なんだかじーんときてしまいました。
帯にされている「あなたの言葉はそれくらい貴重だったんだよ」は最大の賛辞だなぁ。
飛さんの作品、もっと読みたくなりました。
思い返せば、テオ・ヤンセンのストランドビーストってあれか…動画はよく見てた…… -
普通のSF短編集かと思っていたら実は微妙に連作になっていてなかなかの展開でした(実際にはバラバラに書かれたものを1冊にまとめる際に手を加えて繋がりを持たせたものもあるようですが)
うっかり軽い気持ちで読み始めたらSF部分が私の脳みそにはちょっと難しくて時々気が遠くなりました(苦笑)まあ原理は理解できなくても読み進めることはできるし、めくるめくイマジネーションは十分堪能。
やはり表題作の「自生の夢」が一番読み応えがあったかな。独立した短編として読み易いのは「海の指」と「星窓」あたり。
※収録
海の指/星窓 remix version/♯銀の匙/曠野にて/自生の夢/野性の詩藻/はるかな響き -
「自生の夢」(飛浩隆)を読んだ。 飛浩隆さんの作品読むのは「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」以来二冊目。
六つの短篇収録。
やっぱり飛浩隆さんの創造力(!)についていくのは容易じゃないな。
私の貧困な想像力では長い鼻に触れてあぁシワシワの太い蛇の様だなと思うのがせいぜいで全体を理解なんかできっこないのにこんなに面白いのはなんでだ。
「曠野にて」の中で克哉が選択したセンテンス 『鳴き砂の浜へ、硝視体をひろいにいこう。』(本文より) を読んでニヤリとしてしまった。 「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」の書き出しのセンテンスだからね。
「廃園の天使Ⅰ グラン・ヴァカンス」では登場人物たちが受け止める激痛に立ち竦んでしまいそうになったもんだから「ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉」が積ndleのままだよ。 読まなくちゃ。 -
飛浩隆「自生の夢」読了。一言、すごい作品群だった。気軽に手に取って読み始めたが、各話、奥深く異常な世界に引きづり込まれるように没入して読み耽った。なんだこれ?SF小説だからこその圧倒的な創造性をもつ文字列の凄さに驚愕した。映像では表現できないだろうな。特に表題作と「はるかな響き」。
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カルチャーショックってこういうことだろうか…って読みながらずっとびっくりしていた。
難しいけど読みきりたい、と辿り着いた解説を読んでさらに驚いた。これは文脈を読み取れる人ならより一層楽しい読書体験だろうなあと羨ましく悔しい。もっと本を読まねば。
個人的には「海の指」の鮮烈さに圧倒され酔ってしまった。美しくて映像的。漫画も読みたい。