不思議のひと触れ (河出文庫 ス 2-2)

  • 河出書房新社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463223

作品紹介・あらすじ

神話的な輝きを放つ、"アメリカ文学史上最高の短篇作家"シオドア・スタージョン。その魔術的ともキャビアの味とも評される名短篇をここに集成。どこにでもいる平凡な人間に、不思議のひと触れが加わると?-表題作をはじめ、デビュー作他、全十篇。

感想・レビュー・書評

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  • SFやファンタジーの「状況」だからこそ浮かび上がる人間の味、個性、素晴らしさ。タイトル訳の素晴らしさよ。もちろん、大森、白石訳の本文も、自分を委ねることができるレベルです。
    ああスタージョン!

  • 不思議のひと触れ、孤独の円盤は既読

    改めて。

    表現が詩的で素敵。
    ヒゲを剃るために石鹸を塗りつける場面で、「小さな泡がはじけるときの口づけのような感触」とくるから畏れ入る。なんてきざさ!そして、なんて表現の贅沢なことか、豊潤なことか!
    そもそもタイトルの不思議のひと触れからして浮き世離れしている(全部いい意味で)
    これらの表現だけで視点の転換が起こる。SF的に言うなら、目眩が起こる。物事を前と同じようには見れなくなる

    特徴として、孤独、破滅、衰退が甘く描かれる。
    スタジョーンズは不幸がよく合っている(いい意味で)

    そういった苦境でもがく人(所謂いい人)は厚みがあり、変に生命感があり、エネルギーを感じるのだが(それこそP・K・ディックのように)、対する嫌な人が薄っぺらい。嫌な母親ってこんなんでしょ、というテンプレを使っているような感を受ける。
    と、途中まで思って読んだいたら、雷と薔薇のスターで見事に裏切られた(いい意味で)。

    雷と薔薇こそ傑作(もちろんいい意味で!)

  •  奇想コレクション
    「もうひとりのシーリア」がおすすめ

  • 「少し不思議」解説に書かれてあった、藤子不二雄の言葉。
    壮大なスペースオペラやタイムワープ、ユートピアなどの世界は無く、目に見えて未来的なものも無い。
    何気ない日常に起こる出来事は、ひょっとしたら誰にでもあり得るかもしれない。
    半世紀近くも前に書かれた「SF」は、その頃テレビに流れていた「ウルトラQ」の香りが漂う。
    「SF」なのにノスタルジック。

  • 不思議のひと触れ (河出文庫)

  • スタージョン.
    名前は聞いたことがある(どうやら大物っぽい)が読んだことはなかった(作品名は?思いつかない)が,某アンソロジーに収録されていた短編が気に入ったので,本書を買ってみた.
    基本的にはSFに分類されるのだが,SFは単なる種に過ぎず,そこから開く花は様々な色形をしている.
    SFの困るところは,昔に書かれたものは実際のテクノロジーがそれ以上に進んでしまっていて,とても古くさく感じられる場合があることだが(除:スペースオペラ系),本書に限ればそういった心配はない.「ひと」という普遍的なテーマが主題だからであろうか.

  • 海外のSF作家といえば誰?の問いに7,8番目ぐらいに思いつくのがスタージョンだけれど、代表作は?と聞かれてもすぐには思いつかないのがスタージョン・・・。
    あ、スタージョンをSF作家と認識していると河出のNOVAや創元の日本SF傑作選の内容に疑問を持たないのかもなんて思った。('◇')

  • 『孤独の円盤』がロマンチックでサイコー

  • ロマンチックでメルヘンチックな不思議な物語が詰まった短編集。人の感情の動きが丁寧に細やかに描かれ味わい深いです。
    最初の二編が少し退屈かと思ったのですがそこから先はぐっと引き込まれる良作ばかり。特に最後の『孤独の円盤』が傑作。

    『影よ、影よ、影の国』
    ダークファンタジー。継母に虐められる男の子は、継母のいない影の国に行きたいと願う。
    『裏庭の神様』
    裏庭から掘り出した石像が神を名乗り、口に出したことを全て真実にしてくれると言う。初めは喜んだが段々と不都合が生じ始める。ユーモアたっぷり。
    『不思議なひと触れ』
    人魚をきっかけに出会う男女二人の話。二人の会話劇のみの話なのですがこれがなんとも愛おしい。
    『ぶわん・ぼっ!』
    若手ドラマーが先輩に一流ドラマーになるための秘訣を聞く。先輩が語るある天才ドラマーの物語とは。爽快。
    『タンディの物語』
    母親から見ても不思議でマイペースな少女タンディ。タンディは異星人と接触を通して立派な女の子に変わって行く。それを見守る母のとまどい。
    『閉所愛好症』
    優秀で社交的な宇宙飛行士候補の弟を持つ内向的な兄。彼の独特の思考に興味を持つ謎の女性が現れる。宇宙人から見た宇宙飛行士の資質とは。
    『雷と薔薇』
    核の冬。終末的状況で生きる理由。敵を憎むか人類の未来を託すか。世界を救う方法。
    『孤独の円盤』
    女性は、町に出現した円盤からあるメッセージを受け取ったため、世間からも政府からも注目の的となってしまった。自殺しようとする女性とそれを止める男性。意外な円盤とメッセージの正体。切なくて優しい。人生で誰もが抱く孤独とそれを照らす希望を描いた傑作です。

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著者プロフィール

シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon):1918年ニューヨーク生まれ。1950年に、第一長篇である本書を刊行。『人間以上』(1953年)で国際幻想文学大賞受賞。短篇「時間のかかる彫刻」(1970年)はヒューゴー、ネビュラ両賞に輝いた。1985年没。

「2023年 『夢みる宝石』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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