デカメロン 下 (河出文庫)

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制作 : Giovanni Boccaccio  平川 祐弘 
  • 河出書房新社 (2017年5月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464442

デカメロン 下 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 下巻には第8日~最終日第10日までの30話分を収録。相変わらずコミカルなエロネタが多いけれど、最終日の10日目に限り、下ネタ控え目、人格者の善行や友情ものなど「良い話」でまとめられています。8~9日目は珍しく同じ人物の笑い話が複数収録されていたりして、これまでとちょっと毛色が違う感じ。全100話ともなると終盤にはそろそろネタ切れ気味なのか、ちょっと既視感おぼえる逸話も多かった気がする。

    8日目あたりから頻繁に登場するのが、悪知恵ばかりはたらくブルーノとブッファルマッコの二人組に、からかわれてばかりのちょっとオバカなカランドリーノ。その他、話によっては被害者にも加害者にもなる医者のシモーネ、カランドリーノの妻テッサ等がおなじみの登場人物。印象的だったのは第9日目3話の、カランドリーノが妊娠する話。もちろん男性がホントに妊娠するわけはなく、医者のシモーネがぐるになって「お前さんは妊娠してる」と騙すわけですが、その診察結果を聞いたカランドリーノが「そんなことあるわけない」とは決して言わず、むしろ妻に「お前が上に乗るから俺が妊娠した!」と詰め寄るあたり、よくできたコントのよう(笑)ただ、悪い人間ではないのに毎回騙されてばかりのカランドリーノはちょっと気の毒だし、巻き添えをくう妻のテッサはもっと気の毒。

    同様に、ん?これって面白いの?と思う結末のものがチラホラ。例えば色欲にまみれた司祭が痛い目に合わされるとか、困難にぶつかった人物が頓智でそれを切り抜けるとかは痛快だけれど、とくに悪いことをしてない人物が酷い目に合されたり、あるいは生意気で夫に従わない妻を夫がボコボコに殴って翌日から妻は従順になりましたとさ、みたいな話とか、フェミニストならずとも、え、それっていい話?と首をかしげたくなるオチのものも少々あり。

    最終話になる第10日目の10話も、素晴らしく良くできた妻を得た男が、妻の愛情を試すために色々と酷いことを繰り返し、それでも妻はひたすら夫の仕打ちを耐え忍び一切逆らわない、そんなことを十数年にわたり繰り返してやっと夫は「今までのはお前の愛を試しただけだった。よくぞ耐え忍んだ、合格だよーん!」と打ち明け、めでたしめでたし・・・って、どこがめでたいんじゃーい!(ちゃぶ台ガッシャーン!!!)解説にもありましたが、これは「ヨブ記」における、ヤハ男とヨブ子の構図そのまま。しかし自分で書いておきながらボッカッチョもイライラしていたのか、なぜか話の最後に「こんなクソ旦那には、もっとしょうもない女がお似合いだと俺は思うけどね!」的なコメントを付け加えており、じゃあななんで最後の最後にこの話入れたんだっていう(笑)

    まあそんな感じで100話語り終えた10人の男女はこれで解散し、それぞれ自分の家に帰りましたとさ、で、おしまい。もともとはペストから逃げるために集まった男女なのに、話の内容はお気楽でシニカルな艶笑譚中心で、シリアスにならないのが良いですね。それぞれの話の舞台もイタリアだけにとどまらず異国情緒のあるものや、魔法が出てくるようなものもあって、幅広く飽きさせないし、下ネタもおおらかで楽しく読めました。

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