20世紀SF 3 1960年代 (河出文庫 ン 2-3)

著者 :
制作 : 中村 融  山岸 真 
  • 河出書房新社
3.70
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本棚登録 : 188
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462042

作品紹介・あらすじ

20世紀の英語圏SFを年代別に集大成したシリーズ第3巻は、「新しい波」運動が華々しく展開され、SFの可能性を拡大した、激動の1960年代編!火星の砂に埋もれた滅びゆく世界を描いた、時代の旗手バラードの記念碑的作品「砂の檻」、映画『2001年宇宙の旅』にて巨匠の地位を不動にしたクラークの名作、SF界のカリスマ作家エリスンの出世作ほか全14篇。

感想・レビュー・書評

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  • 客土のご利用は計画的に…まして、異星の土は…(「砂の檻」)

    「ホラ吹きおじさん」と(悪)名高いラファティの作(「町かどの穴」)に初めて触れたが、いやはや、これは嫌いになれない。まさか「ゼッキョー」と絶叫するとは。いやいやいや…と読者がたじろぐホラを高らかに吹き鳴らして、なおもやめない。大胆不敵。

  • 「砂の檻」J・G・バラード(ニュー・ワールズ1962年6月号) 「結晶世界」や「旱魃世界」にも通じる空気感。砂に覆われた地で取り残され生きる男女。しかしその砂たるやなんと火星開発の廃棄物としての砂なのだ。


    復讐の女神 / ロジャー・ゼラズニイ
    「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった / ハーラン・エリスン
    コロナ / サミュエル・R・ディレイニー
    メイルシュトレーム2 / アーサー・C・クラーク
    砂の檻 / J・G・バラード
    やっぱりきみは最高だ / ケイト・ウィルヘルム
    町かどの穴 / R・A・ラファティ
    リスの檻 / トーマス・M・ディッシュ
    イルカの流儀 / ゴードン・R・ディクスン
    銀河の「核」へ / ラリイ・ニーヴン
    太陽踊り / ロバート・シルヴァーバーグ
    何時からおいでで / ダニー・プラクタ
    讃美歌百番 / ブライアン・W・オールディス
    月の蛾 / ジャック・ヴァンス

    2001.2.20初版 図書館

  • 70年代末から80年代に読み始めた作家たちは60年代に出た≪ニューウェーブ≫だったのかぁ。
    クラーク、バラード、シルヴァーバーグ辺りがお気に入り。
    あ、ヴァンスもゼラズニイもハリスンも好きだし、初訳というディクスンの「イルカの流儀」も良かったし、前世紀の文学の方が親しみやすいだけか?^^;

  • まず、過去を知らない人は巻末の解説を先に読んだ方がいいかもしれない。私は予備知識なしで読んだのですが、どの作品も難解に感じました。1960年代の時代背景が分かっていれば、もう少し楽しめただろう。個人的な好みの作品は、『「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった』『メイルシュトレーム2』『町かどの穴』『イルカの流儀』といったところ。

    個別作品の感想は下記の通り。

    ◎復讐の女神(ロジャー・ゼラズニイ/著 浅倉 久志/訳)
    難易度高い。西洋では常識になっている西洋文化を知らないからだろう。ストーリーは分かるのだけど、その中にある面白さを理解できなかった。

    ◎「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった(ハーラン・エリスン/著 伊藤 典夫/訳)
    SFらしいSFだなあ。遅刻が重罪で累計遅刻時間が多くなると死罪にもなる厳しい世界。でも現実世界も似たようなものか。電車なんて2分くらい遅れたら、鉄道会社の係員が何回もお詫びのアナウンスをしているもんなあ。過ぎたるは及ばざるがごとし、という事で、適当適切なのがちょうどいいのかなと、本作品を読んで思った。

    ◎コロナ(サミュエル・R・ディレイニー/著 酒井 昭伸/訳)
    自殺願望を持ったテレパスのリーと宇宙港の職員であるバディ。その二人が出会うことで二人が救われる。

    ◎メイルシュトレーム2(アーサー・C・クラーク/著 酒井 昭伸/訳)
    月から地球に向かう時にアクシデントが発生し、月の周りを宇宙服だけでほぼ一周することになる男の話。危機一髪の状況の描写がうまい。さすが巨匠である。最後までドキドキしながら読んだ。もっと続きを読みたかった。

    ◎砂の檻(J・G・バラード/著 中村 融/訳)
    火星なの?地球なの? と最後の方まで謎に思いながら読み進めた。素直に面白い。

    ◎やっぱりきみは最高だ(ケイト・ウィルヘルム/著 安野 玲/訳)
    バーチャルアイドルなんて昔にいたなあなどと思いながら読んだ。アイドル(女優かな)とマトリクスが融合したYouTubeのような世界。芸能界の怖さはリアルな感じがして良い。これは今も昔も変わらないのだなあ。

    ◎町かどの穴(R・A・ラファティ/著 浅倉 久志/訳)
    面白い法螺話。おもしろおかしくもあり、シュールでもあり、ホラーでもある。鏡で自分の姿を見たらゲシュタルト崩壊しそうだ。

    ◎リスの檻(トーマス・M・ディッシュ/著 伊藤 典夫/訳)
    白い立方体の部屋に閉じ込められている作家の物語である。シュールとしかいいようがない。じわじわと効いてくる面白さである。

    ◎イルカの流儀(ゴードン・R・ディクスン/著 中村 融/訳)
    イルカと人類がコミュニケーションする過程で、驚きの理論が明らかになる。これもファーストコンタクトものといっていいのかな。SFらしいSF。

    ◎銀河の<核>へ(ラリイ・ニーヴン/著 小隅 黎/訳)
    銀河の中心に簡単に行ける宇宙船があったら、どのような景色が見られるのだろう。その想像を見せて、さらに意外な結末を突きつけられる。物理的に疑問を持ってしまうところもあるが、楽しく読める。

    ◎太陽踊り(ロバート・シルヴァーバーグ/著 浅倉 久志/訳)
    “きみ”を指し示す対象が次々に変わるので、そこを気を付けなければならない。“きみ”と最初に示されたトムの正体を理解できなかった。もしかしたら人間ではないのかもしれない。コミュニケーションできない知的生命体との関わりは難しい。

    ◎何時からおいでで(ダニー・プラクタ/著 中村 融/訳)
    タイムトラベルのショート・ショート。タイムトラベルをやった結果、実際に訪れるのはこのような結末かもしれない。

    ◎讃美歌百番(ブライアン・W・オールディス/著 浅倉 久志/訳)
    自分には意味不明な作品。自分には難しかったし、好みの作品でもなかったのだろう。月が地球から飛び出し、代わりに金星が地球の姉妹星になる世界で、異形の知的生命体が活動する世界。そこまでしか理解できなかった。

    ◎月の蛾(ジャック・ヴァンス/著 浅倉 久志/訳)
    難解な作品だった。自分好みではない。

    ◎変革の嵐が吹き荒れた時代(中村 融/著)
    本書に収録された1960年代のSFについての解説。各作品を読む前に、この解説を読んでおいた方が、各作品をよくタノシメルかもしれない。自分が知らない60年代について知ることができて満足だ。

  • 図書館から借りたカジシンとシールが貼ってある熊本出身の梶尾真治さん寄贈の本です!このシリーズは、全部そうです!

  • 20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫)

  • 小説

  • 初めの数編は読んだのだが、どうも合わないようだ。
    全然面白くなかった。
    途中からは、冒頭を数頁読んで、面白そうなのだけ最後まで読んだ。それでもやっぱり面白くなかった。
    面白いと思ったのはアーサー・C・クラークの「メイルシュトレームII」。はらはらどきどき、かつ、考えさせられる。

    ちゃんと読んでないので、評価はなし。限りなく★☆☆☆☆に近いが。

  • これもあほのように好きだな!
    好きな作品がいっぱいある!
    「復讐の女神」、これもしょっぱなからずしん、ときたし、
    「悔い改めよ~」も良かった。
    「メイルシュトレームⅡ」や「砂の檻」も忘れられないし、「やっぱり君は最高だ」もいい。
    抜きん出て好きなのは「太陽おどり」。
    この感覚、この熱さ、人に伝わるものなのか、作者が意図したものなのか分からないけれどとにかくたまらない感覚。
    「賛美歌百番」も好き。
    とにかく好き。

  • 「乱視読者〜」から流れて。「コロナ」はいいですね!素敵な話。「月の蛾」はようやく読めた〜 これ絵本にしても合うよきっと。まるでお伽噺のような玉です。文化人類学的な話はやっぱ好きみたい。国書刊行会のヴァンスの作品集気になってます。ディッシュ「リスの檻」バラード「砂の檻」ラファティ「町かどの穴」クラーク「メイルシュトレーム2」など、なんか凄い。粒揃い。

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著者プロフィール

東京都在住。A型なのかO型なのか分からないが、家族からはA・友人からはOと言われるシュレディンガーな血液。TCA卒業後は筋トレに励んで、60キロの重り担いでスクワットしてる。
少年漫画の熱さと少女漫画のときめきが好き。女主人公でしか筆が進まない自分。強い女が好きなので、泣きながらでも立ち上がる女をこれからも書きたいです。
これからも応援宜しくお願いします。

「2022年 『JKレーサーはレスキュー隊員のお姉さんにメロメロなので時速300キロで告白します』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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