- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462653
作品紹介・あらすじ
遠い昔、遥か彼方の銀河で、ギャクサツ集団クリキット軍の侵略により銀河系は全滅の危機に陥った。封印を破って甦った彼らを迎え撃つのは、よりによってアーサー・デントとその一行。果たして宇宙は救えるのか!?大傑作SFコメディ第3弾!銀河大統領の若き日日を描いた本邦初訳「若きゼイフォードの安全第一」収録。
感想・レビュー・書評
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「銀河ヒッチハイクガイド」シリーズ3冊目。
前2作よりちょっとシビアだった印象。
二百万年前の地球に飛ばされていたアーサーとフォードは、それから数年後に何とか時間軸を捕まえ別の時間、別の惑星へ。
着いた先は、破壊二日前の地球、イギリス、クリケット会場!
そこへ突如現れたクリキット星宇宙船は、地球人をボール代わりに使ってクリケットを始める。
クリキット星人は、ずっと”宇宙”というものを認識していなかった。
この世界に自分たちが唯一無二だと思っていたのだ。
だがある日うっかり落ちてきた宇宙船により、彼らは”宇宙”を知る。
優れた科学力で、数年で宇宙船を仕上げて宇宙に向って探索だ!果たして誰にあえるのか?何を見えるのか?
…しかし宇宙は広すぎた。行っても行っても虚空ばかり。自分たちはなんとちっぽけなんだろう。
だからクリキット星人は怒った!
それならこの宇宙に存在するすべての星、すべての生物を攻撃してやる!!
自分たちこそこの宇宙に唯一無二!
こうして始まった一方的なクリキット戦争。
なんとか鎮圧した宇宙議会は、クリキット星を時空に閉じ込めて封印する。
封印が解けるのは、宇宙が崩壊するときだ。
クリキット星人が”われらこそこの宇宙に唯一無二”というなら、その望みをかなえてやろうではないか!という意趣返しだ。
…そんななかで地球人の生き残りのアーサー、銀河ヒッチハイクガイド現地調査員のフォード、元銀河大統領で快楽主義のゼイフォード、ゼイフォードのガールフレンドで地球人の生き残りのトリリアン、鬱症アンドロイドのマーヴィンは再会し、宇宙を救うための鍵を見つけることになってしまった。
まずはクリキット星の攻撃を沈める、そして時間旅行を繰り返す余りに完全に狂ってしまった時間軸を戻すための「実時間を守ろうキャンペーン、略して実キャン」を実行せねばならない。
アーサーは、いきなり目の前に現れた不死人”無限引き伸ばされワウバッガー”に罵られる。彼は自分が不死者になってしまったという有り余る時間をこの世のすべての生命を罵ることで潰すことにしたらしい。
さらに自分に激しい恨みを向ける”アグラジャッグ”から文句を言われる。彼は生まれ変わるたびにアーサーに殺されているんだそうだ。
アーサーは嘆く。
「ある朝故郷の惑星が吹っ飛ばされましてね、そのあと宇宙船から放り出され、そしたら自分の故郷の惑星はネズミによって造られたってわかったんです。
それからは銃撃されるわ、また吹っ飛ばされるわ、もうしょっちゅう吹っ飛ばされたり銃を突きつけらたり侮辱されたりするんです。
なにかっていうと分解されるし、お茶はどこにもないし、沼地のじめじめした洞窟で何年も過ごすし」
でも偶然”空を飛ぶ方法”を体得したんだからいいじゃないか。
まあそんなこんなで、<黄金の心>の持つ無限不可能性ドライブ(恒星間を移動する方法)以上の宇宙旅行性能を持つ”レストラン数論ドライブ”やら、鬱症ロボットマーヴィンがクリキット星の殺戮ロボットたちと同化し戦争のやる気をなくさせたりして、一日に二度も宇宙の危機を救ってしまったアーサーは「もうちょっと銀河ヒッチハイクはお休みでいいかな~」って思った。
だって時間と距離は一つだし、精神と宇宙は一つだし、認識と現実は一つだし、旅をすればするほど人は一つ所にとどまるんだ。
地球が作られた理由は「生命と宇宙とその他もろもろについての究極の問い」を答えるためだけれど、
宇宙の法則で、問いと答えが両立してしまうとその宇宙は消滅し、さらにもっとヘンテコでわけのわからない宇宙ができてしまうらしい。
…いや、でももうその宇宙はできているのかもしれないな。
(→「さようなら、いままで魚をありがとう」へ続く)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
途中でちょっと、なんでこんなもの読んでるんだ?と思いかけた、が、持ち直した。
今回は、
不死に生まれついた、無限引き伸ばされワウバッカーが宇宙に住む者をひとり残らず侮辱してまわる、とか。
常に憂鬱なロボットマーヴィンが、実はキーパーソンだったり。
アーサーに何度も殺され続けている(と主張する)アグラジャック、とか。
「理由」の説明を受けている時には完璧に理解しているが、それを後で他の人に話そうとすると全く覚えていない、ってよくあるな。 -
(俺のブログ2006-07-07投稿より)
銀河ヒッチハイクガイドの続編です。
空を飛ぶコツを学びました。
「高い所から飛び下りて地面に落ち損なう技術」を身に付ければいいらしい。
地面寸前で自分が落ちていることと全く関係ないことを考えたりするとうまくいくとのこと。
「あれっ、最近ズボン洗ってないなぁ」とか。そうすると思わず落ち損なっちゃうらしい。
なるほど。みんなもやってみよー。
ちなみにこの本の感想はと言うと、このシリーズにして初めて一貫したストーリーがあってなかなかよかった。
印象に残った言葉は
「この連続俺殺しがっ!」
同じ人に何度も殺される人はなかなかいません。 -
3作目。
雑談と伏線の区別が全然つかないのが素晴らしい。ええここに関わって来るのか!と。一巻のあのゼラニウムの鉢とかここに来て。
鬱ロボットのマーヴィンが対機械で最強すぎる。自分の人生観を相手に植え付けるて相手も鬱にするという斬新な戦闘法。その人生観は知らない方が身のためのようで。
レストラン数論ドライブとか笑った。よく思いつくなこんなの。レストランにおいては全ての数学法則が通じないって。これが宇宙船の推進力。
でも今回1番ブフってなったのはアーサーが「料理ができるようになりたい」って言い出したシーンかも。唐突な!あと「もしこれを作曲したのがポール・マッカートニーなら…」の諸々と、それこそ唐突に不老不死の宇宙人に罵倒されるシーン。とりあえず今回も沢山笑えたってことです。 -
『宇宙クリケット大戦争』についてです。ダグラス・アダムス著『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズの第三作目です。<br>
アダムスはもともとこの巻で完結のつもりだったようですが、その後、もろもろの事情により第4作・第5作が作成されたわけですね。<br>
それはさておき、この本のお話。<br>
ふざけた邦題がついていますが、原題は"Life,The Universe and Everything"で、直訳すれば『生命、宇宙そして全て』かと思ったのですが、後に触れるGOOGLEの計算機能からすると『人生、宇宙、すべての答え』、河出文庫版によれば『生命、宇宙そのほかもろもろ』という意味で、要するに『銀河ヒッチハイク・ガイド』から出ている壮大な問題(answer to life the universe and everything)ですね。<br>
タイトル的な響きからいうと、邦題はイマイチな感じがするのですが、この本の内容を最も端的に表しているのはどっちかといえば原題ではなく邦題です。これまでの流れとはあんまり関係なくクリケットにまつわる話が延々と展開されるのですなw<br>
正直にいえば1巻、2巻ほど強力な笑いはなかったのですが、これはこれで面白かったです。不老不死に飽きた男のエピソードや、ある理由でアーサー・デントを憎悪する延々と輪廻転生する生物のエピソード、マーヴィンのなんともいえない大活躍、真実しか話せなくなった男のエピソードなど、いずれもかなり面白かったです。<br>
ただ、これで三部作の最終と言われてもなんとなく納得がいかないものを感じさせるところがありました。直接的に1巻、2巻とかかわっているのは、エピローグだけでしたしね^^;<br>
いずれにしても、全体的にみればなかなか面白い作品でした^^<br>
ちなみに、GOOGLEに計算機能があることはよく知られていると思いますが、answer to life the universe and everythingもきちんと計算してくれます。answer to life the universe and everythingをコピペしてGOOGLEで検索してみる、あるいは「人生、宇宙、すべての答え」を検索してみると・・・^^<br> -
宇宙ヒッチハイクシリーズ第三弾は息切れ感ありあり。第四弾は少し読むのをおいておこう。
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読後なにも残らない、メイビーいい意味で。ウィットに富む会話劇はモンティパイソンにおけるそれを彷彿とさせる。英国的なジョーク。知的な皮肉や遜った台詞は読者のバックグラウンドによってその意味や捉えられ方が大きく異なりそうだな、って思った。だけど、そういった部分を抜きにしても物語の世界における混沌、不条理な雰囲気は思わずにやりとしてしまうだろう。ただし心配ごとがある時、疲れている時は読まない方が賢明だ。「銀河ヒッチバイクガイド」シリーズ第3段、アーサーの心に安らぎはくるのか。こないのか。don’t panic!
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《目次》
・「宇宙クリケット大戦争」
・「若きゼイフォードの安全第一」