クライム・マシン (河出文庫 リ 2-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463230

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  • 「クライム・マシン」……妻の浮気を疑っているある殺し屋の前に、”タイムマシンを使ってあなたの犯行の数々を目撃してきた”という男が現れ、口止め料を要求してくる。殺し屋はそんな男のことなど最初はまったく取り合わなかったのだが、話を聞いてるうちにその目撃談というのがあまりにもリアルなことが判ってきて・・・。

    「ルーレット必勝法」……カジノに出入りするその小男の客は本当にルーレットの必勝法を知っているのか? でなければそんなに毎日毎日勝ち続けられるワケがない。ある日その小男はカジノのオーナーにこう打診してくる。自分はもうこの店に足を踏み入れない、そのかわりそれ相当の見返りをよこせと・・・。

    「歳はいくつだ」……医者からあと4ヶ月の命と宣告された男は、残された時間を使って、街にあふれる礼儀をわきまえない輩どもを処刑してまわる。すると街はだんだんと変化してきて・・・。

    「日当22セント」……冤罪の訴えが認められて刑期途中で出所できた男。男は刑務所を出るとその足ですぐ、当時役立たずで男を救えなかった弁護士のもとに、ある目的のため向かう。そんな男に、当時偽証をして男を陥れた証人が、ある目的のため接触してくる・・・。

    「殺人哲学者」……男はひとりで思索を続けてきた。思索という崇高な営みだけを。労働などというタワけたものに時間を割くつもりは金輪際なかった。そして男は思いついた。無料で毎日きちんと食べ物をあたえられ、だれの邪魔もされず、ひとりで黙々と思索を続けられる方法があることを・・・。

    「旅は道ずれ」……旅客機の隣同士の席に偶然座ったふたりの主婦。ふたりはお互い自分のことばかりてんでにしゃべりあって、その話の内容には何の接点もない。しかしたまたまある一つの話題が持ち上がった時・・・。

    「エミリーがいない」……この男は前妻を殺し、今回は従妹のエミリーを殺害して庭に埋めた・・・はず。そんな悪党の化けの皮を剥すためにわたしは・・・。

    「切り裂きジャックの末裔」「記憶テスト」……殺人鬼を利用して身近な人間を殺そうとたくらむ男のお話。

    「こんな日もあるさ」……次々と繰り出される簡潔な文章。くるくる変わるスピーディな展開。本書の中でいちばんおもしろい。・・・そして笑える。

    「デヴローの怪物」……これもとってもスピーディ、そしてメリハリが効いている。シャマランの『ヴィレッジ』みたいな怪奇ミステリー。

    「カーデュラ探偵社」「カーデュラ救助に行く」「カーデュラの逆襲」「カーデュラと鍵のかかった部屋」……コージーミステリー×ゴシックホラー。全部面白い。こちらは『ドン・ドラキュラ』みたい。

著者プロフィール

1922‐1983。ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。1950年代から80年代にかけて《ヒッチコック・マガジン》《マンハント》《EQMM》などの雑誌に、350篇もの作品を発表した短篇ミステリの名手。軽妙なユーモアとツイスト、無駄をそぎ落とした簡潔なスタイルには定評がある。「エミリーがいない」でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀短篇賞を受賞。邦訳短篇集に『クライム・マシン』(晶文社)がある。

「2010年 『カーデュラ探偵社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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