服従の心理 (河出文庫)

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制作 : 山形 浩生 
  • 河出書房新社 (2012年1月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463698

服従の心理 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • アイヒマン実験という有名な心理学実験についての本。
    テレビで紹介されたこともあるので、知ってる人は多いと思う。

    ■どんな実験?

    一般の人に「学習と罰の関係を調べる実験です」と言って協力してもらう。
    一人は先生役、一人は生徒役に。

    生徒が回答を間違えたら、先生は罰として電撃のスイッチを押さないといけない。
    しかも、実験者から「間違えるたびに電撃をどんどん強くしてください」と言われる。

    生徒は実は協力者で、電撃が強くなると悲鳴をあげたり、痛がっている演技をする。

    さて、先生はどこまで電撃を強くするだろうか?
    どの時点で実験者(権威)に逆らって、実験をやめるのだろう?

    (※先生が罰をためらったり助言を求めた場合は、
     実験者が「続けて下さい」とうながし、
     それを4回言っても「やめたい」と言う場合、実験中止)


    ■結果

    「人が痛がってたら、無理してまでやらないだろう」という予想が多かったが、
    結果は40人中25人(62.5%)が最大の電撃を与えた。p54

    時に人々は嫌悪感を示し、強く緊張しながらも実験を続けた。
    なぜ実験者に反抗できなかったのか、一体何が人々を縛っているのか。

    つづき:
    http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html

  • 有名な「アイヒマン実験」。聞きかじった程度だと人間の内に潜む残虐性をえぐり出す心理実験だと思ってしまいがちだけど、じっさいは「権威への服従」の意味を再考させる示唆に富んだ実験であり、たいへん読みごたえがあった。
    また、ふむふむと本編を読み終えて思わずミルグラムに服従してしまいかけても、訳者が「蛇足」でニュートラルに引き戻してくれるという心憎いアフターケアもあり。
    たとえば(当事者としてではなく外部から見た)いじめ問題を語る上でも有用な教養が得られる書物だと思った。

  • 俗に言うアイヒマン実験をまとめた本。実験の全体像をちゃんと読んだのは(恥ずかしながら)初めてであり、豊富なアイディアとシステマティックな実験計画、そして揺るぎなき実行力に圧倒されました。ミルグラムすごい。批判者への回答、参加者からの手紙を載せた補遺も必読(心理学者にとっては、むしろココこそが読まねばならないところかも)。

  • 内容は悪くはないと思うが、なんだかイヤな感じのする読書体験だった。
    ミルグラムの心理学実験とは、こうだ。イエール大学の名前で、心理学実験への参加者を公募する。記憶・学習と懲罰に関する実験だという。
    「学習者」は電気椅子のようなものに固定され、「教師」から暗記をテストするような質問を出されて答える。間違っていたら電流を流し、「罰」を与える。間違えるたびに電力は上げられる。
    この「学習者」は実は雇われた役者で、電撃などはそもそも無いのだが、電気ショックを受けたふりをし、苦悶し、「もうやめてくれ」とうめく。
    公募された被験者は「教師」役で、背後にいる実験者(大学の心理学者)に指示されて「学習者」に電流を流すスイッチを押す。電撃の強度が増していくと「学習者」が異様に苦しみ、実験の中止を哀願するのに、実験者(心理学者)は「身体に永続的な損傷はないはずだから」実験を続行せよと命令する。
    板挟みになった「教師役」は、電撃を受ける学習者に同情し、この実験に抗議し、中断するのか、それとも、背後の権威=実験者(大学の心理学者)の冷酷な命令に従い続けるのか?
    で、実験結果は大半が「権威」に服従し、過酷な電撃ボタンを押し続け、被害者がもはや無言で反応しなくなってさえもなお、最大級の電流を送るという。
    実際は「電流はない」のだから、あくまでも虚構なのだが、しかし教師役の被験者は事実としてこのシーンを体験するのであり、私は読んでいて、とてもイヤになってきたのだ。
    ミルグラムは科学者らしく、様々に条件を変えながら沢山のデータを取っている。
    しかし、この本で言われている「権威」とは、結局なんだろう? その真の意味とは何か? これは心理学ではなく、哲学的な思考でないと見つからない解かもしれない。
    ミルグラムは何故かサイバネティックスを持ち出して、この「権威への服従の心理」の解説を試みているが、何となく不十分な気がした。
    心理学の本を読むといつも思うのだが、心理学者という人びとは出発点となるべき概念がじゅうぶんに解明されないままにあれこれと理論を進めようとするため、結局は深い考察まで到達できていないのである。
    そもそも、「自己」なるものを、個体=個人という生物学的形象に押しとどめているところに疑問を感じる。しかし「自己」とは、個体にとどまらず、周囲の誰かとの「あいだ」に形成される関係性そのものであって、だから、権威がどうこう、服従がどうこうというより、その「場所」において拡張し変形した「自己」がどんな統一性に傾くか、ということなのではないだろうか。
    「権威」なるものが存在していないはずの、暴徒化のような事例、すなわち集団心理として拡大・一体化した「自己」なるものの異様な行動も、そう考えた方が理解できる。
    そもそも、個体としての「自己」なるものは、本当に存在するのだろうか?
    読みながら解消し得ない問題につきまとわれた。

  • 『アイヒマン実験』として知られる心理実験のレポート。
    単行本が出た時に買ったと思っていたのだが、どうやら買っていなかった……?
    流石に古いものだけあって、新訳を担当した山形浩生氏が『蛇足』として少し批判的な視点から幾つかの指摘をしている。素人が読んでも割と妥当な指摘だと感じられたので、この辺りを加味して同じ実験をしたらどうなるのだろう、という興味は湧く。
    しかし『アイヒマン実験』自体が余りに人口に膾炙しているし、今の社会的な情勢で果たして許されるのか、と考えると、まぁ、無理だろうw

  • ミルグラム「服従の心理」 権威に対する服従心理を紐解いた アイヒマン実験の報告書。なぜ 普通の軍人が 非人間的なユダヤ人虐殺や原爆投下をできたのか わかった気がする


    服従の本質=自分の行動に責任を問われない→自分を権威に委ねる→自分の義務を果たしただけ

  • 実験についての論文と言うか調査記録の様な感じ。実験内容と結果については様々なパターンで試すので研究者じゃないと面白くないだろうが、参加者の追跡調査については実に興味深かった。

  • 権威の前では個人の道徳や良心は無力化する――これを実証したミルグラム心理実験。
    実験の概要はWikipedia参照。
    書籍では色んな仮説に基づいた多くの変種実験が報告されており、概要で興味を持ったら読むのをお薦めする。
    専門的な書籍でありながら、訳文もこなれており読みやすい。

  • 今年のNo1 その3

  • これは読むべき本。

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服従の心理 (河出文庫)の作品紹介

ナチスのユダヤ人虐殺を筆頭に、組織に属する人はその組織の命令とあらば、通常は考えられない残酷なことをやってしまう。権威に服従する際の人間の心理を科学的に検証するために、前代未聞の実験が行われた。通称、アイヒマン実験-本書は世界を震撼させたその衝撃の実験報告である。心理学史上に輝く名著、新訳決定版。

服従の心理 (河出文庫)の単行本

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