銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462554

作品紹介・あらすじ

銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅。どこをとっても平凡な英国人アーサー・デントは、最後の生き残りとなる。アーサーは、たまたま地球に居た宇宙人フォードと、宇宙でヒッチハイクをするハメに。必要なのは、タオルと"ガイド"-。シュールでブラック、途方もなくばかばかしいSFコメディ大傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅した!英国人アーサー・デントは友人であり、自分が宇宙人だと明かして彼を助けたフォードと、宇宙でヒッチハイクをするハメになってしまい──。

    バイパス建設のために自宅から立ち退きを要求されていたアーサー。必死に作業員を止めようともがくも、それどころではないもう一つのバイパス建設が進んでいた!「銀河バイパス建設の旨は50年前から4光年先のアルファ・ケンタウリに貼り出してあったのに、不服申し立てしない方が悪いよ。じゃあ破壊光線発射」となるくだりはシュールすぎる!4光年先とか人類は行けないんですけどー!理不尽すぎる終末!ノストラダムスもびっくりするに違いない。

    アーサーは友人のフォードに命を救われる。フォードは『銀河ヒッチハイク・ガイド』の改訂版を作るために地球を調査しに来ていたが、帰れなくなっていた宇宙人だった!そのガイドの表紙には「パニクるな」。いや、パニクるわ!そんなこんなで故郷を失くしたアーサーたちは宇宙でヒッチハイカーとなる。登場する宇宙人、その文化はどれも奇想天外!地球人の常識など一切合切通じない!未知との遭遇(強制エンカウント)に読者のぼくもパニクっていく。

    そんなカオスなヒッチハイクは、宇宙の伝説的なある星に向かって収束していく。オーダーメイドの惑星を建造する産業で栄えた星。今は歴史のかなたに眠っていた星の謎に迫る展開はミステリのスパイスが効いている。物語に登場する設定もロマンとユーモアを感じるものばかり。不可能に近い偶然を一時的に起こしてしまう「無限不可能性ドライブ」。それを積んだ最新鋭の宇宙船のコンピュータは無駄口を叩き、その無駄口を記録のために紙へ印刷して吐き出してくるという謎っぷりが好き。

    そして、後半に登場するこの言葉が印象深い。

    「老いぼれてしまったせいかもしれんが、わたしはずっとこう思っておるんだ──ほんとうはなにが起きているのかわかる可能性は、もうお話にならんほど小さいものだ。とすれば、意味なんぞ考えるのはやめにして、その時間をほかのことに使えと言うしかなかろう」

    ぼくも彼らも探し回った答えは、結局ここに集約されるのではないだろうか。パニクるな!意味じゃなく、今やりたいことを考えろ!と。

    今のぼくにただひとつ言えることは、銀河ヒッチハイクだけはしたくないってことだ(笑)

  • 157冊目『銀河ヒッチハイク・ガイド』(ダグラス・アダムス 著、安原和見 訳、2005年9月、河出書房新社)
    1978年にイギリスで放送されたラジオドラマを、原案/脚本を手がけたアダムス自らが小説化。1979年に刊行されて以来、世界中で親しまれている「バカSF」の古典である。
    後書きによると著者はモンティ・パイソンから影響を受けているとのこと。確かに本作のコメディは社会への皮肉や批評性に満ちており、どこか無常観すら漂っている。本作の徹底したバカバカしさは、著者の知性の裏打ちに他ならない。

    「四十二です」

  • シリーズ第一作。シニカルかつ軽妙な語りのSFコメディ。
    バイパス工事に遭う自宅の立ち退きにひとり抗議する、地元ラジオ局勤務のアーサー・デント。5、6年前から付き合いのある友人のフォードが、そんなアーサーを強引に連れ出す。酒場に行く間に取り壊された自宅を見て茫然とするアーサーを伴い、フォードは宇宙へと飛び出す。フォードの正体はベテルギウス出身の宇宙人、「銀河ヒッチハイク・ガイド」の地球現地調査員だった。そして彼らが後にした地球は宇宙バイパス工事のため跡形もなく消え去っていた。唐突にたったひとりの地球人になったアーサーの宇宙冒険がはじまる。

    終始バカバカしく軽いノリでありながらも、壮大なスケールの謎を含むスペースオペラで、ストーリー以外の部分にも楽しみが多い。途中からアーサーたちに随伴する、超根暗で常に鬱っぽく面倒臭い性格のロボット、マーヴィーのキャラクターが個人的にツボで、彼の登場シーンはとくに楽しかった。後続作品のタイトルにもなっている「さようなら、いままで魚をありがとう」をはじめユニークなフレーズの数々にも惹かれる。世界観で好き嫌いが別れそう。

  • 作者のダグラス・アダムスが絶滅機種を訪ねた旅行記「これで見納め」が超絶面白かったので、
    https://booklog.jp/item/1/4622076160
    代表作である「銀河ヒッチハイクガイド」に手を出してみた。


    ***
    アーサー・デントは自分の家と大きな黄色いブルドーザーの間に横たわっていた。
    役人は言う。「あなたの家はバイパス建設のために取り壊しが決まっているんですよ。半年も前から市役所地下倉庫キャビネットの中のファイル公示しておいたでしょ。見ていない?あまりにも周りの事に興味を持たなさすぎたあなたの不注意だ」
    30分後、ヴォゴン星の銀河超空間土木建築課の破壊光線が地球に狙いをつける。ヴォゴン星人は言う。「地球は銀河バイパス建設のために取り壊しが決まっているんですよ。50年も前からアルファ・ケンタウリにある出張所に公示しておいたでしょ。見ていない?あまりにも周りの事に興味を持たなさすぎたあなたの不注意だ」
    地球が破壊される30秒前に、アーサー・デントはヴォゴン星人の宇宙船に密航していた。アーサーを助けたのは友人のフォード・プリーフェクト。15年間売れない役者をやっている振りをしたベテルギウス(英語だとビートルジュース。カブトムシ汁)星系の宇宙人で、銀河で一番売れている本、『銀河ヒッチハイク・ガイド』現地調査員だったのだ!
    銀河ヒッチハイク・ガイド!銀河を快適に格安で旅するためのお友達、表紙に『パニクるな!』と書いてある。
    しかし今回フォードがヒッチハイクに選んだヴォゴン船はヒッチハイカーには手厳しい。
    ヴォゴン星人の宇宙船から野蛮に放り出されたアーサーとフォードは、窒息死する予定の1秒前に突如現れた宇宙船、無限不可能性機能(不可能を可能にする機能。恒星間を瞬時に移動する時に同時にいくつかの点に存在することができる)を備えた<黄金の心>号に拾われる。
    乗っているのは、ゼイフォード・ビーブルブロックス と、ガールフレンドのトリリアンと、鬱症ロボットのマーヴィン。
    ゼイフォードは二つの頭と三本の手を持つ、元銀河大統領。銀河大統領の仕事は、とにかく派手なパフォーマンスをすること。政治なんてやってはいけない、それをしている者たちを隠すのが銀河大統領だ。そしてトリリアンは地球人。少し前に地球に立ち寄ったゼイフォードにナンパされて銀河ヒッチハイクに出ていた。地球が破壊された今では、アーサーと二人で生き残った最後の地球人。
    しかしゼイフォードはいまでは追われている。<黄金の心>号の着工式の場から、この船を奪い取ったため、銀河大統領に”元”が付き、いまではお尋ね者。
    快楽主義の詐欺師ゼイフォードは、まさしく銀河大統領に相応しかったが、どうやらなにか目的があり、それを隠すために自分で自分の脳に封印を掛けたらしい…。

    <黄金の心>号は、かつて栄えて今は眠り続ける星、マグラシアに降り立つ。
    そして地球に関する驚愕の事実を知る。
    地球上の生命体で、人間は三番目に賢い。二番はイルカ、そして一番賢く地球創立に関わったのはなんとネズミ!
    ネズミとマグラシア人が地球を作った理由とは?
    遥かな昔、宇宙の根本の謎、「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」を知るためにスーパーコンピューターが作られた。750万年かかって導き出した答えは、「42」。
    「42」?!
    これを750万年間待ち続けた宇宙中に公表するのか?だれた認めるものか!
    そこでスーパーコンピューターは再度答えた。それでは「究極の答え」に対応する「究極の問い」を計算するさらに優れた巨大コンピューターを設計しましょう。その巨大コンピュータの名前は「地球」です。

    そして宇宙人たちはまたもや究極の問いの答えを待ち続けた。
    しかしその答えが出ることを止めたがる者たちもいた。
    そこで彼らは「宇宙バイパス建設のため」といって地球を破壊してしまったのだ…。

    一難去ってまた一難、前門の虎後門の狼、焼けたフライパンから逃げたら茹だってるお鍋に落ちちゃった?
    こうして始まったハチャメチャ銀河ヒッチハイク、どこまで行くのか?!…あ、その前にお腹が空いたから、このあたりで一番近い宇宙の果てのレストランへ連れて行っておくれ!(→シリーズ2作目へ続く)

  • “ゼロからトースターを作ってみた結果“という本の著者が、“ほとんど無害“という本が大好きだと語っていたので、今シリーズ1作目を読み始めてみた。

    元々はラジオドラマだったらしく、ラジオドラマでやるような少し緩い語りのSF作品という感じだった。
    平凡な地球人でありながら、宇宙に放り出されるより辛い拷問であるヴォゴン人の詩の朗読(フォードは苦しみのあまり絶叫するほど)に淡々と感想を述べて空気を変える主人公アーサーp88、
    破壊された地球から主人公を救い出して一緒にヒッチハイクしていく説明役フォード、
    犯罪歴があり、目立つのが仕事の大統領で顔が2つ手が3本、フォードのいとこでもあるゼイフォード、
    開閉に喜びを感じるドアを忌々しく思う口の悪いロボット、使われるのが嬉しく無駄口の多いロボットなど。
    登場人物の個性や、細かな舞台設定が面白い。

    実はネズミは人間よりも賢く、人間によるネズミ実験で色々と情報を得ているが、それはネズミ側から教えてやっているのだという。
    そして地球は超ハイスペックなコンピューターであり、あと5分で解明できた謎が地球破壊により潰えた。そして地球の生き残りであるアーサーの脳に謎の解明に繋がる断片があるはずだとねずみは考え、脳をくれないかと言い出す。


    ちなみに“ほとんど無害“とは、銀河ヒッチハイク・ガイドにおいて、『地球』についての解説文である。(惑星が膨大すぎて地球はマイナーであり、元々は無害としか書かれてなかったのをフォードが15年間の滞在の末、ほとんど無害に更新した。)

    〜美しいことで有名な惑星ベスセラミンでは、大量の観光客のせいで侵食が進むのを憂慮し、惑星滞在中に摂取した量と排泄した量に差があると、出国する時にその正味差分を外科的に切除されることになっている。なので、トイレに行ったら何があっても必ずレシートを貰っておかなくてはならない。p104

    ↑トイレでレシートを貰うという発想が面白くてお気に入りだ。

    生命、宇宙、そして万物とは一体なにか?
    超ウルトラスーパーコンピュータが750万年かけて計算した答えは『42』

  • 「よろしければ、あなたの人格上の欠陥だって小数点以下十桁まで正確に計算してさしあげますよ」

    最高!
    最高!
    最の!高!
    めっちゃ面白かったーーーー!!
    最初、場面の切り替わりと人物に慣れるまで少しかかったのだけど、乗ったら面白くて面白くて、吹き出してしまうのがわかっていても外でも読まずにいられなかった。
    はーー面白かった!
    展開も台詞も鮮やか。
    続きが楽しみ!

  • 唐突に最後の生き残りとなったアーサーは、たまたま地球に居た宇宙人フォードとともに宇宙でヒッチハイクをする事になる。

    ジャンルとしてはSFコメディとという事ですが、序盤の展開は個人的になかなか怖かったです。人間が宇宙全体で一番の知的生物とは限らない&地球とは異なる世界の知的生物とスマートにコンタクトができるとは限らない、と考えると何だか宇宙開発も怖くなってきますね。
    そんな地球の終わり嫌すぎるなあ……。

    ジョークなどが至る所に散りばめられていて、なかなか面白かったです。原文で読んだら、きっともっと笑いどころが多いのだと思いますが、残念ながらすべてを理解するには知識が足りませんでした。また、英国の作品らしく、コメディ色が強いのですがやはりどこかブラックというか、辛口で皮肉っぽいです。
    以前もコメディ寄りのSFを読んだことはあるのですが、何となく何度読んでもSF×コメディって不思議な感じがします。個人的に、宇宙がとても怖いところだという印象が強いからでしょうか。

  • コメディとしては、正直そこまで面白くはないかなという感じでしたが、有名な「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」が、どういう流れで語られるのか知れただけで、非常に充実した読書体験になりました。いや、あまりにくだらなくて逆にびっくりしましたが(笑)。とりあえず、今後はネズミとイルカに対して、尊敬の目を向けて過ごそうと思います。

  • ちょっと懐かしいクラシックな雰囲気漂うぶっ飛び系なんでもありSF。「SFコメディ」というには、日本人には笑えないくどい言葉遊び(私はその手の表現がきらい)が目につくものの、つまんなくなりそうな絶妙のタイミングでなるほどそうきたかっていう伏線拾い展開がなされてついつい読み進めてしまう。まぁ、そのぶっとび伏線回収が気に入れば、暇な時に読んで損はないでしょうが、最近のSFを読みこんでいると、やはりちょっと古さが目立つというか、展開だけの面白さに終始するので物足りなく感じるかも。

  • 大変面白かった。1978年に出版されたとのことだけど、あまり古臭さは感じなかった。昔の SF 小説に特有な若干差別的なテイストを含むユーモラスもなく、安心して読めた。読者を楽しませたいという、筆者の純粋なエンターテインメント性を感じる。また特筆すべきこととして、翻訳が良かったことも、古臭さを感じさせない理由のひとつだと思う。

    内容としてはしっかりと SF している。世界観・ストーリー・キャラクター、全てが SF 的で大変満足。

    結構大風呂敷を広げているのだけど、わずか300ページでぐるりと一回転して、伏線回収しながら終結まできちんと描いている。

    面白かった。内容があり、文量は多すぎない。初心者にも安心してオススメできる一冊。宇宙の果てのレストランというタイトルの続編もあるみたいなので是非読んでみたい。

    (書評ブログもよろしくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2022/02/26/%E3%80%90%E3%81%8A%E6%89%8B%E8%BB%BD%E6%9C%AC%E6%A0%BCSF%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E3%80%91%E9%8A%80%E6%B2%B3%E3%83%92%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89_-_

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著者プロフィール

1952-2001年。英ケンブリッジ生まれ。1978年BBCラジオドラマ「銀河ヒッチハイク・ガイド」脚本を執筆。翌年、同脚本を小説化し大ベストセラーに。モンティ・パイソンの脚本に携わっていたことも。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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