20世紀SF 1 1940年代 (河出文庫 ン 2-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462028

作品紹介・あらすじ

「科学の世紀」であった20世紀に花開いた知的エンターテインメント・SF。その最上の収穫を年代別に集成!第1巻は、奇抜で不思議なアイディアが次々と出現した、現代SF成立期の1940年代編。ねずみをのせた人類初のロケットが宇宙に消えた…ブラウンの表題作ほか、アシモフ、クラーク、ハインラインら巨匠たちが描く「いま・ここ」でない世界全11篇。

感想・レビュー・書評

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  • 1940年代に発表されたSF短編11話を収録。

    「ベムがいっぱい」エドモント・ハミルトン著がおもしろかった。
     ブラックユーモア。火星に到着した宇宙飛行士二人。探検を始めるが、あらかじめ知っている火星の状況‥寒くて大気は無く赤い砂の大地・・ではなかった。大気は有りしかも生物がいてしかも英語を話し・・
      (ネタバレ)彼らは手が4本だったり、眼が異様に大きかったり、タコのような風貌だったり、しかも英語を話している。彼らは地球のSF小説で描かれた火星人だったのだ。地球からの「精神力線」でSF小説の火星のイメージが形作られていたのだ。宇宙飛行士二人はやっと地球に返してもらうが、しかし、火星からの逆精神力線が地球に届き・・

    作家のかんたんな紹介があるのはよい。紹介文の最後に作品の発表年や発表媒体、原題が書いてある。

    星ねずみ / フレドリック・ブラウン 著
    時の矢 / アーサー・C.クラーク 著
    AL76号失踪す / アイザック・アシモフ 著
    万華鏡 / レイ・ブラッドベリ 著
    鎮魂歌 / ロバート・A.ハインライン 著
    美女ありき / C.L.ムーア 著
    生きている家 / ウィリアム・テン 著
    消されし時を求めて / A.E.ヴァン・ヴォート 著
    ベムがいっぱい / エドモンド・ハミルトン 著
    昨日は月曜日だった / シオドア・スタージョン 著
    現実創造 / チャールズ・L.ハーネス 著

    2000.11.21初版 図書館

  • 40年代といえば、第二次世界大戦のさなか、戦後の混乱期。そんな中、米国では、こんな素晴らしい作品が生まれていたとは。それをこんな安価で読めるとは。C.Lムーアが、キャサリン.ルシル.ムーアとは!髭面のオッさんを勝手に想像していた。アホでした。

  • 20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ (河出文庫)

  • 小説

  • 買いそびれていたのを古書店で見つけて購入。
    大満足なアンソロジーだった。他のも探して絶対手に入れなきゃ!

  • フレドリック・ブラウン「星ねずみ」The Star Mouse
    オーバービュルガー大先生の独り言口調がうつったミッキーと彼が到着した小惑星プルクシュルでブルクシュル人がその言葉を使ってミッキーとしゃべるとこがなんともユーモラス。「ミッキー、ひとちゅだけ忠告しておく。うっかり電流に触れぬようにな。君の脳中枢(のうちゅうしゅう)の新しい分子配列(ぶんしはいれちゅ)だがーきわめて不安定なのだー」

    アーサー・C・クラーク「時の矢」Time's Arrow
    発掘現場を舞台にしたタイムトリップもの。ラストのびっくりが2段階。

    アイザック・アシモフ「AL76号失踪す」Robot AL-76 Goes Astray
    ルナ・ステーションへ送り出されたはずのロボットが手違いでバージニア州にやってきた。他の人間に危害を及ぼす恐れのない限り人間の命令に従うもの、というロボットの性質を逆手に取った(?)ラスト(笑)

    レイ・ブラッドベリ「万華鏡」Kaleidoscope
    宇宙船が破壊されて宇宙空間に放り出された乗組員たちの話。美しい。

    ロバート.A.ハインライン「鎮魂歌」Requiem
    大金持ちの老人と地球と月の間の定期航路の仕事をクビになってボロボロの宇宙船を使った実演飛行のドサ回りをしている宇宙船のパイロットとエンジニアが月に旅立ついい話。

    C.L.ムーア「美女ありき」No Woman Born
    火災で亡くなった美しい女優を復活させる話。

    ウィリアム・テン「生きている家」The House Dutiful
    家が持ち主の希望を実現すべく力を発揮する。ホラー的理由じゃなくて元々そこに地球外生物が住んでいたからで、と。

    A.E.ヴァン・ヴォート「消されし時を求めて」The Search
    病院で目覚めた主人公、事故による記憶喪失だと思ったらそうではなくて、ややこしい話。

    エドモンド・ハミルトン「ベムがいっぱい」Wacky World
    ベムって…。人間が書いている小説が火星で実現していたら、すごいなこの発想。

    シオドア・スタージョン「昨日は月曜日だった」Yesterday Was Monday
    前に他の本でも読んだかも。実はこの世界は大きな舞台で舞台裏で“プロデューサー”やら“監督官”やら“小男”たちが暗躍している。

    チャールズ・L・ハーネス「現実創造」The New Realityぐるっと回ってアダムとイブかー、なるほど。

  • 1940年代、SFをSFにした巨匠たちの短篇作品を読める。著者の一覧を見れば、どんなにすごい人の作品が集められたのか分かるだろうとこれで面白くないわけがない。実際に読んでみても、どの作品も面白い。ずっとメインディッシュが出てくるコース料理のよう。しかも飽きることなく食べきって(読みきって)しまう。巨匠たちのスゴさを思い知らされた。読みやすいので、SF入門者にも安心してお奨めできる。

    以下、個別作品の感想。

    ◎星ねずみ(フレドリック・ブラウン)
    星新一のショート・ショートを彷彿とさせる翻訳文は読んでいてほっとさせられる。たまにはこのような法螺話を読むのも楽しい。「アルジャーノンに花束を」を思い出す。しかしこの作品は地球外生命体とのファーストコンタクトものになるのだろうか。

    ◎時の矢(アーサー・C・クラーク)
    「フィラデルフィア・エクスペリメント」を彷彿とさせる物語。短篇にしておくのはもったいない気がするし、ラストも予兆だけを示しているだけなので、もっと続きが読みたくなった。

    ◎AL76号失踪す(アイザック・アシモフ)
    人間とロボットの関係を考えさせられる物語。シンギュラリティーを迎えると起こるであろう事件が描かれている。これから迎えるロボット時代で起こりえることをシミュレーションするためにも、このようなSF作品は読んでおいた方がいいと思う。

    ◎万華鏡(レイ・ブラッドベリ)
    宇宙で死ぬことについて考えさせられる物語。この作品で起こったことは近い将来に発生してもおかしくない。そうなった場合、当事者や地球で見守る人々は事態に堪えられるのだろうか。救いのない結末である。だからこそ読者の心に訴えるものがある。

    ◎鎮魂歌(ロバート・A・ハインライン)
    月に行きたいという夢への想いをバシバシ感じる作品。まだ人類が月に行っていない時代に書かれた作品であり、きっと当時の世の中って、これくらい月や宇宙に夢中になった人がたくさんいたのだろうなと想像する。今では人類は月に行ったし、長期間の宇宙ステーション滞在もできるようになった。今の宇宙開発に対する憧れはこの物語が書かれた時よりも大きくなっているだろうか。

    ◎美女ありき(C・L・ムーア)
    サイボーグは生命なのか。考えさせられる。銀河鉄道999など機械の体を求めることが幸せかどうか問う物語は多い。本作品では、サイボーグとサイボーグを創った人間の心当たり動きを読者に提供し、倫理観を問われる。とても哲学的なお話しだ。

    ◎生きている家(ウィリアム・テン)
    こんな家があったら良いよね。こんな感じのことを思った人は多いだろう。自分の思い通りに奉仕してくれる家。食べたいもの飲みたいもの、すべて思えば出てくる。だけど、もしそんな家があったら、世界にどのようなインパクトがあるのか、恐ろしい結末が待っている。それでも住人になりたいと思うかもしれないが、果たして幸せになれるのだろうか。

    ◎消されし時を求めて(A・E・ヴァン・ヴォート)
    タイムトラベルしてしまった人の物語。少し難しかった。

    ◎ベムがいっぱい(エドモント・ハミルトン)
    笑った。火星を舞台にしたファーストコンタクトものではあるが、奇想天外でユーモア溢れるSF作品である。

    ◎昨日は月曜日だった(シオドア・スタージョン)
    何も考えずに素直に読んで面白い。奇想だけどリアルも少し感じる。私は“役者”でしかなく、プロデューサーや脚本家が書いたシナリオに沿って演技している(させられている)というのは、神の存在や運命を信じるかどうかという話に近い。以外と世の中の真相はこの作品の通りだったりかもね。

    ◎現実創造(チャールズ・L・ハーネス)
    本物の現実とはなんだろう。この作品では人間の意識が現実を創造するとしている。読んでいると納得してしまいそうになるが、いや違うだろうと否定したい感情も沸き上がってくる。難しい話なのだけど難しくない。論理的だが直感的。そんな物語。

  • 2000年11月2日、初、並、帯無
    2015年8月1日伊勢BF

  • ブラッドベリの「万華鏡」が良かった

  • 有名作家のアンソロジー。

     まずは「星ねずみ(フレドリック・ブラウン)」。アイデアが楽しいが、ロマンがないからかユーモア小説にしか見えない。次は既読の「時の矢(アーサー・C・クラーク)」。いつもの通り冴えている。どんでん返しか気持ち良い。

     大御所作品「AL76号失踪す(アイザック・アシモフ)」も古き良き時代のロボット小説で心奪われる。そして本作一番の作品が「万華鏡(レイ・ブラッドベリ)」。流れ星のエンディングが最高だ。さらに 月へのロマンをフルに綴る「鎮魂歌(ロバート・A・ハインライン)」もすばらしい!

     非常に良いテーマだが、少し長くて飽きる「美女ありき(C・L・ムーア)」、あまりおもしろいと思わなかった「生きている家(ウィリアム・テン)」、流し読みした「消されし時を求めて(A・E・ヴァン・ヴォート)」、奇抜な発想が光る「ベムがいっぱい(エドモンド・ハミルトン)」、既読で再読してもあまりおもしろいと思わなかった「昨日は月曜日だった(シオドア・スタージョン)」、興味深いテーマだが、文体に乗り切れなかった「現実創造(チャールズ・L・ハーネス)」。

     いい時代の古き良きSFだなぁ。

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著者プロフィール

Isaac Asimov (1920―1992 )。アメリカの作家、生化学者。著書に『われはロボット』『ファウンデーション』『黒後家蜘蛛の会』等のSF,ミステリーのほか、『化学の歴史』『宇宙の測り方』等の科学啓蒙書やエッセイが多数ある。

「2014年 『生物学の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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