人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫 ア 6-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463032

作品紹介・あらすじ

生きるか死ぬかの極限状況で、肉体的な「人間の限界」を著者自身も体を張って果敢に調べ抜いた驚異の生理学。人間はどのくらい高く登れるのか、どのくらい深く潜れるのか、暑さと寒さ、速さの限界は?果ては宇宙まで、生命の生存限界まで、徹底的に極限世界を科学したベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 3週間かけても第5章の「どこまで速く走れるのか」までしか読めなかった。次の「宇宙で生きられるのか」もすごく気になったんだが…。これ以上時間をかけても読めないと思い、ここで読了とすることにした。

    人間(ホモ・サピエンス)という種が様々な極限状況に対してどこまで生きられるのか、過去の実際の挑戦とそれを裏付ける生物学的な説明を元に解説してくれる。
    ヒトの限界と、他の動物は何故それ以上過酷な状況でも耐えられるのか、その生物学的な仕組みの違いを解説してくれるのが面白かった。

  • 生理学者の著者による、極限状況における人間や他生物の限界を検証している一冊。
    高さ、深さ、暑さ、寒さ、速さ、地球外などに関わる厳しい環境が集められています。
    なかなか専門的で、内容は難いと感じました。
    しかし、ユーモアたっぷりの筆致が読者を奥深い極限まで導いてくれるでしょう。

  • タイトルどおり、暑さや寒さ・高さや低さといった様々な観点から「人間はどこまで耐えられるのか」というものをジョークも交えて書かれている。意外とタフだったり、逆に脆かったりと私たちが想像するよりも人間という生き物は特殊なのだなと感じた。
    人間の限界点の先にも暮らしている生物は多く、それらの生物は独自の進化や技術をもっている。それらの生物と人間を比べたり耐えられるカラクリを解説したりと人間が新しくものを開発するキッカケになりそうなことがいくつも書かれているので人間の技術的な進化がまだ可能かもしれないと感じられたため読んでいてとても面白かった。

  • 著者のフランセス・アッシュクロフト(1952年~)は、英オックスフォード大学生理学部教授で、インシュリンの分泌に関する第一人者である。本書は2002年に邦訳版が刊行され、2008年に文庫化された。
    本書は、文字通り、人間は「高さ」、「深さ」、「暑さ」、「寒さ」にどこまで耐えられるのか、人間はどこまで「速く」走れるのか、人間は「宇宙」で生きていけるのかなど、「人間の限界」を科学的に解明しようとしたものである。
    私は、本書を、理化学研究所と編集工学研究所(所長は松岡正剛)が共同で2017年に企画・選書した、科学の面白さ、深さ、広さが伝わる“科学道100冊“の中で知り、手に取った。
    一部の専門的な説明は著者の了解を得て割愛しているとはいえ、生理学の予備知識のない私には読みにくい部分もあったが、「人間の限界」とは、大まかに言えば、「高さ」と「深さ」については、空気の濃度や圧力の高低に体がどこまで対応できるのか、「暑さ」と「寒さ」については、外気温に対して汗や血液の流れの変化でどこまで体温を調整できるのか、「速さ」については、どこまで速くエネルギーを燃焼させて筋肉の運動に使えるのか、という点にあるとのイメージはつかめたように思う。
    そして何より、自分で、ふだん暑さや寒さを感じたり、走ったりしたときに(高い山に登ったり深い海に潜ることは殆どないが)、血管や肺などの身体の中の変化が、朧げにでも想像できるようになったという意味で、とても面白く役立つものであった。
    (2018年1月了)

  • 世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させた、華岡青洲は有名な話だが、
    昔から生理学者は自分や家族の身体を実験台に、研究を行ってきた。
    しかしながら、潜在的な危険性は未知数で、人間が生存できる限界もわからないため、
    日本を含む各国で、捕虜や服役囚を人体実験にしたと言われている。
    科学の進歩の裏で、人間の命に関する研究には暗い影がつきまとうようだ。
    あらゆるものに光と陰があるんだな。

  • "最高に面白い本だった。人間が健康に活動できる限界は?という視点から、科学的に分析をする。もしもの不測の事態に陥ったときのサバイバルも学べる。
    極寒の海に投げ出されたらどうするか?救命具をつけていれば、じっと浮かんでいる方が助かる確率は高い。水は空気より熱の伝導がはやい。動き回ると急激に体温を奪われ消耗する。
    こんな知識も身につく。
    宇宙にいくことはまずないだろうが、宇宙酔いについても学べる。
    どこまで高く登れるか?
    どこまで深く潜れるか?
    暑さ、寒さにどこまで耐えられるのか?
    どれくらい速く走れるか?
    宇宙で生きていけるか?
    最後に、生命そのものは、どんな環境で生きていけるのかを地中深くに生息する微生物など紹介しながら紹介している。"

  • 科学者魂 命をかける。おそらく死んでも本望なのだろう。なぜならば自分がやりたいことをやっているから。
    そんな天命ともいえる仕事に巡り合う旅はつづく。

  • 人間はどの様な極限状態まで耐えうるのか。

    寒さ・暑さ・速さ・空気といった、人間の限界を追う。

    専門用語や難しい話もあるけれども、「人間の限界点」をあらゆる場所・観点でみつめる為非常に面白い。

    歴代の偉人達による体を張った結果が詰まっている。

  • 人間は「高さ」、「深さ」、「暑さ」、「寒さ」にどこまで耐えられるのか、人間はどこまで「速く」走れるのか、人間は「宇宙」で生きていけるのかなど、「人間の限界」について書かれたもの。人間の身体的特徴がどこまで環境に適応でき、その限界はその特徴によって生まれてくるということが、丁寧に書かれていて生理学的にも楽しい読み物だった。

    「どこまで深く潜れるか」の章に枕草子《うちとくまじきもの》が引用されているのに驚いた。イギリスの知識階級恐るべし。

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著者プロフィール

オックスフォード大学の生理学部教授。1999年、ロイヤル・ソサエティのフェローに選ばれた。研究室の外でも精力的に活動していて、「人間の限界」にもみずから体を張って実験した。

「2010年 『人間はどこまで耐えられるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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