日本人なら知っておきたい神道

著者 :
  • 河出書房新社
3.21
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本棚登録 : 413
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309502717

作品紹介・あらすじ

しきたり、風習、そして、ものの感じ方…私たちの生活には、神道が広く関わっている。また、神社の存在や冠婚葬祭、年中行事は、神とともに生きてきた日本人の心を物語るものである。古代以来、日本は何ゆえに神道を必要とし、後世に伝えてきたのか?知られざる"この国の原点"がみえてくる。

感想・レビュー・書評

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  • ●現代日本において、様々な神道的な道徳観や文化の中で生きているにもかかわらず、「神道とは何ぞや」と問われたら答えに窮してしまう。本書はタイトル通り日本人なら知っておきたい神道についての様々な事柄を記述している。「神道とは何ぞや」の入口として、程よく読みやすく内容も充実している。

  • 情報少なすぎ

  • これまで知らなかった神道に少し詳しくなった。
    宗教は国民性を現すのかなと思った。

  • 図書館 借
    読みやすくわかりやすかった。

  • 神道についてどの本よりも合理的でわかりやすく書いている。
    日本はやはり仏教の国ではなく、神道の国である。

    日本人は縄文時代までの狩猟採集の生活の中から精霊崇拝を通して、あらゆるものの霊魂を神として崇めてきた。それは、中東で生まれた他の宗教よりも、より原始的なものである。

    他の宗教がとても排他的である一方で、神道はとても柔軟で他の宗教を受け入れやすい性格を持っている。それは、他の宗教が中東やインドなど自然環境の厳しいなかで生まれたのに対して、神道が自然豊かで、脅威になるのは一時的な環境のなかで生まれたことに起因している。

    戦後から現在まで、アメリカによって、神道崇拝が事実上制限されている状態ですが、本来は学校で教えるべき内容であり、ぜひ多くの方に読んでもらいたい本です!

  • わかりやすい。取り付きやすい。

    本書の平易で興味の持てる記述もさることながら、やはり日本人であることが神道に対しての取り付きやすさをうむのであると思う。神道の心は確かに日本人の心に「ある」と思う。

  • クリスマスを祝って、寺で除夜の鐘を叩いて、神社へ初詣という、宗教行事に関しては極めて肉食的なニッポン人。その根底には神道的イズムが流れているのかもしれない、とボンヤリ感じた。
    そもそもの神道とは、あらゆるものの霊魂を「神」ととらえ、自然の恵みに感謝し、そこに宿る「神」に感謝の祈りを捧げる――というものだったところから、歴史的、政治的な利用もされながら現代まで国家宗教的位置づけを守っている。その歴史的系譜をたどりながら、神道の行事の意味や作法など、具体的なノウハウもあり、入り口としての良著。
    あぁ古事記に興味が湧いてきた!ありがとう!

  • 神道というのは、ひとつにまとまった「宗教」ではなく、なにか地に根付いた「霊性」と人間の関係であるし、それがあるとないのでは、人間の見方も変わってくる。
    自然を大切にして、人間同士が協力して助け合うことこそ神道と言える。

  • 古代史を勉強していくと、そこに必ず宗教の影がみえます。
    古代大王は祭祀の役割が最重要だったし、古代天皇はこぞって寺を建立し仏像を祀りました。
    日本人にとって宗教とは何か?いつもなんとなく疑問だったのですが、この本で一歩理解ができたかも。
    以下備忘録です。。

    ①神道と他の宗教の違い
    神道では、すべての生き物が楽しく過ごすありさまが最高の境地だとされる。
    他の宗教では、キリスト教、仏教、イスラム教、など○○教、「教え」とつき、戒律という言葉による教えで人間を縛るのに対し、神道は人々の良心に対する全面的な信頼の上に作られた宗教である。それは、神教でも神法でもなく、茶道華道剣道のように道を使うところからもわかる。「道」とは、人の守るべき義理であり、各自が自由に表現するべきものである。それゆえ神道は、「固定された戒律」もない。日本の神様は、人間の上に立って教えを述べたり法で縛ったりするものではないのです。

    ②古代日本人の神の受け止め方
    日本の古代人は、野草、狩猟でとった獲物など、あらゆる自然の恵みを神からの授かりものと考えた。農耕も、育てるのは自然の力。この考えから日本では、春に豊作を祈る神事、秋に収穫を感謝する祭祀がひらかれてきた。そして、日本の台風、洪水、地震、噴火などは一過性のものに過ぎないと考えた。それゆえこれは、神の一時的な怒りとして説明され、怒りがおさまった後は前にもまして自然の恵みを与えてくれると考え、嵐や雷を起こす精霊も神として祭り上げた。
    また、人間の能力を超えるものをも神、と考えた。そして、神は人間以上の力は持つが威圧して支配するものではなく、平等な価値観を持つ霊魂と考えていた。霊魂は人にも動物にも海にも山にもあらゆるものにあり、それを祭ると神になると考えたので(八百万(やおよろず)の神)ある地方では狼を犬神としたり、亡くなった大王(天皇)も神になり、祟りを起こしたため祭られた菅原道真のような人も神になった。 また、神はどこにでもいると考える。つまり、良心をもった人間が集まって神
    をまつりたいと思えばいつでも神社を興せるものだった。

    ③神道の起源
    古代日本人に元々あった神への信仰心を「神道」に変えたのは、大和朝廷が豪族を支配する正当性を主張するために古事記、日本書紀によって作られたものである。
    だが元来神々は威圧して支配する存在ではなかったため、神を祀る天皇の立場も私欲を持たない神のような振る舞いをすることが求められた。このため天皇は勝手に権力を行使できず、「君臨すれども統治せず」というあり方をとる皇室が長続きした。(アマテラスと他の神々は直接の支配関係はないが、八百万の神と呼ばれる日本のあらゆる神々の指導者という立場である、と同じことを天皇と地方豪族の間でなぞられた)

    ④仏教との関係について
    古代の支配層は、大陸のすすんだ技術や文明を与えてくれるのが知識人である僧侶(仏教)、稲の生育など自然の恵みをもたらすものは神の働きであると、神道と仏教の役割分担をして仏教を学んだ。それが、空海が密教の教えを持ち込んだことにより、密教僧が呪術を用いて出世や病気回復の祈祷をするようになり、しだいに、自然を整えるのは神、個人的の望みを聞くのが仏教の仕事だという発想が定着していった。
    が、そののち日本文化は神仏習合され、「人間として自分が真実正しいことを行う社会」を理想とする神道は、輪廻転生する仏教に取り込まれてゆき、最終的には「仏は幾度も生まれ変わって人々を助けるものだから、日本の神は仏の生まれ変わった姿の一つである」とされ、その影響で「神に頼むだけで願いが叶えられる」という発想だけが現在も残った。

    ⑤現在の生活と神道のつながり
    神道では、人々が幸せに過ごすことが神々を喜ばせるという考え方をとる。そのため人々はみんなで幸福な気持ちになることが良いこととされた。
    たとえば年末年始。かつて商家では年末にお客を喜ばせるために破格の安値でモノを売った。福引もそのなごり。そしてみんなで幸せな気持ちになって正月に訪れる年神様を迎えようとしたのです。年末のお歳暮や忘年会もそれが由来。

    日本人のものの感じ方や生活習慣には気が付いていなくても古代以来の神道が根付いているのです。。

  • 勘違いしてたところも結構あったので、読んでよかった~。
    わかりやすく、初心者にはありがたい。
    もっと神道のこと知りたくなったので、同じ武光さんの本を探して読んでみたい。

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著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大大学院博士課程修了。文学博士。元明治学院大学教授。専攻は日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想・文化の研究に取り組んでいる。著書に『律令太政官制の研究』『日本古代国家と律令制』(ともに吉川弘文館)など専門書のほか、『歴史書「古事記」全訳』『古事記・日本書紀を知る事典』(ともに東京堂出版)、『古事記と日本書紀 どうして違うのか』(河出書房新社)など多数。

「2022年 『古代史入門事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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