フロイドを読む (河出文庫)

  • 20人登録
  • 3.57評価
    • (2)
    • (0)
    • (5)
    • (0)
    • (0)
  • 4レビュー
著者 : 岸田秀
  • 河出書房新社 (1995年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309472799

フロイドを読む (河出文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  •  著者と母との愛憎まみえる関係については他のところでも述べられているが、この本ではさらに踏み込んだものとなっている。解説書というよりどちらかといえばフロイトに則しつつ自分がどのように母との関係からくる神経症的症状を克服していったかといった体の本である。
     父殺しは男性が成長する過程において不可避的に訪れるものであるが母殺しというのは難しい。母を乗り越えるという発想が意識できないほどにそれは内面化されており、愛しつつ憎むと言ったベイトソン的ダブルバインド構造は得てしてみられるわけで、父との関係との単純さ(女性の場合は反転するか、どちらも同じくらい複雑かもしれない。わからない。)とは比ぶべくもない。別に現実的に問題がなければわざわざそんなことしなくてもいいわけだが、だいたいにおいて幼児の最初の外的接触は母との関係であり、そこからなにもかも起動していくのだから、この関係を顧みることはそれが往々にして隠蔽され変造されていることからも、重要なことだろう。

  • 心理学者の岸田秀氏が、フロイトに出会い自己分析をおこなうことで、みずからの強迫神経症の原因である家族との葛藤を克服するに至るまでのプロセスをふり返った本です。

    岸田氏は、借金をしていないにも関わらず、借金を返さなければならないという妄想に苦しめられたり、家に無断で外泊するという行動をくり返してきたと言います。そして、古本屋で見つけたフロイトの著作の中に、自分と同じような強迫観念に苦しめられている人びとを発見し、フロイトの理論を学ぶことで自身の強迫神経症の原因を探っていきます。

    その結果、岸田氏が発見したのは、彼に惜しみない愛情を与え続けてきたと思い込んでいた母親が、じつは自分のもとに岸田氏を縛り付け支配することを、無意識のうちに目論んでいたということでした。岸田氏は、母親から愛されていないという真実を否認し、それを無意識のうちに抑圧してしまったために、さまざまな強迫観念に悩まされることになったのだと言います。

    本書のフロイト解釈は岸田氏独自のものだということですが、フロイトの精神分析学を、自分の置かれている状況を了解するための手がかりとした岸田氏の自己分析を通すことで、一見したところ荒唐無稽に見えるフロイトの理論のおもしろさに触れることのできる本でもあります。

  • 母親との葛藤に起因する神経症をフロイト理論のみによって自己分析した奇書といってもいいような本。しかしとてもわかりやすいのも岸田本の特徴てある。
    症例研究にも役立つはずだが、ウラで使おう。

全4件中 1 - 4件を表示

岸田秀の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

フロイドを読む (河出文庫)はこんな本です

フロイドを読む (河出文庫)の作品紹介

中学生の折、古本屋で見つけた「フロイド」の本。その中には、"わたし"と同じように、実際には借りていない金を返そうとする患者が、強迫神経症の一例として描かれていた…。自分の生い立ち、母親との愛憎、恋愛体験などを素材にしながらユニークな「自己分析」を展開。フロイドの新しい読み方や著者核心の"唯幻論"を、自らの生きた体験を通して語る話題作。

フロイドを読む (河出文庫)の単行本

フロイドを読む (河出文庫)の単行本

ツイートする