カンパネルラ (長野まゆみEarlyWorks少年万華鏡 2)
- 河出書房新社 (1998年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309621029
作品紹介・あらすじ
水路の奥には兄さんの秘密の隠れ処がある。単行本化されなかった幻の初期作品が甦るデビュー10周年企画。書下し装画、詩篇に加え見返しには自筆生原稿も。
感想・レビュー・書評
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夏になると、読みたくなる…。
秘密の隠れ家。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
銀木犀、コワ~。
ファンタジー&ホラーって感じ。 -
梅雨の時期にはいつも「銀木犀」を読みたくなります。じめっとした雰囲気がとても好きです。〈カンパネルラ〉柊一はなぜかいつも兄の顔を思い出せない。絵から漂う銀木犀の香り。あれは兄なのか、それともカンパネルラか。〈銀木犀〉泥に沈んでいった雛鳥。喉の渇きを潤すため林檎を食べる燈水の姿が、柘榴を食べる月彦に重なる。「死んだ鳥の躰の中にある卵を食べるとね、ずっと少年のまゝでいられるんだよ」
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中編2編、再読。
ファンタジーというかホラーというか幻想というか、美しい言葉で表現された世界だけれど、銀木犀が不気味に怖い。 -
『カンパネルラ』と『銀木犀』の二作収録。
カンパネルラは銀木犀の原型なのかな?
少年と水と木と。
タイトルで『銀河鉄道の夜』関係かと思いきやそうでもなかった。
だけどこのタイトルで水辺とボートだから不吉な予感をぬぐえない。
暗示して想像させる種類の作品だから、意味を考えたくなる。
川を下る風景に『鏡の国のアリス』や『雪の女王』を連想する。
隠れ家には『秘密の花園』を。
でももっと後ろ暗い、雰囲気を読むおはなし。
『銀木犀』は昔よんだ。
銀木犀だとわかっているけれど、これのせいで花が開く直前の辛夷を夜に見るたび卵っぽいと思う。
ルビをたくさん使う装飾的な文体がちょっと苦手。
昔はそんなに気にならなかったんだけどな。
「小魚(いさな)」という言葉が何度か出てくる。
私は「勇魚(いさな:くじら)」が先に浮かぶので変な感じになってしまった。
でてくるものも綺麗だけどピンとこない。
この辺が宮沢賢治っぽい。
岡本かの子も好きそうだと改めて思った。 -
・収録作品・
詩篇 カレイドスカフⅡ
カンパネルラ
銀木犀 -
もう一回読みたいϵ( 'Θ' )϶
2011/07/27 読了 -
夏季休暇に兄の暮らす祖父の家を訪れる柊一。やがて、水路の奥には兄の秘密の隠れ処があることを知る・・・。
この季節になるとふと、長野まゆみの本を再び開きたくなる。
彼女の描く水と幽玄の世界は、今、その季節に読まねばならないと思わせる魔力があるからだ。
渇望を充たしてくれるはずの水、そのはずなのに・・読み進めるうちに溺れさせられる。
降り注ぐ雨はあの世とこの世の境をあいまいにするし、刻々と姿を変える川もまた同じだ。どこまでが現実でどこまでが幻なのか、柊一にはわかっているのだろうか?
読み終わった後もずっと後を引く感傷と謎がいつまでも心を掴んで離さない、それがあちら(幽玄=本の中)とこちら(現実)の世界によく似ている気さえさせてくれる。
長野初期の掴みどころのない曖昧さと、美しい文体に魅了されることは間違いありません。ぜひとも夏に手にして欲しい一冊。
姉妹作品の銀木犀はまた似て非なる一冊。 -
表現がとても綺麗で、透き通るような文だと思った。
カンパネルラの最後、柊一が兄を追って行くところまでの流れがなんでか良く分からないけど、悲しくなってしまって、泣きそうになった。 -
表題作より「銀木犀」のほうが好きです。