- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309461618
感想・レビュー・書評
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『愛人』が映画化され、製作が進むに連れてデュラスの中で生まれ、作品とは違う彼女なりの「映画」として書かれたのがこの小説。前者が散文詩的なイメージの中で「わたし」と彼女の愛人の情事、そして家族への想いが語られるのとは変わって、三人称の「娘」が北から来た華僑の青年との情事をやがて愛として認識するまでの心の動きを客観的かつ明確に語っている。過酷な生活の中、結ばれることはないとわかっていた二人が、愛を交わし互いを人生ただ一人の人として認めてやがて死んでいく。その物語に「愛人」という題名が決して背徳ではなく、その感情の尊さや愛おしさが込められたものであるのではないか、と感じた。
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『愛人』のモデルである華僑の死を知ったデュラスが綴る想い。『愛人』が好きな人には是非お薦めしたい1冊です。『愛人』と同じ題材を、より感情面を掘り下げて描いています。だからと言って、情緒的になりすぎない、乾いた文体は詩のように美しく、幻想的でさえあります
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おしゃれな本。日本では読めない。
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愛人ラマンと同じあらすじ。切ない青春時代の思い出。
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本に読まれて/須賀敦子より
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デュラスの作品は読んでて心が痛くなるくらい乾いてて切なくなる。
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自伝的小説『愛人(ラマン)』を、愛人であった中国人の男の死を知って書き直したものとのこと。<br>
デュラスがこの愛人とのことを心に持ち続けていた長い年月。<br>そして自分が多感な頃『ラマン』に強い印象を受けてから過ぎた時間。<br>
「18歳で、私は年老いた」という『ラマン』冒頭の一文が、改めて疲労感を伴う重みをもって蘇ってきました。 -
私にとってはひどく難解に感じるデュラスの、比較的読みやすい作品。より映画の「愛人」に近い描写になっているが、また小説「愛人」とはかなり違った印象。