- Amazon.co.jp ・本 (439ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309471662
感想・レビュー・書評
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中世とは何か、大唐帝国の統一を歴史全体の観点から捉え、数量史観で平易に描いた名著。
「宮崎さんは日本の中国史研究をリードしてきた京都大学の教員であり、中国の古代から現代まで、すべての時代にわたって論文を書き、本を出版している。しかもそれがいずれも抜群に面白い!!そして本当にすごいのは、難しいことを素人でもわかるような文章で書いていること。若い人にぜひ「ホンモノ」の歴史家の文章に触れてほしい。」(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)
津野田さんは宮崎市定さんの本のファン^^
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2016/12/1
中国の中世は興亡の歴史である。内乱に明け暮れ、異民族が支配者となり、猜疑心から身内の粛清が頻発し、なかなか安定しない。安定したかと思うと、朝廷が腐り始め、農民や軍閥のクーデターが勃発し、再び内乱となる。学ばないのだ。当時の政治力や軍事力では中国の国土は広すぎたのかもしれないな。 -
中国中世は秦漢から始まるのではないという内藤湖南博士の説を冒頭に紹介して、巻末まで「中世の中国」を描きます。時代的には後漢末・三国・魏晋南北朝から唐まで。学者でありながら一般向けに描く文筆力に定評があるだけあって、読み物としても受け入れやすく仕上がっています。大学で東洋史でも専攻しなければ3秒で過ぎてゆく南北朝をはじめとして、おそらく1980年代前後くらいの日本人の常識を踏まえて丁寧に書いています。(例えば自分が習った高校の世界史の教科書には一言「劉祐の宋」とあるだけだったが、東晋の歩んだ歴史と滅亡の歴史も踏まえて、駄目な集団の中にひときわ輝く劉祐の姿をみることができる)。
ヨーロッパ、西アジアに触れた箇所も、高校程度の世界史の知識があればなるほどと思うはず。教養として、また、三国志の世界をより良く知るための架け橋となる知識を得るなど趣味として、一度は読んでおきたい本だと思います。 -
唐にいたるまでの流れが、するりと頭に入ってくる。
学術書なのに歴史小説のような躍動感です。著者の視点・知識・筆力の全てにひれ伏すばかり。