不思議のひと触れ (シリーズ 奇想コレクション)

著者 : シオドア・スタージョン 大森望

• 河出書房新社 (2003年12月22日発売)

感想・レビュー・書評

[ミィさんの感想 · 2017年6月16日]

心に不思議な感触を残す一冊。
解説にも書かれているが、スタージョンが不思議のひと触れを通じて描き出す人間の姿、その生々しさに惹きつけられる。

『もうひとりのシーリア』
特にその光景が目に浮かんで離れない作品。
風変わりな好奇心を持つスリムがシーリアの奇妙な秘密を知り、更なる好奇心をただ本能のまま満たそうとした先に見たもの。
スリムの思考や行動が事細かに描かれ、次第に自分も彼と共にシーリアを覗き見しているような感覚に陥る。
読み終えた後もしばらく奇妙な余韻が残った。

『裏庭の神様』
気まぐれで口の悪いおよそ神様らしからぬ神様と、つい嘘をついてしまう男。
よりにもよってこんな嘘つき男に、口にしたことがすべて真実になる力を与えるとは、なかなかユーモアのある神様である。

『不思議のひと触れ』
人魚が繋ぐ、平凡な男女の物語。
罵り合いで始まる出会いが印象的。
人魚は現れず、二人の会話だけがその存在を感じさせる、どことなく幻想的な作品。

『タンディの物語』
特にお気に入りの作品。
細部までリアルに描かれた「ブラウニーのおうち」、タンディの強烈なキャラクターが魅力的。
ナンバー2の子供であることを自覚し、ひとり遊びを好み、他人をむしゃくしゃさせる天賦の才能を持つ、愛すべき五歳児タンディ。
彼女とブラウニーの出会い、偶然の連鎖、そして子供たちに現れる変化。
「わたしはブラウニーたちがこの世界で生きるのを楽にしてあげて、ブラウニーたちはわたしが生きるのを楽にしてくれた」
タンディのこの一言がなぜか胸に残る。
そして、子供たちに何が起こったのかをおそらくほぼ正確に理解した母親はさすがである。

『雷と薔薇』
荒廃し、絶望と狂乱に見舞われた地に響くスターの歌と願い。
人間の愚かさと美しさが情感豊かに描かれた作品。
最後に感じるかすかな一筋の光に、祈りたいような気持ちになった。

[harukast7さんの感想 · 2012年9月19日]

ただいま絶賛ハマリ中スタージョン。「A Touch of Strange」を「不思議のひと触れ」と訳すのがいい。えすえふ　なので、円盤とか宇宙人（？）とか、神様とかジャズとかちょい怖い話とかもあるんだけど、素敵な話が多かった。平凡な人間に不思議のひと触れが加わると……？

[いなえしむろさんの感想 · 2020年11月6日]

残念ながら楽しめなかった

　不思議な物語なんだが、きっと訳ではなく原書で読まないと伝わらないんだろうな。短編だからすぐ読めるんだけど、余韻があまり感じられないのだよなァ。

[るこさんの感想 · 2019年8月20日]

短編集。
ジャンルはいろいろ。ミステリ、ホラー、ファンタジー、SF、音楽、他。
奇想コレクションに相応しい、奇妙な魅力は抜群。
「もうひとりのシーリア」は怪奇小説として素晴らしい出来だと思う。
奇妙なファンタジー「タンディの物語」もとても好き。

[hoho3さんの感想 · 2011年12月2日]

私にとってダークファンタジー。

ちょっと毒々しい。

嗅いだことのない匂いって印象。

だからそれがいい匂いなのかさえ判断つかない。

[ch13さんの感想 · 2019年10月29日]

2019/10/28読了

[端淵縁さんの感想 · 2019年7月16日]

不思議のひと触れ (シリーズ 奇想コレクション)

[nori-k99さんの感想 · 2018年10月24日]

ちょっと疲れてるとき少しずつ読むのにちょうどいい短編集だった。「雷と薔薇」「孤独の円盤」が特に好き。身を切るような絶望や孤独と、そっと静かに差し出される癒しとのコントラストが綺麗。

[かしろさんの感想 · 2017年9月17日]

おもしろかった。天才かと思った。

[ijklmnさんの感想 · 2016年2月21日]

そもそも叙述系の作家なのか？ちよっと期待外れ

著者プロフィール

シオドア・スタージョン（Theodore Sturgeon）：1918年ニューヨーク生まれ。1950年に、第一長篇である本書を刊行。『人間以上』（1953年）で国際幻想文学大賞受賞。短篇「時間のかかる彫刻」（1970年）はヒューゴー、ネビュラ両賞に輝いた。1985年没。

「2023年 『夢みる宝石』 で使われていた紹介文から引用しています。」