日本人なら知っておきたい「もののけ」と神道 (KAWADE夢新書)
- 河出書房新社 (2011年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309503783
作品紹介・あらすじ
鬼、天狗、河童、八岐大蛇、雷神…数多くの伝説が伝わる「もののけ」。私たちの先祖はそれを尊び、それを恐れてきた…。"異形のものたち"から日本人ならではの「心」が見えてくる。
感想・レビュー・書評
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妖怪や怨霊を信仰を交えて考察した本。
紹介されている対象が多い分、それぞれは簡単な説明で広く浅くと言った感じでした。
更屋敷の物語が全国あちらこちらにあるのは知りませんでした。白山信仰と結び付ける考えもあるのですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
妖怪と幽霊、怨霊、そして神様
新書だけれどとても興味深かった。
著者の他の本も読んでみたい。 -
「もののけ」とか幽霊とかを通して日本の人の昔の考え方とかがわかってなるほどと思いました。
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
「日本人なら知っておきたい」シリーズは、やはり日本人として気になるものです。
もののけについて詳しく語られた本を読むのは初めて。
知っているようで実は漠然とした印象しかなかったことに気づきました。
もののけが、神道に根差したものであるとは知りませんでした。
あらゆるものの霊魂を神として祀る神道の中で、怪しげな部類に入るものとみなされてきたとのことです。
恐ろしさはありますが、霊魂であるため、人と同じ感覚がわかるのがもののけ。
日本の物の怪や怨霊は、心をこめて供養すれば成仏して、最終的には善なるものになったりもしますが、外国にはただ恐ろしいだけの化け物が多いと比較文化的供述がされていました。
つまり、ゾンビのような死体が動くものは、日本には存在しないとのことです。
霊魂のない死体が化け物になるという発想が日本にはないそうで、日本独特のアミニズム的考えが出ているとわかりました。
怨霊は、日本独特の恐怖対象だというわけですね。
それとは逆に、日本独特だと思えた八岐大蛇(やまたのおろち)は、「ペルセウス・アンドロメダ型神話」の影響を受けてまとめられたと知って驚きました。
まさに世界を巡る伝承伝説の潮流の中にあったわけです。
作中で宇賀神が紹介されていました。蛇の形をした水の神で、弁財天と習合したそうです。
宇賀神という名字の知人がいますが、どんな神なのか、これまで考えたことがありませんでした。
もののけだけでなく、怨霊についても詳細にまとめられていました。
無名のものだけでなく、平安時代から人々を震え上がらせた、菅原道真や長屋王、平将門など。
平家の最後の安徳天皇が怨霊となって源頼朝を呪い殺したとされているとは知りませんでした。
人に災厄を招き、社会を恐怖に陥れる怨霊ですが、神格化してきちんと供養すれば、その呪いは収まります。
それが日本人の信仰心ともつながっていくわけです。
怨霊となった平将門の荒魂を癒すために、鎮守として神田明神が建てられましたが、神田祭は、江戸の庶民たちが将門の反骨精神に引かれて繰り広げたものだと書かれてあり、畏怖の存在としてだけではなく、当時は一地方でしかなかった関東の心意気を見せた英雄としても、民衆に崇められていたという、受け止め方の多様さを知りました。
怨霊の流れの中で、伊達家の「和霊騒動」についても紹介されていました。
「伊達騒動」とはまた違う御家騒動があったとは。
伊達藩、宇和島藩の確執で、いがみ合いは根深く、幕末まで続いたとのことです。
しっかりとした考察のもと、比較文化的見地も含めてまとめられているこの本は、研究入門書としても成り立つ、興味深い内容となっています。 -
今自分の興味のど真ん中の本だった。
分かりやすくて面白い。
入門書として最適な一冊だと思う。
古代の妖怪とか、怨霊とか…
この著者の本をいくつか読んでみようと思った。
この先生の元で勉強してみたいと思った。 -
衝動買い