なぜ人は宗教にハマるのか (14歳の世渡り術)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309616599

感想・レビュー・書評

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  • 著者は村上春樹さんファンなのかな?(私も好きなのでいいんですが)

    ・宗教とオカルトの境目は?
    ・無宗教って?(日本人の無宗教は宗教を信じてないというより神道と仏教の両方を信仰しているから無宗教と言っている。アメリカ人がキリスト教信者と言っていてもたいした信仰心がなくてもそう言える。信仰心が強いキリスト教信者をクリスチャンという。
    一つの宗教を信じていると「自分の宗教は○○教です」といえるんだろうね。納得しました。これで外国人相手に、堂々と無宗教を紹介できます。

    一番ためになったのはエホバの証人が家にやってきたときの追い払い方。これはノートにメモしました。ありがとうございます。これで、上手く断れず(追い返せず)に長話してしまうのをふせげます。
    参考書籍
    1Q84
    約束された場所で
    20世紀少年(映画版かな?)
    Nの肖像 ― 統一教会で過ごした日々の記憶

    わりと最近書かれた本という印象

  • 詳しい解説付きの易しい文章で、宗教のことが良く分かる本です。
    決して宗教を貶す本でも、誉める本でもありません。宗教とは一体何なのだろうという問いに答えてくれる本です。
    日本人の宗教観など、なるほどと思うことがたくさんありました。
    信仰のきっかけではなく、宗教というものに興味を持つきっかけとして良い本だと思います。

  • 2022/08/27 読了
    #rv読書記録
    #読書記録

    今世間でも流行り(?)の宗教について、ある教会の元信者である筆者が分かりやすく語った著作。
    日本人にとっても案外宗教というものは身近で、とはいえその自覚やいわゆる"カルト"宗教と呼ばれるものへの恐れが真っ先にあるからか、どうしても宗教そのものへの嫌悪感や恐怖をまずは持ってしまうのかな…などと。
    キリスト教系の学校を歩んできた自分には宗教自体は遠く感じないものではあるけど、改めて宗教そのものへの理解が深められたかなと思う。

    メモ
    ・幼い頃に幼児洗礼を受けている人は、カトリック教会で結婚式を挙げることが多い
    ・神道の信者の自覚がなくとも、お宮参りで神社に出かけるし、七五三も行う
    ・創価学会は日蓮宗が源流、戦後の昭和30年頃に飛躍的に広まる
    ・両親の間で信仰をめぐり、仲違いや離婚してしまうことも…
    ・「ミッション・スクール」とはキリスト教系の学校のこと。プロテスタント系が数としてはかなり多い。ミッション・スクールの教育倫理観はかなり厳しい。

  • なぜ人は宗教にハマるのか (14歳の世渡り術) 単行本 – 2010/3/17

    宗教教団は信仰というより、むしろ人間関係で結びついている
    2015年5月24日記述

    島田裕巳氏による宗教とは何かについて若い人向けに書いたものだ。
    もちろん大人でも宗教についてイマイチ分かってない人は入門編として読んでみると良い。

    現実には初詣などで日本人も多くに人が宗教にかかわっている。
    明治神宮の初詣客(300万人)はイスラム教のメッカ礼拝者数(250万人)よりも多いという指摘には
    驚かされた。

    以下印象に残った事を記録しておく。

    創価学会などが高度経済成長期に拡大した背景には
    地方から都会に出てきた人が都会で仲間を求めた結果でもあること。

    信仰の影響は後々まで残る。
    大事な事は信仰した経験を消そうとするのではなく、その体験を活かしてくこと。

    一度生まれた宗教や宗派が消滅してしまうことは、むしろ珍しい。

    宗教はカルトとしてはじまり、社会や周囲にある他の宗教と対立しながら発展し、やがては、信仰の合理化を推し進め、穏健なものに変化することで、社会に受け入れられていくのだと見ることもできる。

    新宗教の信者は教祖の操り人形のように誤解されている。
    実態としては一般の人間と同じように、悩みもすれば、信仰に対して疑問を抱いたりもする。

    宗教団体は信仰で結びついているのではなく、むしろ人間関係で結びついている。
    宗教教団をもしやめてしまえば、人間関係の全てを
    失わなければならないかもしれない。それには大きな決断が必要でなかなかそこには踏み切れない。

    やめる人、やめない人の違いははっきりした違いは見いだせない。
    ただ異性との関係は重要な気がした。
    ある男声のメンバーが組織にとどまるかどうかを迷うようになったとき、異性のパートナーがいれば、そちらの方の判断が男性にも影響する。
    女性が抜けようとすれば男性もそれに同調し、女性がとどまれば、男性もとどまる。
    その傾向があったように思う。

  • 人は宗教に、苦しみ(貧乏とか、病苦とか、争いごととか)からの救いを求めるだけではなく、仲間を探して、自分の居場所を求めてハマることもある、というのはまあそのとおりだと思うが、後者は別に宗教じゃなくても、テニスサークルとか釣りクラブでも良さそうだ。前者については、リア充の人は宗教にはハマらない、ということになりそうだけど、例外はいくらでもありそうな気がする。これ以外にハマっている人は、家族の影響を受けた人、ということなんだろうか?

    宗教はどこかしら、世間の常識や科学の文脈では語れない浮世離れした部分を持っていて(そうでない宗教があるなら教えてほしい)、ぼくはそれを「信じる(=評価せずに受け入れる)」に至る人の心の動きが今ひとつよくわからないのだが、本書も結局それを教えてくれはしない。14歳の読者を想定して書かれた本だということは読み終わって気づいたのだが、そのせいかツッコミが足りない。

  • 信仰とは何だろう、神を信じるってどんな心境なんだろう。その答えがあるかもしれないと思い、読んでみた。
    普段意識しないけれど、日本人にも無意識レベルでは「日本人の宗教観」がしっかりあるのだとわかった。人は生まれ変わると思っていたり、お宮参りや厄年でお祓いするのも、すなわち神仏を信じているといえるのだ。
    そして、キリスト教国のキリスト教でも信じる度合いには深浅があるというのも、気づかなかった。その他も、自分が「そもそも...?」と疑問に思っていた根本的なことがわかり、とても勉強になった。
    一番の収穫は、この一文。
    『宗教とは、人々の考え方、世界観の根底にあるもので、一度、その洗礼を受ければ、影響は一生続く。 』
    動物には宗教はないが、人間には、どんな民族でも国でも宗教がないところはない。それだけ、人間にとって不可欠なものなのに、宗教を他人事だと感じる日本人。数ミリで挫折し積読になっている日本人の本、読まなくちゃ。

    ~~~
    どの宗教の信者になるかは、生まれによって決定されることになる。大人になって入信するのは少なく、多くの人たちは、最初に与えられた宗教...家の信仰を受け入れる。
    一般のアメリカ人が、特に熱心な信仰をもつ人たちのことをさして「クリスチャン」と呼ぶ。日本人が熱心な信仰をもつ人を「仏教徒」というのとあまり変わらない。それぞれの宗教において絶対の真理とみなされる前提を信じているかどうかではなく、時間がたち歴史を経ることによって、漠然とした神への信仰だけが残っていくようになる。

    日本人は生まれと成長では神道にかかわり死は仏教にかかわるので、どちらか片方の宗教の信者としての自覚を持ちにくい。
    海外の人たちが、キリスト教やイスラム教など、信仰をもっていることをはっきり自覚しているのも、それぞれの社会のなかで、多くの人が信じている宗教がひとつで、日本のように、二つの宗教が役割分担をしていないからだ。

    宗教のない国も民族もない。宗教は、人類にとって欠かすことのできないものである。

    自分の信仰こそが正しいと思うのは、信仰をもつことで救われた経験がある、あるいは、何らかの利益があることを実感しているから。信仰をもつということは、その宗教に絶対的な価値観をもつことに結びつく。
    宗教は、信仰の実践という形で、生きるための目的を与えてくれる。

    創価学会は、何事も前向きにとらえて仲間と支えあい明るく生きていくと現実でもうまくいくという宗教。
    オウム真理教の信者の多くは、オウムの書籍を読んで、自分から道場を訪ねて入信した人が多い。

    その人間がその宗教に魅力を感じるのは現実の社会での生活に不満や不安を抱くからで、その不満や不安がどういったものなのか、宗教を見ることでわかってくるかもしれない。
    同じ宗教に魅力を感じる人たちは、その背景が共通している。ある人が特定の宗教に入信するのは、個人的な動機と宗教が与えてくれる利益とが合致したときだ。

    カルトとは、まだ規模が小さく、信仰に活力があり、なおかつその宗教のおかれた社会に対して強い批判を持っているような段階では、その集団はかなり威圧的な態度に出るので、それがカルトと呼ばれる。とくに、そうした段階にある集団では、「終末論」が説かれることが多い。世の中に対する強い批判があるからだ。宗教はカルトとしてはじまり、社会や周囲にある他の宗教と対立しながら発展し、やがては、信仰の合理化を推し進め、穏健なものに変化することで、社会に受け入れられていく、と見ることもできる。

    宗教が危険なのは、それが熱狂的な雰囲気を作り出すからだとも言える。
    教団が勧誘を奨励するのは、人に教えを説くために自分自身がそれに納得していなければならず、勧誘を繰り返すことで信者の信仰が強化されるからでもある。

    教団は宗教的なイニシエーション体験(試練を乗り越えて古い自分が死に生まれ変わる)の機会を提供し、その体験により信仰心が強まる。
    宗教団体は教祖のいいなりで信仰に結び付いているこではなく、むしろ人間関係で結び付いている。

    宗教というものは、人々の考え方、世界観の根底にあるもので、一度、その洗礼を受ければ、影響は一生続く。日本人がキリスト教に入信しても、キリスト教国のキリスト教徒とは違ってくる。

  • 宗教とは何かの基本的な本。
    1Q84の話ばかり出てくるのはいかがなものか?

  • 宗教という存在を客観的に冷静にわかりやすく述べている.
    宗教というものの成り立ちや存在意義、人がどのように宗教とか変わっていき、離れていくのか、またその影響など短い中にぎゅっと濃縮してまとめてくれている.

    日本人が無宗教と言っていても、神道や仏教との関わりは非常に密接なことも紹介してある.
    宗教にハマり過ぎることの問題点をリアルにクールにまとめてくれているのも大変勉強になった.

  • 宗教本1冊目だったけれど、宗教とはどのようなものなのか概観できて良かった。
    あくまで信じるか信じないかは個人の自由であるし、強制される理由もない、という事を忘れないでおく。

  • 14歳の世渡り術シリーズ。日本人は無宗教だと思っている人が多いけど、キリスト教の「洗礼」と同じ意味を持つお宮参りなども信仰だということ。生まれたら神社(神道)で、死んだら仏様(仏教)という2つの宗教にあやかっているという事実を自覚することができた。

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著者プロフィール

島田裕巳(しまだ・ひろみ):1953年東京生まれ。宗教学者、作家。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任し、現在は東京女子大学非常勤講師。現代における日本、世界の宗教現象を幅広くテーマとし、盛んに著述活動を行っている。 著書に、『日本人の神道』『神も仏も大好きな日本人』『京都がなぜいちばんなのか』(ちくま新書)『戦後日本の宗教史――天皇制・祖先崇拝・新宗教』(筑摩選書)『神社崩壊』(新潮新書)『宗教にはなぜ金が集まるのか』(祥伝社新書)『教養としての世界宗教史』(宝島社)『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)等多数あり。

「2023年 『大還暦 人生に年齢の「壁」はない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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