水の墓碑銘 (河出文庫 543C)

  • 河出書房新社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309460895

感想・レビュー・書評

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  • バランスの悪い、屈折した人が色々出てきて、小説としては楽しめるのですが、文庫は字がとても小さくてそこが読みづらかったです。

  • 夫婦関係を軸としたサスペンス小説。
    主人公の飼っているカタツムリと、主人公の不気味さが強くシンクロしている。ラストはある種の破滅を暗喩しているが、実際のところ、主人公の『勝ち』ではないか……という薄ら寒さが残るところも秀逸。

  • ハイスミスというとカタツムリが思い浮かぶが、ここでもヌラヌラとしていた。

  •  資産家の息子ヴィグは、浮気性の妻の恋人を溺死させてしまう…。

     ヴィグは、一応常識人で人望も厚い。反対に、妻は自己中心的で奔放。ゆえに、地域の中でヴィグが受け入れられているのに対して、妻はちょっと浮いてる。
     この浮いてる加減が微妙。
     そして、社交界的な地域のコミュニティーが二人をさらに追い込んでいく。

     物語はヴィグの主観で進んでいく。ここがポイント。
     中で、妻に「精神病だ」みたいになじられるんだが、考えてみたら確かにそうなのだ。人のいいふりをしているけど、実際はどっか捩れてる、歪んでいる。それなのに、彼が主観だから、その部分が曖昧になっている。
     上手いよ、ハイスミス。
     
     結局は、大人になりきれない、自我のない、夫婦の悲劇なんだけど、とても映像的で、それこそヒッチコックの映画のようで面白かった。
     それにしても、人間の執着心(夫は妻に、妻は夫の資産に、執着していたわけだ)って悲劇の源ですな。

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著者プロフィール

1921-1995年。テキサス州生まれ。『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』が映画化され、人気作家に。『太陽がいっぱい』でフランス推理小説大賞、『殺意の迷宮』で英国推理作家協会(CWA)賞を受賞。

「2022年 『水の墓碑銘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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