フェッセンデンの宇宙 (全集・シリーズ奇想コレクション)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309621845

作品紹介・あらすじ

史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作として「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇を含む、全9篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作だけ読みました。
    「ループ」もここから、着想を得たのかな?

  • ふと夜の空を見上げてみる。
    広い空のもっともっと向こう、漆黒の宇宙で、「製作者」が顕微鏡を覗きこんで「地球」の様子を監視しているとしたら──?そして今の「地球」で起きている災害や戦争が、その「製作者」の手によるものだとしたら?
    私たちの意思はどこまで通用しているんだろう。
    そう考えるとゾッとする。

  • 「フェッセンデンの宇宙」
    時間の尺度が変なのが気になった。
    自分が実験室で作り出したものなんだから煮ろうが焼こうが勝手だろうという科学者は極悪非道なのか?
    心情的には同僚寄りだけど、どっちが正しいかわかんなくなる。

    「帰ってきた男」
    すごく面白い。
    苦労して棺から出る描写。の後なんやかんやでまた棺に戻ってしまうブラックジョーク。納骨堂に辿り着いたとこで、あっこれは…
    その後の描写も、わかるーって感じ。

  • [p. 277 以降]

     「夢見るものの世界」。現実感のある夢から目覚めると、一瞬、どこが現実なのかわからなくなるけれども、実際、何をもって現実を判断できるのか。本人は満足だろうけれども、妻の身になると、やるせなくてたまらないですね……

     読了。

    --

    [pp. 196-276]

     「強運の彗星」。微笑ましい話ではなかった。そして、いろいろと強引な話だった。文字どおり「強引」。

     「追放者」。よいなぁ。途中で、あ、これはこうなるのかな、と思った展開だったのだけど、うんうん、と頷いてしまった。よい。

     「翼を持つ男」。「ふつうではない」ということがここまで拒否されるとは、とは思ったけれども、今現在の現実と大差ないですね。ハリマン医師が存命だったら、デイヴィッドのそれぞれの人生の転換期に、相談相手としてどういう言動をとっていたかなと考える。エンディングは、こうなったら嫌だなと思っていたどちらでもなかったので、自分の気持ち的には割とすっきりとおさまりました。

     「太陽の炎」。こちらは、ケラードの出した結論の意味がよくわからず、ハーフリッチの最後から 3-4 行目の結論に対しても、なんでそないなんねん、という感じだったのだけど、最後の 2 行で、ですよね、と思えた話でした。広い宇宙においてどこまでもヒトが支配者でいられる/いなくてはならないと思い込める感覚というのは、自分からは遠いかなと思う。そうであればいろいろと楽なのだろうなとは思うけれども。何もすりあわせしなくてもいいもんねー。そういう話?

    --

    [pp. 67-195]

    「帰ってきた男」。さみしい悲しい話なのかもしれないけれども、自分を顧みても、だいたいこういうものなのではないかなと、まあまあ納得してしまった。ただ温かな眠りは何にも代えがたく幸せなのではないかと。

    --

    [p. 66 まで]

    「フェッセンデンの宇宙」。若い頃は無責任に読んで、ただ面白かった。いま読み返してもやはり面白いのだけれども、もっと生々しさを感じるように思う。人は簡単に分類されてしまい、同じものを見ていても同じようには見えない。そのことを、それと同種のことを、どう受けとるべきなのか。

  • 古典作品のためか、いま読む限りSFとしてのリアリティはほぼなく、全体的にエンタメ小説という感じだったが、キャプテン・フューチャーの作者と聞いて納得した。。まあこれはこれでそれなりに面白い。「追放された男」のショートショートっぽいさが好き。逆に「太陽の重力を中和すると地球は加速して彗星にぶつかる」はひどい誤りで、流石にSFを名乗る以上このくらいはまともにやってほしかった。

  • 表題作、おもしろかった。研究室の中に宇宙を創造してしまった男の話って、すごくよく分かる。
    男って、こういうこと、しがちだよね。

    コレって、藤子F不二雄とか星新一とかの原型なのかも。

    表紙のデザインも好き。
    ヘンリー・ダーガーが密室で書き続けたアール・ブュレットがモチーフになってるよね絶対。彼もまた、密室で、宇宙を創造しちゃった人だし。

  • SF。短編集。ちょいファンタジー。
    森博嗣『私たちは生きているのか?』で引用されていたので、読んでみた。表題作のみ、アンソロジーで既読。
    作品全体を通して、どこか怖さが感じられる、独特の雰囲気がある。どの作品もクオリティ高め。

    「フェッセンデンの宇宙」マッドサイエンティスト。20ページほどの短さで、宇宙の歴史を想像させ、切れ味鋭い恐怖も与える。SF短編の傑作の1つでしょう。
    「風の子供」ファンタジー。まさに奇想という感じ。
    「向こうはどんなところだい?」SF。火星もの。リアルすぎて怖い。いずれ人類が通らなければならない道かも。傑作。
    「帰ってきた男」ホラー。ありがちな展開と思ったら、一捻りあった。”どこに”帰ってきたのか?素晴らしい発想。個人的一押し。
    「凶運の彗星」SF。侵略もの。悪くないが、やや助長、やや地味か。
    「追放者」ショート・ショート。皮肉なオチが良い。
    「翼を持つ男」ヒューマンドラマ、ミュータント版。ラスト1ページが美しい。
    「太陽の炎」SF。水星。宇宙は人間のものではない。
    他1作品。全9作品。

  • 時空間を超えた匠の技

  • 半世紀以上昔に書かれているにも関わらず今も新しい視点や驚きを与えてくれるハミルトンの傑作短編集。
    今日では科学的に誤った個所(水星は自転していない等)があるが、そんなことは全く気にならず。
    海外SF翻訳小説には珍しく(俺だけ?)、分かり易く、読みやすい。しかし、軽い訳では無く、テーマは深く新たな発見が出来るのが良い。

    【収録作品】
    ・フェッセンデンの宇宙...人工宇宙テーマ。超傑作。
    ・風の子供...生きている風。
    ・向こうはどんなところだい?...ヒーローものとは違う火星探検もの。傑作。
    ・帰ってきた男...ゴーストストーリー。悲しく切ない。
    ・凶運の彗星...侵略もの。生きてる脳登場。
    ・追放者...SF作家を主人公としたショート・ショート。
    ・翼を持つ男...ミュータントもの。心を揺さぶられる。
    ・太陽の炎...水星探査を題材。
    ・夢見る者の世界...二人の男の夢と現実が交差ファンタジー。良い。

  • 山本弘の「神は沈黙せず」に触発されて興味を持った一冊。長編かと思っていたけど、短編集です。確かにタイトル作のアイデアのみで長編引っ張るのは難しそう。
    さて肝心のタイトル作については事前にアイデアの肝をネタバレしていた事もあり、ちょっと食べ応えの無い感じになってしまった。ただ「神は沈黙せず」という壮大な長編SFの元ネタであるだけに、絶妙な不気味さを兼ね備えている。
    その後の数点は不気味さを備えたSFというより純粋にファンタジーに通じる作品が続く。この不気味さは心地よいのだが、あまりファンタスティックな話に興味が無いので外れかと感じていたが。
    後半の翼関連二作が非常に楽しく爽快に読める物語だった。この作者は不気味系一辺倒なんだと印象を持っていたが最後でよい意味でイメージの違う作品が来て、楽しませる内容の一冊となっている。
    ただ出版年的に若干古くさく感じるの部分もあるので仕方ないマストなSF小説とまでは言えない評価としている。

  • 天王はるかが幼少時に読んだことがある、と言っていたと言うのをこの間知り、そんなこと言っていたか?でもアヤツが読んでいて自分が読んでないのはシャクに触る、と借りてきました。…我ながら幼稚な動機です…

    ハミルトンはキャプテン・フューチャーシリーズを何冊か読んだことがあります。昔懐かしの冒険活劇だなあと思っていたのですがこういう短編も書かれていたのですね。表題のフェッセンデンの宇宙は箱庭的宇宙論とでもいうのか何度かみたことのあるモチーフだったのでナルホド、ここから取られたのかと思いました。

    向こうはどんなところだい?と翼を持つ男が好きでした。どちらも物悲しく、切ないお話ですけれども。
    他にもハミルトンを読んでみようかなあと思いました。

  • 表題は聞いたことがあるが、読んだことがない人におすすめ。他の作品もレベルが高くSFの良さが出ていると思います。

  • 以前、梶尾真治の『梨湖という虚像』という短編を読んだときに、この表題作の『フェッセンデンの宇宙』を引いた解説があった。そのときからずっと気になっていて、それこそ10年以上経ってようやく手に取ったのがこの本。
    SFは好きだけれどあまり読んだことがない私が、この短編を読みながら思ったのは、ブラッドベリの世界と似ている気がするということ。実際はブラッドベリのほうが年下のようなので、ハミルトンがブラッドベリに影響を与えた部分もあったかもしれない。
    奇想コレクションというテーマにふさわしい作品群だなぁと読んでいて思った。
    好きだったのは『逃亡者』。メタSFだけど、アシモフの『心にかけられたる者』を思い出した。表題作もそうだけど、すごい、うまい、という気持ちと同時に少し首筋が薄ら寒く感じる怖れがかえって心地いい。
    他の収録作も好きなものが多かったので、これを気にハミルトンの他の作品も読んでみたい。絶版本をどうやって取り寄せるかが問題なんだけど。

  • SF&FT短編集。いろんなSFやFTに影響を与えてそうな印象を持ちました。表題作は1961年の作品のようです。(あとがき参照)収録9作品中、一番古いものは1928年のようですが、古さを感じませんでした。ソフトカバーにしては価格は高いですが、装丁もきれいで気に入りました。SFというとクールなイメージですが、どこか哀愁があるような、バッドエンドでも突き放すような感じはなく、私の好みでした♪ (かっこいいなぁ、こういうの書いてみたいw)

  • こういうSFも案外いいかもしれない

  • 古典SFですが、テーマとしては決して古くなっていません。
    想像することによる恐怖、というのがテーマになっているような、
    まぁそんな感じの短編集です。
    加えて初翻訳作品も掲載されています。

    値段がちょいと高いのがアレですけど。

  • SF短編集。「向こうはどんなところだい?」というお話の中では、火星探検から帰ってきたばかりの主人公に、火星で死んでしまった友人達の家族が、火星がどんなところか、そして自分の息子はどうやって死んでいったのかを尋ねます。主人公は「乾いていた」とか、そんなことを口にする。勇敢で、苦しみのない最期をでっちあげる。家族達はそれを嘘だとぼんやりわかっているけれど、ほほえんでのんびりと世間話をする。今年の作物のできだとか、天気の話だとか。主人公はそれを聞きながら、うなだれる。
    もう小麦が揺れる彼らの世界には戻れないと知っているから。

  •  作者エドモント・ハミルトンの一番有名な作品は、みんなも知ってる『キャプテン・フューチャー シリーズ』 :東京創元社(昔はハヤカワSFだったのですけどね) そして名作として(そのスジの)SFファンの多くが絶賛するのが、この本の題名にもなっている『フェッセンデンの宇宙』である…らしい。 しかし、わたしにはこの短編小説がそんなに凄い名作だとは思えなかった。もちろん面白いのだよ。面白いけど、それでドーシタ、と言われると「スマヌ」と謝るしか無いような気がする。 そしてこういう設定のSFはどこかで聞いたような読んだような気がするのです。え! という事はこの物語をわたしは遠い過去にでも既に読んでいるのであろうか。ウームわからない。 もともと洋物をあまり読む方ではない。どうしても「翻訳」への違和感があってなかなかなじめないから。 昔は「なんだか、この日本語おかしいよなあ」とだけ思っていた。 しかし最近はちょとだけ成長したみたいで 「まあ、文化の違う国で生まれた違う言語の小説を、100%日本語に置き換えることなど ハナッから出来ない相談だよな」などと思っている。 さて、この短編小説集は結構どの作品もオモシロイのだけど、わたし的にはもう一話秀作がある。『翼を持つ男』である。 これ、シーナ作『中国の鳥人』の原型になったのではないかしら、と思える作品であった。(シーナはSF好きだし、もちろんSF作品も書くからなあ。最近のはイマイチだけど)  実はわたしとしては、この『翼を持つ男』の方が前出のユウメイな『フェッセンデンの宇宙』より面白かったのだ。 本の表紙は、まるでメルヘン小説のそれみたいです。 けどが、これはまぎれもなくSFです。しかもちょっと怖かったりするSFなのですぞ。

  • 史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作として「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇を含む、全9篇を収録。

  • 史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中
    の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、
    代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説
    「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作と
    して「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇
    を含む、全9篇を収録。

  • 地に足がつかない、ふわふわした気分になります。ラストではっとなることが多かったです。『内なる内』をテーマにした話はぞっとするくらいでした。特に好きなのは「フェッセンデンの宇宙」「追放者(最後の一文が…!)」「夢見る者の世界(黄金の翼好きです)」です♪

  • 河出書房の「奇想コレクション」内の一冊。

    表題作が良かった。
    自分だけのミクロコスモス(本物!)を作り出した博士の、神様ごっことその顛末のお話。
    博士の行動は勝手すぎてアレですが、神様ごっこしたい気持ちはわかる。リアルシムシティ(全宇宙対応型)だものなぁ…。
    つか、作者の経歴見ると14歳でカレッジ入学ってすごい。アメリカじゃそれほど珍しくもないのでしょうか…。

  • エドモンド・ハミルトン。ようやく著者を覚えた(笑)。

  • 収録作品
    ・『フェッセンデンの宇宙』
    ・『風の子供』
    ・『向こうはどんなところだい?』
    ・『帰ってきた男』
    ・『凶運の彗星』
    ・『追放者』
    ・『翼を持つ男』
    ・『太陽の炎』
    ・『夢見る者の世界』

    ハミルトンというと、どうしても『キャプテン・フューチャー』や『スターウルフ』、『星間パトロール』というスペオペのイメージ。海外でも、ジャリ向けSFと言う感じで、あまり扱いは高いとは言えないそうだ。

    しかし、短篇は様々なジャンルを書いていて、
    この短篇集は、それぞれチョイスした作りになっている。
    初訳は『風の子供』『凶運の彗星』『太陽の炎』『翼を持つ男』


    気に入ったのは、
    『フェッセンデンの宇宙』、『向こうはどんなところだい?』、『帰ってきた男』、『追放者』あたりかな。

  • SF短編集。表題作は文句なしの星五つ! 懐かしい、私のSFの原点だった。

  • 残酷で綺麗。暗くてリアル。

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