道歌から知る美しい生き方 (KAWADE夢新書 326)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309503264

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  • うち向かう鏡に親の懐かしきわが影ながら形見と思えば
     滝沢馬琴

     齢を重ねるにつれ、不思議なことに「親」に似てきてしまうもの。ふと「鏡」を見ると、親の姿。いやいや、自分の姿だと苦笑しつつ、なるほど、この容姿こそ親の「形見」であったのかと、懐かしく思い返すこともありそうだ。
     「南総里見八犬伝」の作者滝沢馬琴は、早くに父親を亡くしており、「懐かしき」には思慕の念もこめられていたのだろう。 この歌は、「道歌」として今日に伝えられている。
     五七五七七の短歌形式を用いて、教訓や道徳を伝えたのが道歌である。その内容は、今日でも通ずるものが少なくない。
     親とのきずなに気が付いたあと、親よりも長生きしたいと願うなら―。

      長生きはただ働くにしくはなし流るる水の腐らぬを見よ
      脇坂弘道

     作者は、江戸時代後期に活躍した心学者。長生きするコツは、とにかく頭も体も動かし続けるということだろうか。とはいえ、一心不乱に働き続けていると、月日はあっという間に過ぎてしまう。

      昨日といい今日と暮らして飛鳥【あすか】川流れてはやき月日なりけり
      「古今和歌集」

     「飛鳥」と「明日か」がかけられており、「月日」の流れの早さが強調されている。だからこそ、親孝行は早いうちにきちんとしておきなさい、という教訓も読み取れそうだ。こういう道歌がすたれないのは、いつの世も親不孝者がいたということの証左かもしれない。なんとも、耳が痛い。

    (2014年2月9日掲載)

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